バジェカス閉鎖とブタルケ代替開催を巡るマドリード州との法的対立と直前の延期申請劇

ラージョ・バジェカーノを取り巻くホームスタジアムの閉鎖をめぐるピッチ外の混乱は、信じられないほどの法廷劇と二転三転の展開を見せています。

事の発端は、マドリード州の文化・観光・スポーツ省が外部に委託したスタジアムの技術的監査報告書でした。その結果、歴史ある本拠地「エスタディオ・デ・バジェカス」において、「一般化した設備の老朽化」、およびスタジアム全体の安全性と通常の試合運営プロセスを大きく阻害する「深刻な基準未達」が公式に検出されました。これにより、マドリード州は安全管理上、バジェカスでの公式戦開催を禁止する厳しいスタジアム使用停止処分を下しました。

クラブは、スタジアムが公式戦を十分に受け入れられる状態にあると主張し、州の使用停止処分を解除して試合を開催させるための緊急の仮処分を裁判所へ申請して徹底抗戦しました。しかし、マドリード州の判断は厳しく、月曜日の午後に下された決定において、このラージョ側の申請を最終的に「却下・否定」する回答を通告。これにより、ラージョのバジェカスでの開幕ホーム戦(第2節デポルティボ・アラベス戦)の開催は、法的に100パーセント不可能となりました。

これを受け、ラージョは試合のわずか1日前(水曜日の早朝)になって、LaLigaに対して『バジェカスで試合を開催できないことは、クラブの経済的利益だけでなく、サポーターに対してあまりにも深刻な不利益をもたらす』として、アラベス戦の公式な「日程延期」を突如として申請。しかし、試合間際での延期要請に対し、LaLiga側からの正式な決定やリアクションは水曜日の早朝の時点でも一切発信されず、日程の変更が行われないまま強行される可能性が極めて高い状況に。

万が一、延期が認められずに試合がそのまま強行される場合の「代替地(プランB)」として、ラージョは同じマドリード南部のCDレガネスとの間で、彼らの本拠地である「エスタディオ・オンタイム・ブタルケ(Estadio ONTIME Butarque)」(収容人数14,000人超、約14,700席、バジェカスとほぼ同等の規模)を使用させてもらう暫定的な利用合意を急遽締結しました。結局、延期申請が通らずに試合が行われるため、本日20日木曜日の21時00分から、ラージョはホームゲームでありながらブタルケをホームグラウンドとして戦うことになります。(via ElDesmarque / MARCA)

bukanerosらサポーターペーニャの強硬ブロック不参加呼びかけと寂しすぎるチケット売り場の惨状

スタジアム問題に伴うレガネスへの「急な引越し(スタジアム強制移転)」に対し、チームの熱狂的なサポーターグループは激しい拒絶反応を見せています。

クラブ側はサポーターへの救済措置として、ソシオ(年間シート会員)向けに、バジェカスの自らのアボノ(会員証)と同等のカテゴリーのチケットを、レガネス戦の入場用として「無料」にすることを決定。水曜日の11時から22時、および木曜日の10時から20時45分までバジェカスのスタジアムチケット売り場(taquillas)を開放して引き換えプロセスを開始しました。

しかし、クラブの度重なる管理不足や、州との泥沼の交渉プロセスに不満を募らせる「ブカネロス(Bukaneros)」をはじめとする主要なサポーターペーニャ(ファンクラブ組織)は、この代替開催を強く非難。SNSなどを通じて、ラージョのサポーター全員に対して、レガネスのButarqueへは移動せず、完全に「不参加・不出席(ブロック・ボイコット)」を貫べきだという強硬な呼びかけを一斉に発信しました。

この組織的な抗議運動の影響は、引き換えプロセスの初日に早くも劇的な数字として現れました。水曜日の朝、バジェカスのチケット売り場が開門した際、現地に集まったのは、通常なら数千人が殺到するはずのところ、わずか「50人程度」という極めて寂しい惨状にとどまったのです。スタジアムのスタンドには、ラージョ側の空席が数千席規模で発生することが確実視されており、ホームとしての大きな強みである「熱狂的なバジェカスの風圧」を、フロント自身の失敗によって完全に手放してしまう結果を招いています。(via MARCA / ElDesmarque)

アラベス側が「非人道」と憤慨!アウェー席排除に対する貴賓席の完全ボイコット声明

チケット配給におけるフロントの不誠実な立ち回りは、対戦相手であるデポルティボ・アラベスとの間で決定的な外交問題へと発展しています。

ラージョは、代替開催地ブタルケが十分な収容能力(14,700席)を備えているにも関わらず、アウェーでチームを支えるためにマドリードへの遠征を予定していたデポルティボ・アラベスのサポーターに対し、アウェー専用のチケット販売枠を「1枚も提供しない(排除)」という極めて一方的で非情な決定を、試合前日になってアラベス側へ公式に通告しました。

この冷酷な決定に対し、アラベスは即座に激怒。クラブのファンを蔑ろにする不誠実な対応を『絶対に容認できない』と厳しく指弾する、かつてないほど強硬なトーンの公式声明をメディアに向けて一斉発表しました。

アラベスはその声明の中で次のように主張し、ラージョに対する全面闘争の姿勢を露わにしました。

『自らのスタジアム問題によって発生した不便のしわ寄せを、対戦相手のファンに一方的に押し付け、アウェーで愛するチームを応援する当然の権利を完全に奪うことは、フットボールの最も美しい本質やアイデンティティ、およびサポーターへのリスペクトを著しく汚す行為です。私たちはこのような不当な扱いに対して毅然と抗議し、これが今後のリーグにおいて悪い前例として繰り返されないよう、強く糾弾します』。

この抗議の直接的なアクションとして、アラベスの会長をはじめとする取締役会・役員全員は、ブタルケのVIP貴賓席(プレジデンシャル・ボックス)への出席を完全に「ボイコット」し、スタジアムに一切姿を現さないことを発表。ラージョは過去にも、ホームスタジアムであるバジェカスにおいて、ビジターチケットの販売枠を極端に削減したり、完全にゼロにして販売しないといった問題行為を幾度も繰り返してきた歴史があり、今回のブタルケでの仕打ちによって、スペインのフットボール周辺における「ビジターファンへの最も不親切なクラブ」としての悪名がさらに強固なものとなる、極めて恥ずべきスキャンダルを露呈しました。(via ElDesmarque)

クラブ史上最高2500万ユーロ!ノーベル・メンディのハル・シティ移籍が残した偉大な資金力と守備の穴

ディフェンス陣においては、今夏、クラブの歴史を完全に塗り替えるほどの超巨大な売却取引が成立しました。

セネガル人の快速センターバックであり、チームの守備の将来を一身に背負っていた20歳のノーベル・メンディ(Nobel Mendy)が、プレミアリーグへの昇格を狙うイングランド・チャンピオンシップのハル・シティ(Hull City)へ、完全移籍金「約2500万ユーロ」という天文学的なメガオファーで売却されました。

この2500万ユーロという金額は、ラージョ・バジェカーノというクラブの長い歴史の中で、これまでいかなるスター選手でも達成したことのない「史上最高額の売却」を樹立する快挙となりました。これにより、クラブの財務金庫には、他のすべての補強を自由に実行できるほどの圧倒的な資金力がもたらされることになりました。

しかし、その一方で、チームから「最もスピードがあり、最も対人の強さと高い将来性」を兼ね備えていたエースディフェンダーが完全に消滅してしまったことによるピッチ上の穴は、計り知れないほど甚大です。メンディの退団により、守備ラインの俊敏性とロングカバー能力が劇的に低下しており、この偉大な損失を補うための、時間との戦いである新たな補強プロセスのスピードアップが求められています。(via Estadio Deportivo)

メンディの後継者を追え!グラナダの21歳ガーナ代表DFオスカル・ナーセイ完全移籍獲得を巡る300万ユーロ交渉

ノーベル・メンディの電撃移籍によって守備陣にぽっかりと空いてしまった大きな穴を埋めるため、スポーツディレクター陣は移籍市場の最終盤において、グラナダCFの21歳のガーナ代表DFオスカル・ナーセイ(Óscar Naasei、2005年2月24日アクラ生まれ)の獲得に向けて、非常に具体的な完全移籍の交渉に乗り出しています。

ナーセイは、昨シーズンにグラナダのパチェタ前監督の絶大な信頼を掴み取り、セグンダ・ディビシオン(2部)において「公式戦39試合(うち36試合にスタメン起用、合計約2,900分出場)」という獅子奮迅のスタッツを残し、中盤から飛び出す鋭い守備で1ゴールも記録して評価を急上昇させました。

ラージョのフロント陣は、彼の「185センチの強靭な体躯」を活かした高い打点での空中戦の強さ、対フィールド全体を瞬時にカバーできる快速、さらにセンターバックと右サイドバックの両ポジションを高いレベルでこなす万能性が、売却したノーベル・メンディと極めて多くの特徴を共有している「メンディの後継者」であると断定。レンタル移籍ではなく、最初から「完全移籍(100%保有権の買い取り)」での獲得を前提として、グラナダ側と直接的な移籍金交渉を進めています。

グラナダ側は、彼が2027年6月までの契約(残り1年)であるため、今夏を逃すと1月1日からは他クラブと違約金なしで自由に移籍に向けた事前合意を交わされてしまう経済的リスクから、売却か残留かで非常に難しい決断を迫られています。現在、グラナダ側は移籍金の基準を「約300万ユーロ」と設定して頑なに値引きを拒絶していますが、ラージョ側はメンディやペップ・チャバリアの売却によって十分すぎる資金(2500万ユーロの余力)を保有しているため、この300万ユーロは財務上限的にも十分に支払える許容範囲。

ナーセイ自身も、1部の舞台でのプレーを強く望んでおり、クラブは移籍市場の閉幕前日までにこの交渉を完全に成立させるべく、最後の提案調整を粘り強く継続しています。(via Estadio Deportivo)

ベニャ・サン・ホセ新体制の台頭と守備陣の「野戦病院化」が生んだパテ・シスのCB緊急スクランブル

ピッチ内における戦術的な調整プロセスをめぐっては、新たにチームの指揮官に就任したベニャ・サン・ホセ監督が、シーズン最初期から極めてシビアなディフェンスラインの「野戦病院化」に直面しています。

現在、主力ディフェンダーであるルイス・フェリペがハムストリングの断裂により長期の戦線離脱を余儀なくされているほか、新加入の期待のセンターバックであるマラシュ・クンブラもまた、内転筋の負傷によってチームの戦列から完全に離脱しています。さらに、昨シーズンの主力であったノーベル・メンディやペップ・チャバリアといった守備の屋台骨たちが市場で売却されてチームを去ったため、ディフェンスラインの物理的な人数が致命的に不足しています。

この緊急事態を乗り越えるため、ベニャ・サン・ホセ監督は、本来ミッドフィルダーを本職とするパテ・シスを、急場しのぎのセンターバックとしてコンバートする「スクランブル起用」を決定。パテ・シスは、急造のセンターバックでありながら、持ち前のフィジカルの強さと高いヘディング、中盤仕込みのパス精度によってディフェンスラインに新たな安定をもたらしており、新戦力のナーセイらの登録が完了するまでの間、チームの最後方を支える重要な盾として、今回の試合でもルジューヌとCBコンビを組んで先発することが決定的となっています。

なお、かつてのエースストライカーであるラウール・デ・トマスについては、新監督の戦術モデルから完全に外れており、クラブの「放出リスト(構想外)」としてトレーニングモデルからも排除されているため、今回のアラベス戦の招集メンバーからも外れています。(via Estadio Deportivo)

開幕セビージャ戦(2-3)での教訓と第2節アラベス戦に向けた4-2-3-1予想スタメン

ベニャ・サン・ホセ監督の初陣となったラ・リーガ開幕戦(サンチェス・ピスフアンでのセビージャFC戦)は、非常に激しいドラマに満ちた展開となりました。

試合開始わずか4分の段階で、快速ウイングのアルバロ・ガルシアが見事なコントロールショットを沈めてラージョが電撃的に先制に成功。素晴らしい船出を予感させました。しかし、その後に守備ラインのマークがほんの一瞬緩んだ隙を突かれて失点を許し、さらに後半には不運なディフェンスのエラーから相手に2つのPKを与えて沈められ、最終的に2-3という手痛い惜敗を喫する結果となりました。

このセビージャ戦での「一瞬の集中力の欠如」という厳しいレッスンを活かし、今回のデポルティボ・アラベス戦(第2節)では、守備のブロックをさらに強固にする「4-2-3-1」のシステムを敷いて臨みます。

ゴールキーパーには、プレシーズンを経て守護神の座に君臨しているアウグスト・バタジャ(Augusto Batalla)。

4バックのディフェンスラインは、右サイドバックにアンドレイ・ラティウ(Andrei Ratiu)、センターバックのコンビにはフロリアン・ルジューヌ(Florian Lejeune)と、緊急スクランブル起用となるパテ・シス(Pathé Ciss)、そして左サイドバックには移籍したペップ・チャバリアの代役としてイバン・バジウ(Ivan Balliu)が左にスライドしてスタメンに入ります。

中盤の底は、チームのキャプテンであり守備の壁であるオスカル・バレンティン(Óscar Valentín)と、ゲームメイクを司るウナイ・ロペス(Unai López)の鉄板コンビ。

2列目の3枚には、右ウイングにアレハンドロ・デ・フルトス(Alejandro De Frutos)、トップ下には前シーズンに科されたレッドカードのサスペンションが仮処分によって一時的な延期措置が適用されたおかげで、開幕戦に引き続き奇跡的に出場可能となった大黒柱のイシ・パラソン(Isi Palazón)、そして左ウイングには、開幕戦で電撃弾を決めたスピードスターのアルバロ・ガルシア(Álvaro García)が先発に名を連ねます。

最前線には、前節先発したランディ・エンテカがキープ力の低さを厳しく評価されてベンチスタートに回ることが確実視されており、代わって直近のカップ戦等でも卓越したゴール嗅覚を見せていたセルヒオ・カメージョ(Sergio Camello)の先発抜擢が極めて濃厚となっています。ただし、新戦力のドイツ人FWアレマン(Alemão)のスタメン起用の可能性も排除されておらず、キキ・サンチェス・フローレス監督率いるアラベスを崩すための急先鋒の選定がギリギリまで続けられています。(via ElDesmarque / MARCA)

【本日の総括】

ホームスタジアムであるバジェカスの老朽化に伴うマドリード州との対立、および代替地ブタルケでの代替開催を巡るサポーターのボイコット呼びかけや、アラベス役員会による貴賓席拒絶スキャンダルなど、ピッチ外では近年稀に見る大混乱に包まれているラージョ・バジェカーノ。しかし、ノーベル・メンディのクラブ最高額2500万ユーロでの売却という巨大な軍資金を武器に、グラナダのナーセイ獲得交渉を進めるなど、移籍市場の最終盤で中長期を見据えたディフェンスの大補強が進行中です。サン・ホセ新監督のもと、ピッチ外の雑音を断ち切り、ブタルケでのアラベス戦で今シーズン初勝利と初の勝ち点3奪取を狙います。