プレシーズン・アーセナル戦:ダブリンでの快勝劇と試合詳細
アイルランドのダブリンにあるアヴィバ・スタジアムで、プレシーズン第6戦として昨季のプレミアリーグ覇者でありチャンピオンズリーグ準優勝チームであるアーセナルと対戦し、1-3の快勝を収めました。
試合はダブリン市内の深刻な交通渋滞にチームバスが巻き込まれ、予定より15分遅れの20:45(CET)にキックオフされるというハプニングから始まりました。しかし、51,711人の超満員で埋め尽くされたスタジアムで、試合を支配したのはベティスでした。
前半8分、パブロ・フォルナルスが蹴ったコーナーキックに対して、相手GKケパ・アリサバラガが目測を誤ってファンブル。これを見逃さなかったロドリゴ・リケルメが、ゴール至近距離から冷静に押し込んで先制ゴールを記録しました。
さらに前半26分、このプレシーズンで中央のポジションに入っているコロンビア人MFネルソン・デオッサが、エリア外の正面でフォルナルスからのパスを受けると、そこから約30メートルの距離から目の覚めるような弾丸左足ミドルシュートを放ち、これがネット右の完璧な隅に突き刺さって0-2と突き放しました。
前半32分にピエロ・インカピエのヘディングシュートで1点差に詰め寄られます。これはツォリスのコーナーキックの際、相手ハヴァーツがキーパーのアルバロ・バジェスの進路を塞ぐスクリーンをかけ、バジェスが目測を誤って飛び出せなかったことで奪われたものでした。
しかし前半43分、高い位置でのプレッシングからデオッサが相手ディフェンダーのカラフィオーリからボールを強奪。そのこぼれ球を拾ったフォルナルスが、エリア手前から低い弾道のシュートをゴール左隅へ突き刺し、1-3で前半を折り返しました。
後半は相手監督アルテタが7人の選手を交代させて挽回を図る中、ベティスも統制された守備組織で反撃をシャットアウト。試合終了間際には、ネイサンのクリアなどでピンチを防ぎ、終始試合をコントロールしたままダブリンの地で大きな勝利を手にしました。(via SPORT, Estadio Deportivo, MARCA)
キャプテンマークの譲渡:バルトラからベジェリンへの古巣への敬意
この親善試合のキックオフ直前、ベティスのロッカールームとピッチ上で非常に美しい人間味あふれるシーンが描かれました。
かつてアーセナルに10年もの長きにわたって在籍し、チームのキャプテンも務めた経験を持つ右サイドバックのヘクター・ベジェリンに対し、この日の試合前、本来キャプテンを務める予定だったMarc Bartraが自ら腕章を譲り渡しました。
ベジェリンは古巣アーセナルに対する敬意と、ダブリンに詰めかけた大勢のファンへの挨拶を込めて、キャプテンマークを巻いてチームの先頭に立ってピッチへ入場しました。この粋なジェスチャーは、アヴィバ・スタジアムのスタンドからも温かい拍手と喝采を浴びています。(via MARCA, Estadio Deportivo, SPORT)
ベジェリンの独白:アーセナルを去った恐怖とアルテタ監督への大いなる感謝
キャプテンマークを巻いて古巣と対戦したヘクター・ベジェリンは、イギリス紙のインタビューに対して、かつて10年間過ごした最愛のロンドンを離れる際の葛藤を告白しました。
ベジェリンは、長年暮らした家であり、多くの友人や思い出がある場所を去ることは深く傷つくことであり、本当に恐ろしかったと振り返っています。しかし、そのどん底の瞬間に現れてくれたベティスは奇跡のような存在であり、自身をプロとしても人間としても救ってくれたと語っています。今でもアーセナルのサカやホワイト、監督やスタッフたちのことは実の家族のように深く愛しています。
また、アーセナルのミケル・アルテタ監督への感謝についても熱く語り、自身のサッカー脳の8割はアルテタの教えによって構築されていると明かしました。ポジショニングやスペースの使い方、仲間の活かし方といったアルテタのビジョンは完全に異次元であり、その戦術を理解したことで自身の選手寿命は間違いなく何年も伸びたと恩師に最大の敬意を表しています。(via Estadio Deportivo, SPORT)
ネルソン・デオッサの偽9番起用:プレミア複数スカウトの前で披露した衝撃ゴラッソ
ペレグリーニ監督から今夏のプレシーズンで「偽9番(デコイ)」として新境地を開拓されているネルソン・デオッサが、アーセナル戦で最優秀選手に選ばれる極上のパフォーマンスを見せました。
デオッサは、身体を張ったポストプレーや前線からの激しいプレス、さらにはスペースへの抜け出しで相手ディフェンダー陣を終始混乱に陥れました。とりわけ前半に見せた目の覚めるような弾丸シュートは、スタジアム中の視線を釘付けにしました。
この試合のスタンドには、プレミアリーグのイプスイッチやリーズ、さらにウェストハム、ウォルヴァーハンプトンのスカウトたちがデオッサを直接偵察するために視察に訪れていました。現在、彼はプレシーズンで3ゴールをマークし、パブロ・ガルシアと並んでチームのトップ得点王となっており、このアピールによってイギリス国内での市場価値はさらに急騰しています。(via Estadio Deportivo, ElDesmarque, MARCA)
プレシーズン順調な仕上がり:これまでの全戦績と今後の予定
今夏のベティスは、長い休暇明けの約1ヶ月半にわたるプレシーズンにおいて、順調に実力を伸ばしています。
これまでに6試合の親善試合を戦い、戦績は5勝1敗となっています。具体的には、シュポルトフロインデ・ロッテ(0-3勝)、レクレアティーボ・ウェルバ(0-1勝)、グラナダ(1-0敗)、オリンピック・リヨン(4-0勝)、アルメリア(1-0勝)、アシックス・スタジアムで行われたアーセナル戦(1-3勝)です。グラナダ戦が唯一の黒星となっています。
今後の予定としては、まず8月8日(土)20:30から、カルトゥハ・スタジアムでプレミアリーグのボーンマスと、ベティスの今季唯一のホームプレシーズン戦およびファンへの新チームお披露目(プレゼンテーション)試合を行います。
その後、8月15日(土)19:30からイタリアのバーリに飛び、サン・ニコラ・スタジアムでセリエAのインテル・ミランとの最終親善試合に臨むことになります。(via MARCA, Estadio Deportivo, ElDesmarque)
選手個別評価:復活ロードを歩むイスコとアントニーのデビュー
アーセナル戦における、選手たちへの具体的なパフォーマンス評価とスタッツは以下の通りです。
GK Álvaro Valles(評価4):試合開始直後に素晴らしいセーブを見せたものの、この日は不安定さが目立ちました。アーセナルの得点シーンではコーナーキックからの飛び出しの判断を誤り、足元でのパス回しでもいくつかの重大なミスを重ねました。
DF Bellerín(評価7):優れた身体能力を見せ、常に右サイドの深い位置まで進入して攻守に大きく貢献。後半のプレーはとりわけ素晴らしく、見事な仕上がりを見せています。
DF Bartra(評価6):相手のギョケレスをしっかりと監視し、終始落ち着いた正確な対応でディフェンスラインを統率しました。
DF Natan(評価6):プレミアリーグのクラブからも強い関心を持たれている中で、強固で容赦のない対人守備を見せ、自身の価値を十分に証明しました。
DF Fran García(評価6):圧倒的なフィジカルを活かしてピッチを往復し、左サイドから何度も相手ゴール前へ鋭いセンタリングを送り込みました。
MF Facundo Bernal(評価7):アーセナルという非常に高水準な中盤を相手にしても全く怯まず、卓越した読みで危険を察知してセカンドボールを回収。戦術眼の高さを見せました。
MF Gnangoro Bouare(評価5):Marc Rocaの筋肉温存に伴い急遽先発起用されましたが、大きな破綻なく前半をプレーしました。
MF Fornals(評価8):昨シーズンの好調をそのまま維持しており、最初のゴールへのアシストや、見事なコントロールから決めた前半終了間際の3点目の追加点など、最高クラスの働きでした。
MF Pablo García(評価6):ピッチ上で最も泥臭くタフに働き、チームのために犠牲となって走り続けました。いくつかの決定機がありましたが、この日は得点を奪えませんでした。
MF Riquelme(評価8):縦への突破の鋭さと、判断力の向上が際端に表れており、こぼれ球を見逃さずに先制点を奪うなど、今季への意気込みが反映された素晴らしいパフォーマンスでした。
MF Isco Alarcón(評価5):後半からピッチに入り、ファンを魅了する美しいヒールシュートを狙いましたが相手キーパーに阻まれました。まだ体力的には本調子とは言えませんが、確実に実戦感覚を取り戻しています。
FW Antony(評価5):73分から出場し、マンチェスター・ユナイテッドに在籍していた経緯からブーイングを受けましたが、いくつかの積極的なプレーで可能性を示しました。(via ElDesmarque, Estadio Deportivo)
負傷者・温存・休暇メンバー情報:ロ・チェルソの合流予定と筋肉過負荷のロカ
新シーズンの開幕が近づく中で、ベティスの主力選手たちの現状と復帰プロセスは以下の通りです。
中盤の要であるMarc Rocaは、筋肉に軽い張り(過負荷)があったため、プレシーズン中の大きなリスクを避けるためにアーセナル戦の招集を回避しました。これは怪我ではなく完全な予防措置であり、次のボーンマス戦には復帰する見通しです。
ワールドカップ決勝まで戦い抜いたアルゼンチン代表のGiovani Lo Celsoは、十分な休暇を消化しており、今週末の8月9日にチームに合流する予定です。
また、合流間もないクチョ・エルナンデスは、まだ3回しか全体練習を行っていないためコンディション調整を優先し、同じくアルバロ・フィダルゴもペレグリーニ監督の意向で無理な起用を避けて個別調整を行っています。
負傷者リストでは、肩を脱臼したGKのDiego Conde、半月板の手術を受けたAitor Ruibal、そしてワールドカップ中の怪我からフランスで個別のリハビリを行っていたEz Abdeが、それぞれ回復プロセスを進めています。アブデは8月15日のインテル戦での実戦復帰を目指しています。
なお、チームの構想から外れているIker Losada、Gonzalo Petit、Emmanuel N'Goran、Corralejoは、ダブリン遠征には帯同せず、セビージャに居残り、個別の放出先模索トレーニングを続けています。(via Estadio Deportivo, ElDesmarque, MARCA)
移籍市場の動向:アムラバト再獲得への粘り強い駆け引きとチュクウェゼへの関心
ベティスの補強戦略における中心トピックは、フェネルバフチェに所属するソフィアン・アムラバトの再獲得交渉です。
フェネルバフチェ側は表向き1500万から2000万ユーロの巨額な移籍金を求めていますが、この額はベティスの経済規模では不可能です。しかし、アムラバト自身がベティスへの復帰を熱望しており、すでにベティス側と個人的な条件面で合意しているとの報道もあります。ベティスのフロント陣は、市場の最終盤まで引き伸ばすことで、レンタル移籍や大幅に引き下げられた金額での買い取りを狙って粘り強く交渉を続ける作戦です。万が一の代替案として、ルイス・ファーガソンやジョアン・パリーニャの動向も注視しています。
また、ウイングの補強候補としてACミランのサム・チュクウェゼに関心を示していますが、彼の獲得には約1800万ユーロが必要であり、ベティスがエズ・アブデを6000万ユーロ以上、またはディフェンダーのネイサンを4500万ユーロ以上でプレミアリーグに売却し、多額の資金を得ることが前提条件となっています。
その他の動向として、かつて所属していたChimy Ávilaが現在フリーエージェントとなっており、アルゼンチンのロサリオ・セントラルと交渉を進めているほか、ボカ・ジュニアーズも関心を示しています。(via Estadio Deportivo, ElDesmarque)
新規ソシオ急増とスタジアム販売プロモーション
クラブは、新シーズンに向けてサポーターの確保を順調に進めています。
7月15日にソシオ(年間シート会員)の更新期間を終了し、更新率は97.3%に達しました。これにより、合計55,474人のサポーターが会員権を維持しています。今季はスタジアムの上限座席数が57,000席から57,650席へ拡大されたため、新規シート獲得のウェイティングリストから新たに2,176人(Palmerínと呼ばれる子ども向けから一般ソシオへ移行する763人を含み、残りの1,413人は待機者の先着順)を新規登録する作業が進行していましたが、現在多数の申し込み処理のため、一時的に受付手続きをストップしています。
また、今週土曜日にカルトゥハ・スタジアムで行われる唯一のホーム親善試合ボーンマス戦に向けて、クラブは大規模なチケットプロモーションを展開しています。ソシオはシステム管理費の1.5ユーロのみで入場可能とし、同行者やソシオ外の会員もわずか6.5ユーロ(チケット5ユーロに管理費1.5ユーロ)で入場できる割引を導入。すでに2万5000枚以上のチケットが売れており、スタジアムに半数以上のサポーターを動員して最高の盛り上がりで新チームをお披露目する準備が整っています。(via Estadio Deportivo)
【本日の総括】
ダブリンで行われたアーセナルとのテストマッチを1-3で制し、ネルソン・デオッサやロドリゴ・リケルメ、パブロ・フォルナルスらの得点によって、チャンピオンズリーグ出場チームとしての貫禄を見せつけました。古巣対決となったベジェリンの深い愛や、アムラバトの再獲得に向けた緊迫するマネーゲームなど、来たる新シーズンの開幕に向けてベティスはピッチ内外で極めて強固な野心と団結力を構築し、最高の状態で新シーズンへ突き進んでいます。