エズ・アブデへの脅迫騒動と「セウタ支援」を巡る激しい論争

ビジャレアル戦のキックオフ前、ベティスとビジャレアルの全選手は、7月30日以降に深刻化している移民危機に直面するセウタの住民を支援するため、「Todos Somos Caballas(誰もがセウタ市民だ)」と記されたTシャツを着てピッチに入場した。両クラブが連名で発表した声明では、セウタの市民が一日も早く日常を取り戻せるよう団結と尊重のメッセージを伝える目的が説明されていた。

しかし、モロッコのベニ・メラルで生まれ、スペインのエルチェで育った後にモロッコ代表を選択したエズ・アブデがこのTシャツを着用したことに対し、母国モロッコのSNSユーザーを中心に過激なバッシングと直接的な脅迫が殺到する事態となった。アブデのInstagramには以下のような過激なコメントが溢れかえった。

『祖国を裏切ることは一瞬の姿勢ではなく、歴史の記憶に残る恥辱だ。祖国は売り物ではない。売る者は尊厳を失う』

『今日はお前に恐怖を味わわせてやる。明日は人生最悪の一時間を過ごすことになるだろう』

『臆病者になるな、男になれ』

『セウタとメリリャはモロッコのものだ。歴史はTシャツ一枚で消せはしない』

『これがモロッコ代表として見られる最後の姿になるだろう』

こうした事態を受け、アブデは自身のInstagramで唯一公開していた投稿写真を削除・非表示にする対応を余儀なくされた。

この騒動はテレビ番組『El Chiringuito』でも大きな議論を呼び、モロッコ人ジャーナリストのユーセフ・テムサマニ氏は「SNS上での心ない一部の人間による暴言や脅迫は愚かな行為だ」と批判しつつも、『ベティスは選手が精神的な打撃を受けないよう、最初からスタメンで起用せず後半から出場させるなどの配慮をスポーツ面ですべきだったのではないか』と主張した。

これに対して同番組の解説者クリストバル・ソリア氏が激怒し、『ベティスがスポーツ面で監督に指示を出してスタメンから外させろと言うのか?それはあまりにもナンセンスで、あり得ない暴論だ!』と強い口調で反論。ベティスがクラブとして社会支援活動を行ったこと、そしてアブデがチームの一員としてそれに参加した姿勢を全面的に擁護し、激しい議論が繰り広げられた。(via MARCA / SPORT / Mundo Deportivo / ElDesmarque / Estadio Deportivo)