モウリーニョを狂わせる「クリスマスの悲劇」:9歳のトラウマとベルナベウの非情な指笛
13年ぶりにレアル・マドリードの指揮官としてサンティアゴ・ベルナベウのピッチに立ち、チャンピオンズリーグに挑むジョゼ・モウリーニョ。彼を突き動かす勝利への異常な執念と、プロとしての冷徹なフットボール観の原点は、彼がわずか9歳の頃に体験した「クリスマスの悲劇」にありました。
モウリーニョの父親であるフェリックス・モウリーニョは、かつてポルトガル代表でも活躍した名ゴールキーパーであり、引退後は数々のクラブで監督を務めていました。しかし、モウリーニョが9歳のクリスマスの日、父親は突然その職を解雇されたのです。
『9歳のクリスマスの日に、父が突然解雇されたんだ。誰も食事を最後まで食べることができなかったし、用意されていたプレゼントを開けることさえしなかった。我が家に流れていた幸せなクリスマスの雰囲気は、一瞬で消え去ってしまったんだ』
モウリーニョはかつてこう振り返っています。子供心に焼き付いたこのフットボール界の冷酷な不安定さこそが、彼に「勝たなければすべてを失う」という強迫観念を植え付けました。
父親のフェリックスは、息子にはフットボールの厳しさを知っていたため、勉強を優先させようとしましたが、少年時代のモウリーニョはすでに父親のチームの対戦相手を分析し、スカウティングレポートを作成して手伝っていました。父親は生前、『彼は子供の頃から私のために素晴らしい分析レポートを作ってくれた。お小遣い程度の手当をあげていたよ。ただ、この世界で成功するのは一握りだから、勉強はしてほしかったがね』と語っていました。2017年に他界した最愛の父へ、モウリーニョはCLでの勝利を捧げるつもりでした。
しかし、その帰還を果たしたインテル戦では、さっそく冷酷な現実がモウリーニョに突きつけられました。2-0でリードしている展開にもかかわらず、インテルに猛攻を許して決定機を何度も作られると、モウリーニョはベンチから前線の3人に向けて『なぜ守備に戻らないんだ!』と顔を真っ赤にして絶叫。さらに、エースであるヴィニシウスが不用意な形でボールをロストすると、ベルナベウのスタンドからは一斉に激しい指笛(ブーイング)が浴びせられました。
地元メディアからは、『モウリーニョはなぜヴィニシウスを交代させないのか。彼は交代を命じる勇気がないのだろう』と、さっそく手厳しい批判が飛んでいます。愛憎渦巻くベルナベウのピッチ外のプレッシャーは、今も彼を休ませてはくれません。
(via SPORT)