「ラ・アラニャ」を巡る泥沼劇とメトロポリターノに響いたブーイングの全貌

今夏の移籍市場における主役であり、「ラ・アラニャ(クモ)」の愛称を持つアルゼンチン代表フォワードのジュリアン・アルバレスを巡る騒動は、ついにピッチの上だけでなく、ホームスタジアムであるリヤド・エア・メトロポリターノのスタンドにも深刻な嵐を巻き起こす事態となりました。

アルバレスは、今夏アメリカ、メキシコ、カナダで開催されたワールドカップの期間中、公に『自分とすべての関係者にとって最善の解決策は移籍だ。私は自らの夢を叶えたい』と言い放ち、同じラ・リーガのライバルであるFCバルセロナへの強い移籍願望を隠すことなく露骨にアピールし続けました。しかし、バルセロナ側はアトレティコが要求する巨額の移籍金に見合う具体的なオファーを最後まで提示することができず、現在はその獲得競争から完全に撤退。アルバレスの移籍計画は事実上の「終戦」を迎え、彼はアトレティコに残留してプレーする以外の現実的な選択肢を失うことになりました。

この不誠実とも取れる一連の言動に対し、これまで不満を募らせていたアトレティコのサポーターたちは、開幕戦のピッチにおいて強烈なノーを突きつけました。アルバレスは最近合流したばかりでフィットネスが不足しているという厳格な「スポーツ的理由」から、この開幕戦の招集メンバーから外れていましたが、試合の終了間際、南側のゴール裏スタンド(フォンド・スル)の熱狂的なウルトラスを中核とする一部セクションから、アルバレスを痛烈に侮辱するチャントがスタジアム全体に響き渡りました。一部のファンからはこれに対するブーイングや口笛が吹かれ、スタジアム内は一時異様な緊張感に包まれました。

試合終了後の記者会見において、通常であれば愛弟子を擁護するはずのディエゴ・パブロ・シメオネ監督に対し、このチャントに対する見解が問われました。しかし、アルゼンチン人指揮官は彼を守るような発言を頑なに拒み、次のように非常に短く、かつ冷淡な言葉で切り捨てました。

『私は我がクラブのサポーターに対して極めて高いリスペクトを抱いている』。

この短い回答は、これまで不振期であってもアルバレスを徹底的に擁護してきた指揮官の態度としては余りにも対照的であり、ファンによるブーイングや怒りを「裏で黙認・支持」したのではないかという激しい議論と論争をメディア周辺に引き起こす結果となりました。

一方で、アンジェル・トーレス氏らとの昼食会に臨んだエンリケ・セレーゾ会長は、この騒動を損なわぬようメディアへ次のようにアピールしました。

『ジュリアン・アルバレスは私たちのプロジェクトにおいて絶対的な中心であり、極めて重要なパーツだ。サポーターからどのような声が上がろうとも、彼はわずか2試合もピッチに立てば、その素晴らしいプレーとパーソナリティでファン全員を完全に魅了し、愛を取り戻すと確信している。彼は人間的にも本当に素晴らしい男だ。私たちは彼とともに今シーズンのタイトルを全力で狙いに行く』。(via SPORT / ElDesmarque / Mundo Deportivo / MARCA)

クラブのレジェンド・キコが激怒!ジュリアン・アルバレスの代理人が犯した「最悪の愚策」

このジュリアン・アルバレスの移籍願望を巡る泥沼の対応に対し、1990年代にアトレティコ・マドリードの絶対的なエースストライカーとして君臨し、クラブの偉大なレジェンドとしてサポーターから愛され続けるキコ・ナルバエス氏が、ラジオ番組「カルーセル・デポルティーボ」において、アルバレスの代理人であるフェルナンド・イダルゴ氏のやり方を烈火のごとく非難しました。

キコ氏は、今回の交渉プロセスを「代理人業界における最悪の失敗例」と切り捨て、次のように痛烈な皮肉を込めて批判を展開しました。

『フットボールのビジネスを動かすのは、突き詰めればサポーターの純粋な情熱とクラブに対する愛着(センチメント)だ。誰一人として、自分たちの愛するクラブが踏み台のように軽んじられることを許すはずがない。選手が他クラブへの挑戦を夢見ることは権利として全く自由だが、そこには正しい去り方というものがあるはずだ。ここでひとつ、皆さんに特別な事実を告げよう。もし今、世界のフットボールエージェントを対象に、その管理能力を称える素晴らしい賞が創設されたとしても、ジュリアンの担当代理人の名前は、500人のノミネート候補の中にすら間違いなく入ることはない。これ以上にひどく、愚かで、お粗末な移籍交渉を私はこれまでの人生で一度も見たことがないからだ』。

さらにキコ氏は、具体的な金額やワールドカップの時期にこのような騒動を起こしたことの致命的な非合理性を、自身が選手の立場に身を置いて次のように厳しく分析しました。

『自分がもしジュリアンの立場だったら、代理人に対して親密に問いかけるだろう。お前はバルサがアトレティコを納得させられるだけの十分な資金を用意できていると本当に確認したのか、と。もし、アトレティコが最低でも1億5000万ユーロを要求するのに対し、バルサが1億ユーロ程度しか持っていないと分かっているならば、私は他クラブへの愛を表明するような無駄なジェスチャーは絶対にしない。ましてや、国を代表して命がけで戦っているワールドカップという極限の舞台の最中に、夢を叶えるために去りたいなどという身勝手な言葉を口にすることは、絶対にあり得ない愚行だ。ジュリアンはネイマールのような傲慢な鉄のメンタリティを持った選手ではない。ブーイングを浴びせられた際、平然と50回ボールを要求して黙らせるような圧倒的なパーソナリティがあるようには見えないのだ。この代理人の最悪のやり方のせいで、彼は自分で蒔いたひどい種を、今後長い時間をかけてメトロポリターノのピッチで刈り取らざるを得なくなった』。(via Mundo Deportivo / ElDesmarque)