ナイジェリアの超新星FWイレーニヘナの熱望と交渉: アル・イテハドとのローン移籍交渉とPIF買収による混乱

攻撃陣の最優先ターゲットとして獲得を目指しているサウジアラビアのアル・イテハド所属の20歳ナイジェリア人FWジョージ・イレーニヘナを巡り、セビージャFCは非常に複雑な局面に立たされています。

昨冬にフランスのモナコから3300万ユーロの移籍金でサウジアラビアに渡ったイレーニヘナですが、新天地では8試合で2ゴール(出場時間250分未満)と出場機会に恵まれず、ヨーロッパへの復帰を強く希望しています。選手本人は、すでにアル・イテハドの首脳陣に対し、『スペインのラ・リーガでプレーしたい。セビージャからの提案を最優先で受け入れたい』と直接意思を伝えています。この選手の強い後押しにより、アル・イテハド側は、イタリアのボローニャ(条件達成で買い取り義務に移行するローン提案)やトルコのトラブゾンスポル(サウジ側が投じた資金の半額程度での完全移籍提案)からのオファーを却下しました。

しかし、財政難に苦しむセビージャ側は「買い取りオプション付きの期限付き移籍(ローン)」での獲得しか提示できず、アル・イテハド側の要求する「完全移籍での売却、または巨額の買い取り義務付きローン」との間に大きな金額的ギャップが存在します。セビージャは、今夏にアコール・アダムス、フアンル・サンチェス、ジブリル・ソウの売却(今夏で唯一、キャッシュを得られた3つの売却取引)によって得られた資金のほぼすべてを、コチョラシュヴィリ獲得(400万ユーロ固定+1.5万ユーロ/150万ユーロのボーナス)に充てる予定であり、手元に残る資金はごくわずかです。

さらに状況を困難にしているのが、サウジアラビア国内のクラブ管理体制の激変です。サウジアラビアのスポーツ省は、政府の投資ファンドであるPIF(パブリック・インベストメント・ファンド)が75パーセントの株式を保有していたアル・イテハド、アル・ヒラル、アル・アハリ、アル・ナスルの4クラブを正式にPIFの完全所有(100パーセント所有)とし、それまで4分の1を管理していた非営利団体を排除することを発表しました。これによりアル・イテハドの既存の取締役会が解体され、新たなクラブ所有権の評価額(新オーナーは8000万ドルと主張、サウジ政府側は2億ドルを要求)を巡る深刻な対立が発生。クラブの意思決定の権限を持つ者が不明確な「権限の空白期間」が発生しており、イレーニヘナの移籍交渉が進展しない要因となっています。(via Estadio Deportivo)

スイス代表FWルベン・バルガスへのオファー: オリンピアコスとの1200万ユーロを巡る緊迫のマネーゲーム

セビージャFCのスポーツディレクター、ホセ・イニャシオ・ナバロ氏は、財政難を解消し、選手給与枠に空きを作るための「資金捻出」の最大の切り札として、28歳のスイス代表FWルベン・バルガスの売却交渉に注力しています。

バルガスは2025年1月にドイツのアウクスブルクから250万ユーロで獲得されましたが、直近のワールドカップでスイス代表として6試合に出場して2ゴール1アシスト(代表通算67試合13ゴール12アシスト)を記録したことで、その市場価値が急上昇。セビージャの首脳陣はこの絶好のタイミングでの現金化を望んでいます。

これに対し、ギリシャのオリンピアコス(昨シーズンのヨーロッパリーグ王者の資格を持つも、今季はチャンピオンズリーグ予選3回戦でNECナイメヘンに敗れ、ヨーロッパリーグに回ることに決定)を率いる元セビージャ監督のホセ・ルイス・メンディリバル氏が、サイドラインの強化としてバルガスの獲得をクラブに強く要望。現在、両クラブ間で具体的な交渉が行われています。

オリンピアコス側は最初の公式アプローチとして「1200万ユーロ」の移籍金をセビージャに提示しました。しかし、この金額はセビージャが要求している「1500万ユーロから2000万ユーロ」の売却基準からは大きくかけ離れています。

かつてセビージャとオリンピアコスは、今夏にカンテラ出身の左サイドバックであるジョアキン・マルティネス「オソ」の移籍交渉において、ギリシャ側の提示した800万ユーロと、セビージャ側が求めた1000万ユーロ+ボーナスの要求が最後まで平行線をたどり、わずか200万ユーロの差で完全破談となった苦い歴史があります。ルベン・バルガス自身も、移籍にあたっての最優先条件として「チャンピオンズリーグでプレーすること」を公言しており、ヨーロッパリーグにとどまるオリンピアコスへの移籍にはあまり前向きではなく、今後の交渉は非常に困難なマネーゲームの様相を呈しています。(via Estadio Deportivo / ElDesmarque)