要塞の金婚式!スタジアム50周年を彩った伝説のセレモニーと絆
ピッチ上の残酷な結果とは対照的に、試合開始前に行われたマルティネス・バレーロスタジアムの開場50周年記念セレモニー(金婚式)は、クラブの歴史とサポーターの深い絆を再確認させる、涙と熱狂に満ちた感動的なひとときとなりました。
1976年9月8日の開場からちょうど半世紀を迎えるこの日、キックオフ15分前からスタジアムの空気は一気にタイムスリップします。式典の号令をかけたのは、実に対話30年以上にわたってエルチェのスタジアムアナウンサーとしてサポーターに愛され続けた伝説の「永遠の声」、パコ・ガッソのメガホンでした。久々にマイクを手にしたガッソは感極まった様子で、スタジアムに詰めかけたファンに向けて熱いメッセージを届けました。
ガッソは、この50年の歴史の中でマルティネス・バレーロを輝かせた、エルチェCFの「歴史的歴代ベストイレブン」を一人ずつ高らかに読み上げました。
ゴールキーパーには、鉄壁の守護神ミゲル・レシオ。
ディフェンダーには、ナンド・ロペス、エドゥ・アルバカル、ゴンサロ・ベルドゥの3名。
ミッドフィールダーには、右にフェリックス・パロマレス、左にエドゥ・アルバカル(歴代イレブンにおいてその多才さからDFとMF双方で選出)、そして中央にフィデル・チャベスとパコ・ボネット。
トップ下には、卓越した創造性を誇ったマルセロ・トロビアーニ。
そして前線には、クラウディオ・バラガンと、エルチェの不滅の最多得点記録を持つ「ニーノ」フアン・フランシスコ・マルティネスのレジェンドコンビが選ばれました。さらに、この歴史的メンバーに加え、スタンドから神のように慕われる「永遠のキャプテン」ミゲル・キラントもピッチへと現れ、スタジアム全体から割れんばかりのスタンディングオベーションが送られました。
大型スクリーンには、1923年のクラブ創設時から栄光の歴史を紡いできた旧スタジアム「アルタビクス」から、5回の1部昇格やコパ・デル・レイ決勝の舞台となった現在のマルティネス・バレーロへと至る、歴史の旅路が映し出されました。北スタンドからは盛大に花火が打ち上げられ、夜空をエルチェカラーに染め上げます。
エルチェの選手たちは、これまでの50年を5年ごとに区切ったそれぞれの歴代ユニフォーム(全員が異なる年代の復刻デザイン)を着用して入場。彼らと手を繋いでピッチに現れたのは、クラブのために人生を捧げて働いてきた人々の子孫(子供や孫)でした。子供たちが身に纏ったシャツの背中には、
『私はアルタビクスとこのスタジアムで爆竹を鳴らしていた男の曾孫です』
『私はこのクラブとこのスタジアムを死なせなかった男の孫です』
といった、誇り高き歴史の継承者であることを示すメッセージが記されており、ファンの涙を誘いました。
さらに試合前には、ワールドカップでスペイン代表の一員として5ゴールを挙げ世界王者となったレアル・ソシエダのキャプテン、ミケル・オヤルサバルに対し、エルチェのペドロ・シノッカGMとフアキン・ブイトラゴ会長からその偉業を称える特製の記念プレートが贈呈され、スタジアム全体から大きな拍手が送られました。この完璧なセレモニーが、本番の劇的な敗戦によって、あまりに苦い記念日となってしまったことは返す返すも悔やまれます。(via DiarioVasco)