スペインの魂・SEATブランド消滅の噂にファンが動揺、かつて誰もが乗っていた名車「600」の思い出

ドイツメディアが報じた、フォルクスワーゲングループによるスペインを代表する自動車ブランド「SEAT(セアト)」の将来的なブランド廃止・消滅の可能性についてのニュースは、単なる経済的な議論を超え、スペイン国民の心に深い動揺を与えています。フォルクスワーゲンの監査役会による最終決定はまだ下されていないものの、SEATの歴史はスペインの歩みそのものだからです。

SEATが最初のモデル「1400」を市場に送り出したのは1953年11月13日のこと。イタリアのフィアットからライセンスを受け、そのロゴをスペイン風に変更して製造された緑色の車体は、当時のアメリカ車を思わせるエレガントなデザインでした。それから73年、SEATはスペインのモータリゼーションのシンボルとなりました。

特に有名なのが、1957年5月に発売された「600」です。その丸っこい姿から、愛着を込めて『ペロティージャ(小さなボール)』『ボティホ(水瓶)』あるいは誰もが持っていたことから『オムブリーゴ(おへそ)』などと呼ばれました。

この小さな車は、数万ものスペイン人家庭にとって、自らの運転で仕事に出かけたり、何人もの子供たちを後部座席に詰め込んで海へ旅行に出かけたりする「移動の自由」を初めてもたらした特別な存在でした。累計で約80万台を売り上げた「600」の大ヒットに続き、「850」(コンバーチブル版も存在)や「124」「1430」「127」「リトモ」「パンダ」、そしてベストセラーとなった「イビサ」「トレド」「レオン」「アテカ」など、時代を彩る名車が次々と誕生しました。

これらの名車は、バルセロナのフリーゾーン(Zona Franca)にある「A122倉庫」に大切に保管されており、多くのファンがいつの日か一般公開の博物館が設立されることを切望しています。親や祖父母、あるいは自分自身がかつて運転を学び、今も乗り続けているSEATの車たち。このブランドの動向は、多くのスペイン人にとって、家族の思い出そのものなのです。

(via MARCA)