ヴィニシウスの不透明な未来と契約問題
レアル・マドリードにおけるヴィニシウス・ジュニオールの立場が揺らいでいる。かつてはクラブの絶対的な「アンタッチャブル」な存在であり、ペレス会長の寵愛を受けていた彼だが、現在は契約問題を含め非常に不安定な状況に置かれている。契約は残り1年となっており、フリーで移籍交渉が可能になるリスクを抱えているにもかかわらず、クラブからの契約延長オファーは従来通りであり、給与面でもエムバペより下のランクに据え置かれたままだ。
ペレス会長は選挙前のインタビューで『彼が契約を延長するかどうかは分からない。私の個人的な意見を聞かれれば、残ってほしいと願っている。彼は世界最高の一人だ』と語り、合意に至っていない現状の不快感を滲ませた。以前、サウジアラビアから天文学的なオファーがあった際はヴィニシウス側の交渉力が強かったが、バロンドール受賞を逃して以降、パフォーマンスが不安定になったことで風向きが変わった。
彼を取り巻く環境の悪化には複数の要因がある。クラブが2年連続で無冠に終わったこと、一部のファンからブーイングを受けたこと、そして何よりもキリアン・エムバペの加入によるヒエラルキーの変化だ。ピッチ外での2人の関係は良好だが、ピッチ上ではヴィニシウスの定位置であった左サイドのポジションが脅かされている。ペレス会長も『キリアンはPSG時代とは違うポジションでプレーしており、少し戸惑っているようだ。我々は、うまくいかなかったことを修正していく』と発言しており、ヴィニシウスの立場はさらに脆くなっている。
さらに、シャビ・アロンソ前監督がクラシコで交代を命じた際に見せた態度の悪さなどが原因で、「プロジェクトを崩壊させた」と非難する声も上がり、ヴィニシウスは12月に自身のSNSからレアル・マドリードを連想させる白いシンボルマークをすべて削除するという行動に出ている。
新監督のジョゼ・モウリーニョとの関係にも火種がある。以前、ベンフィカ対レアル・マドリードの試合でプレスティアンニに対する人種差別騒動が起きた際、ベンフィカの監督だったモウリーニョはヴィニシウスを痛烈に批判した。『彼はエムバペと彼にしか決められないような素晴らしいゴールを決めた。その後はチームメイトの肩に乗って喜ぶべきであり、6万人もの観客がいるスタジアムと喧嘩をするべきではない』と苦言を呈したのだ。ヴィニシウスは以前のインタビューでモウリーニョについて『彼はクラブの歴史を変えた素晴らしい監督だ。彼とはポルトガル語で話せるから、コミュニケーションも取りやすい』と好意的に語っていただけに、この批判は彼に少なからず失望を与えた。
現在アメリカで行われているワールドカップ(ブラジル代表はカルロ・アンチェロッティが指揮を執っている)での活躍が、ヴィニシウスの来季の運命を左右すると見られている。恩師の下で最高のリズムを取り戻せば再びバロンドール候補に返り咲くことができるが、凡庸なパフォーマンスに終われば、マドリードでの来シーズンは非常に厳しい試練の年となるだろう。(via SPORT)