無冠で終わるシーズンへの疲労とフラストレーションが、最悪の形で爆発した。スペインのスポーツ番組「El Chiringuito」が、レアル・マドリードのロッカールームで起きたフェデリコ・バルベルデとオーレリアン・チュアメニの深刻な流血事件の詳細をスクープした。一人が病院送りにまで発展したこの前代未聞の事態は、クラブの規律崩壊を象徴する出来事として世界中に大きな波紋を広げている。

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■【伏線となった2日間の「異常な緊張状態」】

事件は突発的なものではなく、前日から続く緊張状態の末に引き起こされた。前日の練習で行われたミニゲーム中、バルベルデはチュアメニに対して異常に激しいタックルを見舞った。これに激怒したチュアメニとの間で口論が発生し、練習後にもバルベルデが待ち伏せをして再び対立するという不穏な空気が流れていた。

事件当日、指揮を執るアルベロア監督は事態を重く見てか、二人を別々のチームに分けてミニゲームを行わせた。しかし、バルベルデは再びチュアメニに対し、練習の強度を遥かに超える過剰なタックルを敢行。直後、チュアメニは事態を収拾しようとバルベルデに握手を求め歩み寄ったが、バルベルデはこれを冷酷に拒絶した。この瞬間、普段は非常に温厚なチュアメニの忍耐の糸が切れた。

■【「地獄絵図」と化したロッカールーム】

練習終了後、惨劇の舞台はロッカールームへと移る。先に入室したのは当事者の二人と、ブラヒム・ディアス、マスタントゥオーノ、フラン・ガルシア、エデル・ミリトンら少数の選手たちだけだった。

怒りに震えるチュアメニがバルベルデに近づき、英語で激しく詰め寄った。これに対し、バルベルデが「(英語は)理解できない」と応じたことが引き金となり、激しい揉み合いへと発展。二人が力任せに掴み合う中、もつれ合って転倒し、バルベルデは不運にもロッカールーム内にあった低いテーブルの角で頭部を強打してしまった。

遅れてロッカールームに到着した他の選手やスタッフが目にしたのは、髪の生え際付近から大量に出血し、半ば意識を失って床に倒れるバルベルデの姿だった。関係者はその時の状況を「ダンテス(地獄のようだった)」と語っている。

■【「地獄絵図」と化したロッカールーム】

事態の重さを受け、即座に厳格な医療プロトコルが発動された。バルデベバス(練習場)内の医療施設で、バルベルデの傷口に対して皮下を3針縫う処置が施された。しかし、処置中にバルベルデが「事件直後の一部記憶が飛んでいる」と訴えたため、医師団は顔色を変えた。

彼は直ちに近隣のサニタス・ラ・モラレハ病院へ緊急搬送され、CTスキャン(頭部断層撮影)を受診。結果は「頭部外傷」と診断され、医療プロトコルに従い10〜14日間の絶対安静が命じられた。これにより、宿敵FCバルセロナとの「エル・クラシコ」を含むシーズン終盤の欠場が決定した。

さらに同日午後8時、レアル・マドリードの医療責任者であるミヒッチ医師が自家用車でバルベルデの自宅を往診。約20分間にわたって傷の経過をチェックした。自宅には沈痛な面持ちの両親(ドリスとフリオ)も付き添っており、事態の深刻さを物語っていた。

■【バルベルデの声明「密告者がいる」】

事件から約10時間後、渦中のバルベルデはSNSを通じて長文の声明を発表した。

声明内で彼は、「メディアは私たちが殴り合ったと信じたいだろうが、それは事実ではない」と意図的な暴力を否定し、あくまで口論の末に滑ってテーブルにぶつかった不慮の事故であると主張した。また、チャンピオンズリーグ敗退や無冠という結果に対するフラストレーションが限界に達していたと謝罪した。

しかし、この声明で最も波紋を呼んだのは、チーム内への強烈な非難だ。「ロッカールーム内の出来事を、話を盛って急いで外に告げ口する者(密告者)がいる」と記し、内部情報をメディアにリークしたチームメイトの存在を強く非難したのである。

■【懲戒処分、エムバペの爆笑、そしてモウリーニョ待望論】

クラブは即座に対応し、両選手に対して規律違反による「懲戒手続き」の開始を公式発表した。しかし、周囲の騒動は収まる気配がない。

チームメイトが血を流して病院に運ばれるという大事件の直後、キリアン・エムバペが車の窓を開け、爆笑しながら練習場を後にする姿がカメラに捉えられたのだ。この映像は瞬く間に1000万回以上再生され、番組内でも「クラブのエンブレムを汚す行為だ」と猛烈な批判の的となった。また、過去にバルベルデと暴力沙汰の因縁があったアレックス・バエナ(ビジャレアル)の兄弟は、SNSに「カルマ(因果応報だ)」と投稿し、火に油を注いでいる。

統率を失い、完全に崩壊したレアル・マドリードのロッカールーム。アルベロア監督のマネジメント不足が浮き彫りになる中、現地メディアやファンの間では、強権的な指導で知られるジョゼ・モウリーニョの「劇薬」としての監督復帰を待望する声が急速に高まっている。

名門クラブのプライドは地に堕ちたのか。血塗られた事件の爪痕は、あまりにも深く、生々しい。