チデラ・エジュケの去就を巡る二転三転の破談劇と指揮官の戦力化宣言

今夏の移籍市場において、最も紆余曲折を経たドラマの主役となったのが、ナイジェリア人アタッカーのチデラ・エジュケでした。契約最終年を迎えているエジュケに対し、クラブは今夏での売却による移籍金獲得を最優先事項として設定していました。そのため、プレシーズン中の親善試合コルドバ戦やオランダでの強化キャンプにおいて、彼は負傷リスクを避けるために一切招集メンバーから除外される極めて異例の扱いを受けていました。

クラブ側はすでに彼の放出が100%完了することを想定し、その代役となる新しいウインガーの獲得交渉を完全に内定させている状態でした。実際にエジュケのもとには、サウジアラビアやカタールといった中東の強豪クラブ、さらには過去にセビージャの選手を多数受け入れてきた実績のあるベルギーの名門アンデルレヒトなどから熱烈なオファーが届いており、移籍は時間の問題と見られていました。しかし、この巨大な取引は交渉の最終段階において、土壇場で契約条件が合致せずまさかの完全破談となってしまいました。

エジュケは放出期間が立ち消えとなったことで、開幕直前に再び全体練習へと復帰することになりました。ガルシア・プラザ監督は、この決定について記者会見で率直に以下のように明かしました。

『オランダ遠征の段階では、彼の移籍はほぼ確実な状態だった。我々はすでに彼の代役となる選手まで完全に内定させていたほどだ。しかし、結果的にその移籍話は立ち消えとなってしまった。移籍が成立しなかった以上、彼は正真正銘の私の選手だ。彼のような優れたアタッカーを戦力から外す理由などどこにもない。彼をチームの重要なアクティブとして起用していくつもりだ』

こうして開幕戦のメンバーに急遽名を連ねたエジュケは、後半からピッチに投入されると、持ち前のスピードとキレ味鋭いドリブルでレイヨのディフェンスラインを何度も脅かしました。彼自身は、クラブを助けるための移籍に合意したものの、セビージャのユニフォームを着て最終契約年をピッチ上で全うすることに対しても極めて前向きな姿勢を示しており、今シーズンも左サイドの破壊的な武器としてファンに多くの歓喜を提供することが期待されています。 (via ElDesmarque, Estadio Deportivo)