主力を維持した驚くほどの静けさ!前年1億ユーロ超の売却劇から一転、継続性を最優先した今夏の移籍戦略

今夏の移籍市場において、ビジャレアルは近年見られなかったほどの異例の静けさと平穏の中で市場を閉じた。大きな売却話や、移籍市場の最終盤にありがちな駆け込みでのドタバタ劇は一切なく、チームの要となる骨格を完全に維持。今シーズン課せられる非常にタフな戦いに向けて、既存メンバーの継続性を最優先する方針をとった。

一時は中盤の要であるパプ・ゲイの退団が今夏最大の放出候補として噂されていたが、週を追うごとに残留が確定的となり、結果的に中盤の強固な基盤が保たれることとなった。

これは最高責任者であるフェルナンド・ロイグ・ネゲロレスが夏の初めに予告していた『主力を維持し、大規模なチームの再編成を避ける』というビジョンを見事に実行した形である。

昨シーズン(2025/2026シーズン)のビジャレアルは、アレックス・バエナをアトレティコ・マドリードへ4200万ユーロ、イェレミー・ピノをクリスタル・パレスへ3000万ユーロ、ティエルノ・バリーをエヴァートンへ3000万ユーロで放出するなど、3人の主力売却だけで1億ユーロを超える巨額の売却益を得ていた。その資金を元手に、ミカウタゼやレナト・ヴェイガ、アルベルト・モレイロといったビッグネームの獲得へと動いた経緯がある。

しかし、今夏はそうした大型売却の必要性に迫られることなく、現有戦力の維持に集中した。リーグ戦、コパ・デル・レイ、そして何よりチャンピオンズリーグという大舞台を戦い抜くための「黄金のブロック」をほぼ無傷のまま残したと言える。(via SPORT)

補強はわずか2人!新守護神グラーチと超新星サリバ、および去りゆく選手たちの全容

今夏の完全な新加入選手は、ペーテル・グラーチとネイサン・サリバの2名のみに絞られた。さらに、エスパニョールでの2年間の実りあるレンタル移籍を終えて帰ってきたカルロス・ロメロが、今季のビジャレアルにおいて極めて重要な役割を担うこととなる。

ビジャレアルは今夏、守護神ディエゴ・コンデをベティスへ、アルナウ・テナスをマジョルカへとそれぞれ放出。これにより、ルイス・ジュニオールとハイレベルな正GK争いを繰り広げられる経験豊富なキーパーの獲得が急務となっていた。その白羽の矢が立ったのがベテランのグラーチである。彼はまだ公式戦での出場機会を得ていないが、チームの守備陣に安心感をもたらすピースとして大きな期待を背負っている。

今夏のクラブ史上最大の投資となったのが、ベルギーの名門アンデルレヒトから1500万ユーロを投じて獲得したカナダ代表MFネイサン・サリバである。サリバは数シーズンにわたってビジャレアルのスカウティング網にかかり続けていた待望のタレントで、パプ・ゲイやサンティ・コメサニャらがひしめく中盤の激しい競争をさらに活性化させる。

一方で、放出に目を向けると、ラモン・テラッツがヘタフェへ250万ユーロで完全移籍、ヴィリー・カンブワラがコモへ1000万ユーロの買い取りオプション付き(買い取り義務なし)でレンタル移籍、アレックス・フォレスがブルゴスへ約40万ユーロで移籍した。また、アルフォンソ・ペドラサは契約満了に伴うフリー契約でクラブを去っている。このように、不必要な安売りやチーム崩壊につながる放出を徹底して回避したスマートな立ち回りが光った。(via SPORT)

ベンチに吹く新たな風!イニゴ・ペレス監督が植え付ける超攻撃的戦術と下部組織からの抜擢

今夏のビジャレアルにおける最大のゲームチェンジャーは、新しく就任したナバーラ出身の指揮官、イニゴ・ペレス監督である。

リーグ開幕からの3試合でいまだ初勝利は挙げられていないものの、この新指揮官はすでにチームに劇的な変化をもたらしている。ピッチ上でより主導権を握り、前線からアグレッシブに連動したプレスをかけ、常にゴールを狙い続けるきわめて魅力的な攻撃的フットボールのスタイルを構築中である。ピッチ内での出来は素晴らしく、両ゴール前での細かな決定力さえ伴っていれば、すでに勝ち点3を積み重ねていたと誰もが口を揃える内容を見せている。

また、クラブの伝統である下部組織の育成力も光っている。ダニ・パレホやトマスの退団に伴い、クラブが極めて大きな期待を寄せるカルロス・マシアとアラサン・ディアタの若手2名が正式にトップチームへと昇格。ベテランたちの穴を埋めるべく中盤に新鮮なエネルギーを注入している。

さらに、昨シーズンにラージョ・バジェカーノへレンタル移籍し、他ならぬイニゴ・ペレス監督の指導を受けていたイリアス・アコマシュもクラブに帰還。気心の知れた指揮官のもとで、チームの重要な攻撃のオプションとして躍動する準備を整えている。(via SPORT)

2018年以来の激突へ!市場最終盤に大物補強を連発した古豪デポルティボがラ・セラミカに上陸

今週土曜日、ビジャレアルの聖地ラ・セラミカにデポルティボ・ラ・コルーニャがやってくる。スペインフットボールの歴史において、リーグ優勝1回、国王杯2回を制し、チャンピオンズリーグでも準決勝に進出した輝かしい過去を持つ大クラブだが、近年は3部リーグで4シーズンも泥にまみれる苦境を経験していた。その古豪がついに1部リーグのトップエリートの舞台へと帰還。両クラブが公式戦で相まみえるのは、2018年以来となる。

このデポルティボは現在、非常に不気味なほどの勢いと充実した戦力を誇っている。移籍市場の最終盤に、FCバルセロナから期待のMFマルク・カサドを3000万ユーロの買い取りオプション付きレンタルで獲得し、さらにアトレティコ・マドリードから実績十分のウルグアイ代表DFホセ・マリア・ヒメネスを同じくレンタルで補強。アントニオ・イダルゴ監督の判断次第では、この土曜日のラ・セラミカでこの2人がいきなり新天地デビューを果たす可能性がある。

さらに、現在1試合に1ゴールのペースで得点を量産している37歳のピエール=エメリク・オーバメヤン、アンヘリーニョ、アダマ・トラオレといったスター級の戦力に加え、スペイン国内でも屈指の若手タレントであるイェレマイ・エルナンデスもチームに留めることに成功。新生デポルティボは、かつてないほどの期待感に満ち溢れている。(via SPORT)

最後の直接対決は歓喜の夜!2018年の敵地で繰り広げられた4発大勝とEL出場権獲得のドラマ

ビジャレアルとデポルティボが最後に公式戦で戦ったのは、2018年5月12日のことだった。当時ハビ・カジェハ監督に率いられたビジャレアルは、降格が決まり沈んでいたデポルティボの本拠地に乗り込み、4-2で勝利を収めてヨーロッパリーグの切符を自力で掴み取った。

試合は開始わずか2分、サム・カスティジェホが左足から放った素晴らしいミドルシュートで先制。さらに前半30分にはマヌ・トリゲロスが追加点を挙げてゲームを優位に進めると、前半終了間際の45分にはこの日のベストプレイヤーであったカスティジェホが電撃的な自身2点目を叩き込んでデポルティボを突き放した。

後半に入ると、意地を見せるデポルティボのボルハ・バジェに58分と88分にゴールを許して1点差に詰め寄られたものの、ビジャレアルはロシア人快速ウイングのデニス・チェリシェフが試合を決定づける4点目を冷静に沈め、敵地での打ち合いを制した。

この勝利により、ビジャレアルはリーグ最終節を残してEL出場を確定させた。あの興奮と喜びから時を経て、今週末、再び新たな歴史がラ・セラミカで刻まれることとなる。(via SPORT)

【本日の総括】

今夏のビジャレアルは、主力を売却せず既存メンバーの継続性を最優先にするという極めて賢明で穏やかな市場を過ごしました。イニゴ・ペレス新監督の超攻撃的戦術が少しずつ浸透し、下部組織からも新たな才能が台頭する中、今週末はいよいよ2018年以来となる古豪デポルティボ・ラ・コルーニャとの因縁の対決を迎えます。市場の最終盤に大物補強を敢行した不気味な敵をホームで迎え撃ち、今季待望の初勝利を挙げるための舞台は完全に整いました。