8年ぶりの1部復帰

デポルティーボ・ラ・コルーニャは、じつに3,000日以上におよぶ長い下部リーグの苦難の時期を経て、待ちに待ったラ・リーガ1部(プリメーラ・ディビシオン)の舞台に帰ってきました。本拠地リアソールで行われた今シーズンの開幕戦はエルチェCFを相手に1-1の引き分けとなりました。スタジアムは期待に包まれたものの、ピッチ外の社会的問題による不穏な空気が漂う中でのキックオフとなりました。チームは、新たに加入した選手のうち5人をスタメンに起用する布陣を敷き、左サイドバックのアンヘリーニョのみをベンチに温存する構成で臨みました。(via SPORT)

スーパースター・オーバメヤンの衝撃

今夏にデポルティーボへ電撃加入した37歳のフォワード、ピエール=エメリク・オーバメヤンが、その価値を即座に証明する素晴らしいゴールを決めました。前半21分、ハーフライン付近からロレンツォ・アマトゥッチが放った極めて正確な低空のロングパスに反応し、相手守備陣の裏へ抜け出しました。オーバメヤンは完璧な右足のコントロールでボールを収めると、落ちる前に電光石火の左足で Dituro の牙城を破り、見事な先制弾を沈めました。ゴール後には37歳とは思えないアクロバティックな空中での宙返りパフォーマンスを披露し、コンディションが万全であることを大観衆に見せつけました。(via ElDesmarque)

守護神レオ・ロマンの神がかり的セーブ

エルチェにボールを支配され、押し込まれる時間帯が続いたデポルティーボを最後方で救い続けたのが、ゴールキーパーのレオ・ロマンです。前半には、コーナーキックからのこぼれ球を至近距離でアリ・アワリに狙われましたが、ゴールライン上で超人的な反応を見せてセーブ。さらに後半57分には、フェル・ニーニョとアリ・アワリが放った決定的な連続シュートを、文字通り神がかり的な「ダブルパラドン」で阻止し、スタジアム中の観客を興奮で総立ちにさせました。中盤ではアプ・イェンセンがセットプレーから惜しいシュートを放つ場面もありました。(via Mundo Deportivo)

エルチェ同点弾を招いた誤審疑惑

後半76分にエルチェのマーク・アグアドにヘディングシュートを叩き込まれて1-1と追いつかれましたが、この同点ゴールの直前の判定をめぐり、重大な審判の誤りが指摘されています。同点弾の起点となったコーナーキックですが、ボールがゴールラインを割る直前に最後に触れていたのはデポルティーボの選手ではなく、エルチェのヘルマン・バレラの膝でした。本来であればコーナーキックではなくデポルティーボのゴールキックで再開されるべき状況であり、主審エルナンデス・マエソのミスジャッジに対し、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入して判定を変更すべきだったと分析されています。(via ElDesmarque)

リアソールを覆う深刻な社会的亀裂

1部復帰を祝う記念すべきホーム開幕戦となるはずだったリアソールですが、スタジアムは極めて重苦しい社会的緊張感に包まれていました。クラブがウルトラスの「Riazor Blues」らが集う Marathón Inferior スタンドに対して課した新しい規制措置(安全面などを理由とするもの)に対し、ファン組織が猛反発。サポーターはオレンジ色の衣類を着用する抗議活動を行い、試合開始からの40分間は一切の応援や声援を行わない「沈黙のストライキ」を実行しました。そのためスタジアムは非常に冷え切った奇妙な雰囲気となり、前半40分を過ぎるとクラブのやり方を批判するチャントが響き渡るという異常事態が起きました。(via ElDesmarque)

選手への執拗な圧力と侮辱の告発

ピッチ外でのクラブとサポーターの闘争は、ついに選手たちへも被害を及ぼす事態となりました。クラブが発表した公式声明によると、一部の極端なサポーターが、選手たちに対してクラブとの争いにおいて自分たちの側に有利になるような発言やスタンスを公に表明するよう強要。練習中だけでなく、SNSやプライベートなメッセージアプリ、さらには試合後に家族と一緒にスタジアムから出る際にも、特定の選手たちを囲んで執拗な侮辱や圧力を繰り返していたことが発覚しました。クラブはこれらを「絶対に許容できない暴力、脅迫、あるいは威嚇行為」としてドキュメント化し、法務部門に提出して法的手段を進めることを明言しました。(via Estadio Deportivo)

ミックスゾーンでのメディア質問拒否

エルチェとの開幕戦終了後、ミックスゾーンで取材に応じたチモ・ナバーロに対して、クラブのメディア総責任者が、スタンドでのサポーターの抗議活動に関するジャーナリストの質問を「不適切である」として強制的に遮断・禁止する事態が起きました。この規制に対し、ガリシア・スポーツ記者協会(Agaxorde)は、報道の自由と記者の職務を妨げるものであるとして、クラブを非難する公式声明を発表。これに対しクラブは、選手たちがピッチ外の論争に精神的な負担を負う(心理社会的リスク)のを防ぎ、雇用主として彼らの健康と安全を守るための適切な措置であったと主張しています。(via ElDesmarque)

イダルゴ監督の現実的な試合総括

試合後の会見で、アントニオ・イダルゴ監督は引き分けという結果を現実的に捉え、『毎週勝ち点を積み上げていくことが非常に大事。今シーズンは全ての試合が難しく、あらゆる相手に対して困難な戦いが待っている』と語り、厳しいラ・リーガ1部での戦いに向けた決意を示しました。サポーターたちの間でも「まずは残留を確実に果たすことが第一」という現実的な目的が共有されており、今シーズンの最終節がサンティアゴ・ベルナベウでのレアル・マドリード戦という過酷なカレンダーであることから、第37節までには早々に残留を確定させたいという悲願が語られています。

ファンの間でも期待と現実が交錯しており、Flori Represasや、バレンシアから駆けつけたJosé Manuel Noyaと息子のFranなどからは「とにかく残留することが今シーズンの目標」という声が多く聞かれました。特に若い世代にとっては、この約10年間デポルティーボが泥水のような過酷な下部リーグにいたため、1部の記憶がありません。若手のテウン・ヒハルハルトやダビド・メジャ、アプ・イェンセンといったタレントへの期待、そして最も人気を集めた「オーバメヤン」への信頼が熱く語られています。Daniel Gagoは『1部はまるでロシアンルーレットのようで、何が起こるか分からない。昨年のエスパニョールのように、上がったり下がったりが激しい』と語り、Moisés Oteroは『中位フィニッシュでも素晴らしい結果だ』と話しています。また、Santiago Carideは『1部でどう戦うか、チームの対応をしっかり見守る必要がある』と述べ、着実に一歩ずつ歩むことの必要性を説いています。(via SPORT)

【本日の総括】

8年ぶりの1部復帰となるホーム開幕戦は1-1のドローで勝ち点1を分け合う結果となりました。スーパースターであるオーバメヤンの衝撃的なゴールや守護神レオ・ロマンの神セーブといったピッチ上の熱狂の一方で、Marathón Inferiorスタンドをめぐるクラブとサポーターの深刻な対立、さらに選手への嫌がらせやメディア規制といったピッチ外の深刻な問題が影を落としています。イダルゴ監督のもと、この大荒れの状況を乗り越えて1部残留を果たすことができるのか、これからの戦いに注目が集まります。