【今回のラインナップ】
✅ ヴァルデベバス崩壊:選手間の暴力沙汰と監督の孤立
✅ クラシコに向けた野戦病院とエンバペのバカンス騒動
✅ 新監督モウリーニョとフロレンティーノ会長の直接会談
✅ ヴィニシウスとエンバペの絶対的共存方針
✅ 国王杯の放映権を巡る連盟とラ・リーガへの提訴
✅ ヴィニシウスへの人種差別問題:プレスティアンニの処分が全世界へ拡大
✅ ローマ教皇レオン14世のサンティアゴ・ベルナベウ訪問
■【ヴァルデベバス崩壊:選手間の暴力沙汰と監督の孤立】
今シーズンの無冠が確定的となり、レアル・マドリードのロッカールームの雰囲気は耐え難い状況に陥っており、まさに火薬庫と化している。水曜日のトレーニングでは、フェデ・バルベルデとオーレリアン・チュアメニがプレー中のファウルを巡って激しく口論し、突き飛ばし合いに発展した。殴り合いの一歩手前までいったこの争いは、ロッカールームに戻っても大きな声での言い争いが続き、ヴァルデベバスで起きた近年で最も緊迫したトラブルとなった。
さらに、数週間前のアラベス戦とベティス戦の間に、アントニオ・リュディガーがアルバロ・カレーラスを平手打ちした事件も確認された。この件について、ジャーナリストのマノロ・ラマはCOPEの番組内でリュディガーを不快なキャラクターであり態度が非常に悪いと批判し、『Prefiero no encontrármelo en una escalera, porque no sabes cómo te va a reaccionar』(彼がどう反応するかわからないから、階段で彼に出くわしたくはない)、『El loco nunca se pega el puñetazo él, el loco se lo pega a los demás siempre』(狂人は絶対に自分自身を殴ることはなく、狂人は常に他人を殴るものだ)と断罪した。リュディガーの過去の行動として、乳首をつねる、へそに指を突っ込むといった奇行も問題視されている。
これに対し、アルバロ・カレーラスは自身のSNSで声明を発表し、『Respecto al incidente con un compañero, se trata de un asunto puntual sin relevancia que ya está zanjado. Mi relación con todo el equipo es muy buena』(チームメイトとの一件については、無関係な単発の出来事であり、すでに解決済みだ。チーム全員との私の関係は非常に良好だ)と弁明した。リュディガーはロッカールームで謝罪し、事態収拾のためにチーム全員と家族を食事に招待した。また、カレーラスはエスパニョール戦でフェルラン・メンディが負傷した際、アルバロ・アルベロア監督が代役にフラン・ガルシアを選んだことに対して皮肉な笑いを浮かべたとされる件についても、『Mi compromiso ha sido íntegro desde el primer día』(私のコミットメントは初日から完全なものだ)と反論している。
選手間の亀裂だけでなく、監督との対立も深刻化している。アルベロア監督は就任からわずか4ヶ月で完全にコントロールを失っており、来季の構想から外れている状態にある。現在、最大6人の選手が監督と口をきいていない。キャプテンのダニ・カルバハルは直近7試合中5試合で出場機会を与えられず、ベテランとしての扱いを求めて監督と対立しており、ワールドカップ出場を逃すことを恐れて怒りを感じている。ダニ・セバージョスやラウル・アセンシオも出場機会の少なさから監督と衝突しており、セバージョスは万全の状態でありながら直近2試合の招集メンバーから外されていた。 (via MARCA, SPORT, Esport3, Mundo Deportivo, ElDesmarque)
■【クラシコに向けた野戦病院とエンバペのバカンス騒動】
日曜日の21:00にカンプ・ノウで行われるFCバルセロナとのクラシコ(バルサは引き分け以上でリーガ優勝が決定する)に向け、チームは多数の負傷者を抱えている。水曜日の午前中にヴァルデベバスで行われたトレーニングでは、キリアン・エンバペがカルバハル(足の指の亀裂骨折)、アルダ・ギュレル、メンディ、エデル・ミリトン、ロドリゴ・ゴエスといった負傷者たちとともに、プールやジムで別メニュー調整を行った。右足首の違和感を訴えたダニ・セバージョスもジムにとどまり、メディカルレポートの対象となった。チームのセッションは、ピッチ上でのアクティベーションとロンドから始まり、ポゼッションとフィニッシュのドリル、最後に縮小されたピッチでのミニゲームで締めくくられた。
エンバペに関しては、左足の半腱様筋を負傷中であるにもかかわらず、恋人の女優エステル・エスポシトとともにイタリアのサルデーニャ島へバカンスに出かけていたことが発覚し、チームメイトとの距離を広げる結果となった。彼がマドリードに帰還したのがマドリード対エスパニョール戦のキックオフとほぼ同時刻だったこともあり、ファンからはSNSで「Mbappé Out」のキャンペーンが展開されるなど激しい批判を浴びている。エンバペはシャビ・アロンソを解任してカスティージャからアルベロアを昇格させたクラブの決定を理解しておらず、監督のスタッフとも衝突していた。彼がクラシコに間に合うかは木曜日に延期されたMRI検査の結果次第であり、順調であれば木曜のグループ練習に部分合流する見込みだが、ファンからの糾弾を逃れるにはバルサ戦での驚異的なパフォーマンス以外に道はない状況であり、その次のレアル・オビエド戦でのベルナベウの反応が注視されている。
一方で朗報もある。3月17日のマンチェスター・シティ戦のハーフタイムに負傷し、51日間にわたり戦列を離れていたティボー・クルトワが全体練習に完全合流した。クルトワ不在の8試合は3勝3敗2分とチームが崩壊し、全タイトルを逃す決定的な要因となった。クラシコではクルトワが先発で直接復帰する見通しだが、ワールドカップを控えており数回のトレーニングしか消化していないため、時期尚早と判断されればアンドリー・ルニンが出場する。 (via MARCA, SPORT, ElDesmarque, Mundo Deportivo)
■【新監督モウリーニョとフロレンティーノ会長の直接会談】
アルベロア監督の来季退任が確実となる中、ユルゲン・クロップは干渉が強すぎる点や、現状の甘えきったチームに与える反発効果への懸念から候補から外れた。フロレンティーノ・ペレス会長は、次期監督候補リストの2番目の名前であるジョゼ・モウリーニョと30分間にわたるビデオ通話で直接交渉を行った。モウリーニョは復帰に向けて以下の5つの絶対条件を突きつけている。
1. 契約期間は2010年から2013年までの第1期より1年短い、2028年6月までの2シーズンとすること。シャビ・アロンソに不本意ながら3年契約を与えたペレス会長にとって、これは障害にはならない。
2. クラブの公式広報担当を別途置くこと。アンチェロッティ、アロンソ、アルベロアが年間100回以上の会見でスポーツ以外の問題の矢面に立ったことを拒否し、監督としての発言に専念したい意向。
3. 完璧なスポーツ面での独立性。会長やフロント(T-4)からのラインナップや試合采配への介入を一切拒絶し、ドレッシングルームを役員から隔離する。
4. フィジカルコーチのアントニオ・ピントゥスの排除。ペレス会長への情報漏洩を警戒し、スパイとなる人物を周囲に置かないことを要求。「会長の密告者」と見なされているアルベロアのスタッフ入りも禁止される。
5. 医療スタッフとの直接の連携と、選手が求める場合のセカンドオピニオンの適用。現在の医療スタッフに不満を持つ選手への配慮。
モウリーニョは現在ベンフィカと2027年6月30日まで契約を結んでいるが、ポルトガルリーグが終了する5月17日のアウェーでのエストリル戦後から10日間の熟考期間に入る。この間は300万ユーロの契約解除金で退団が可能となるが、期間を過ぎると違約金が500万ユーロに跳ね上がり、マドリードはこの金額を支払う意志がないため、リーグ最終節の5月24日(アスレティック・クラブ戦)以降に動きを本格化させるとみられる。ベンフィカのルイ・コスタ会長は63歳の彼に契約延長と条件改善のオファーを準備している。ペレス会長は他に、ワールドカップ後にフリーとなるアメリカ代表監督のマウリシオ・ポチェッティーノやディディエ・デシャンもリストアップしている。
また、チャンピオンズリーグ準決勝でPSGを決勝に導いたルイス・エンリケのレアル・マドリード就任の可能性についてもモビスターの番組で議論が交わされた。元選手のアベラルドは『Sería increíble. No me gustaría que fuese al Madrid porque es el mejor, pero sería increíble, sería una bomba』(信じられないことだ。彼が最高だからマドリードには行ってほしくないが、信じられない、爆弾になるだろう)と冗談交じりに語ったが、フェルナンド・モリエンテスは『No lo veo por las dos partes. Florentino no se fijaría en Luis Enrique por su pasado ni Luis Enrique se fijaría mucho menos en el Madrid』(両者の間でそれはないと思う。フロレンティーノは過去の経歴からルイス・エンリケに注目しないし、ルイス・エンリケはマドリードに注目するはずもない)と一蹴した。ラファエル・アルコルタは『El entrenador tiene una gran relación con el director deportivo, el que manda en el área deportiva, y una gran relación con el presidente. Eso lo trasladas al vestuario y lo normal es que ocurran estas cosas』(監督はスポーツ部門を統括するスポーツディレクターと素晴らしい関係を築いており、会長とも素晴らしい関係にある。それをロッカールームに持ち込めば、こういうことが起こるのは当然だ)とマドリードの現状との違いを指摘し、ジェラール・ロペスも『Me extrañaría muchísimo, Luis se siente como en casa en París y tiene un proyecto ganador... No sólo por el Madrid, sino porque Luis se siente como en casa, tiene libertad, es un proyecto ganador, tiene un transatlántico económico detrás』(非常に驚くだろう。ルイスはパリで我が家のように感じており、勝者のプロジェクトを持っている...マドリードだからというだけでなく、自由があり、勝者のプロジェクトであり、経済的な巨大船が後ろに控えているからだ)とパリへの残留を確実視している。 (via SPORT, ElDesmarque, Mundo Deportivo)
■【ヴィニシウスとエンバペの絶対的共存方針】
ピッチ外の騒動や2年連続の無冠のシーズンが続く中、マドリディスタの間ではヴィニシウスとエンバペのどちらかを売却すべきだという議論が沸き起こっている。しかし、クラブのスポーツ部門は両者の売却を一切検討していない。クラブは二人が共にスタメンとしてプレーすることを絶対条件としており、次期監督(モウリーニョ、デシャン、ポチェッティーノなど)に対しても、この二人の共存と連携を成立させることを最大のタスクとして課す方針である。カルロ・アンチェロッティ、シャビ・アロンソ、アルバロ・アルベロアの3人が成し遂げられなかったこの難題を解決することが求められており、クラブはそのためなら再び無冠のシーズンに陥るリスクすら受け入れる覚悟を示している。 (via ElDesmarque)
■【国王杯の放映権を巡る連盟とラ・リーガへの提訴】
レアル・マドリードは、2031-32シーズンまでのコパ・デル・レイ(国王杯)の放映権の集中生産および商業化に関するスペインサッカー連盟(RFEF)とラ・リーガの合意を不服として提訴した。クラブ側は、この合意がクラブの権限を侵し、決定権を制限していると主張している。ルイス・ルビアレス前会長時代に確立された個別販売モデルから、2018年以前のモデルに回帰するこの決定は、RFEFのラファエル・ロウサン会長が推進し、ラ・リーガも支持している。この集中管理モデルは、均質な制作基準や国際市場での価値保護、中小クラブへの公平な収益分配を目的としており、法的にも過去の判例で有効とされていると反論している。実際、この合意によりRFEFは想定より500万ユーロ多く収益を上げている。 (via MARCA)
■【ヴィニシウスへの人種差別問題:プレスティアンニの処分が全世界へ拡大】
2月17日に行われたチャンピオンズリーグラウンド32の第1戦で、ベンフィカのアルゼンチン人選手ジャンルカ・プレスティアンニがヴィニシウス・ジュニオールに向かって口を覆いながら「猿(mono)」と呼んだとされる事件について、FIFAはUEFAが科した6試合の出場停止処分を全世界の公式戦に適用することを決定した。
事件当時、ヴィニシウスはフランソワ・ルテキシエ主審に報告したが、審判団が直接聞いていなかったためルール12に基づきレッドカードは提示されず、10分間試合が中断した後に再開され、レアル・マドリードが0-1で勝利した。その後UEFAは調査を行い、4月24日にプレスティアンニに対し「差別的行為(ホモフォビアを含む)」として6試合の出場停止(うち3試合は2年間の執行猶予)を科した。プレスティアンニはその後アルゼンチンのテレビ番組Telefeのインタビューで『Para los argentinos es un insulto normal. Me tratan de racista cuando jamás lo fui ni lo seré. Para nosotros los argentinos es un insulto normal decir 'cagón' o 'maricón'』(アルゼンチン人にとっては普通の侮辱だ。私はこれまでもこれからも人種差別主義者ではないのに、そう扱われている。我々アルゼンチン人にとって『臆病者』や『オカマ』と言うのは普通の侮辱なんだ)と反論していた。
プレスティアンニはすでに2月25日ベルナベウでの第2戦を欠場して1試合を消化しているが、今回のFIFAの懲戒規定第70条に基づく決定により、今後リオネル・スカローニ監督からアルゼンチン代表に選出された場合でも、ワールドカップでの最初の2試合(6月16日にカンザスで行われるアルジェリア戦、6月22日にダラスで行われるオーストリア戦)に出場できなくなった。この事件を重く見たIFAB(国際サッカー評議会)は、4月28日にアメリカ・メキシコ・カナダW杯から『A discreción del organizador de la competición, cualquier jugador que se tape la boca en una situación de enfrentamiento con un adversario podrá ser sancionado con una tarjeta roja』(大会主催者の裁量により、相手との対立状況において口を覆った選手はレッドカードで罰せられる可能性がある)という新ルールを全会一致で導入している。 (via Mundo Deportivo, SPORT, MARCA)
■【ローマ教皇レオン14世のサンティアゴ・ベルナベウ訪問】
バチカン(聖座)は、6月6日から12日までのスペイン使徒訪問の一環として、教皇レオン14世が6月8日(月曜日)の19:00からサンティアゴ・ベルナベウでマドリード教区のコミュニティと大規模な集会を行うことを正式に発表した。サンティアゴ・ベルナベウで教皇のイベントが開催されるのは、1982年11月3日のヨハネ・パウロ2世による集会(世界中の若者を集めた「み言葉の祭儀」)以来、実に40年以上ぶり2回目となる。
教皇は6月6日の午前にアドルフォ・スアレス・マドリード=バラハス空港に到着し、国王夫妻に出迎えられる。6月8日の午前にはペドロ・サンチェス首相と面会し、下院と上院での合同演説、アルムデナ大聖堂での祈りを行った後、スタジアムを訪れる予定だ。マドリード滞在中にはシベーレス広場での大規模なミサや、若者、ボランティア、文化界の代表者とのイベントにも参加する。その後、9日にバルセロナ、11日にカナリア諸島へ飛び、12日にローマへ帰還するスケジュールで、6日間で約2500kmを移動し、20以上の行事をこなす予定となっている。 (via SPORT, Mundo Deportivo)
【本日の総括】
ロッカールームでの暴力沙汰や監督との深刻な対立が明るみに出る中、負傷者の続出やエンバペのバカンス騒動が重なり、クラシコを前にチームは危機的状況にあります。一方で、モウリーニョの復帰に向けた具体的な条件提示や、ヴィニシウスとエンバペの共存を絶対とするクラブの方針など、来季に向けた抜本的な改革の動きも加速しています。

デスクコメント
戦術デスク
配置と起用法から読む
ロッカールーム内の暴力沙汰や監督との関係悪化は、チームの規律と一体感を著しく損なう兆候です。特に、バルベルデとチュアメニの件やリュディガーの件は、単なる感情的な衝突に留まらず、チーム内の信頼関係の崩壊を示唆しています。アルベロア監督が選手からの信頼を失い、多くの選手が口をきかない状況は、戦術的な指示が浸透しないだけでなく、チーム全体の士気を低下させるでしょう。クラシコ前のこの状況は、ピッチ上の戦術以前に、チームとしての基盤が揺らいでいることを物語っています。
クラブ動向デスク
フロントとクラブの空気を追う
クラブの内部は、シーズン無冠という結果以上に、選手間の亀裂や監督との深刻な対立によって、まさに火薬庫と化しているようです。エンバペのバカンス騒動は、新加入選手への期待と現実のギャップ、そしてチームへの適応における課題を浮き彫りにしました。モウリーニョとの交渉は、クラブが現状を打破し、強いリーダーシップを求めている証拠でしょう。しかし、モウリーニョが提示する条件は、クラブの従来の運営スタイルに大きな変化を迫るものであり、フロレンティーノ会長がどこまで受け入れられるかが焦点となります。
移籍・契約デスク
契約・補強・登録を整理する
エンバペとヴィニシウスの「絶対的共存方針」は、クラブが来季の編成において、この二人のスター選手を中心に据える明確な意思表示です。しかし、両選手が共にプレーする難しさは、過去の監督たちが解決できなかった課題であり、新たな監督にはこの難題解決が最優先事項として課せられることになります。これは、移籍市場での補強以上に、既存戦力の活用とチーム構築の難しさを物語っており、クラブが再び無冠のリスクを覚悟している点は注目に値します。