エスパニョール vs エルチェCF
ラ・リーガ / jornada-7 / Estadio de Espanyol / 2026年9月19日(土)
試合サマリーと得点経過
大会・節: ラ・リーガ EA SPORTS 2026-2027 第7節(2026年9月18日開催)会場: RCDEスタジアム(バルセロナ/コーネリア=エル・プラット)スコア: RCDエスパニョール 1 - 3 エルチェCF(前半 0 - 2 / 後半 1 - 1)得点者:
- 0-1:前半26分 フェル・ニーニョ(エルチェ)
- 0-2:前半30分 フェル・ニーニョ(エルチェ)
- 1-2:後半27分 ビクトル・チュスト(オウンゴール/エスパニョール)
- 1-3:後半33分 ヘルマン・バレラ(エルチェ)
退場:
- 前半6分 フェデ・レドンド(エルチェ / 直選レッドカード)
試合は開始早々、誰もが予想しなかった大波乱で幕を開けました。前半6分、エルチェのフェデ・レドンドが自陣でのバックパス処理で痛恨のミスを犯し、ボールを奪って独走しようとしたエスパニョールのブライアン・サラゴサをたまらず手で引っ張って倒してしまいます。主審のホン・アンデル・ゴンサレスはVARチェックを経て一発退場を提示。最下位に苦しむエルチェは、試合のほぼ全時間にあたる85分以上を10人で戦うという絶望的な状況に追い込まれました。
しかし、ここからエルチェが見せた意地と執念は圧巻でした。数的優位に奢り焦りが見えるエスパニョールに対し、10人となったエルチェはコンパクトなブロックを形成し、効率的なロングボールと鋭いカウンターで反撃に転じます。前半26分、左サイドのロイ・レヴィヴォが放った一本のロングパスに対し、エスパニョールDFウナイ・ヌニェスと果敢に飛び出したGKマルコ・ドミトロヴィッチの連携が乱れます。この隙を見逃さなかったフェル・ニーニョが背後へ抜け出し、飛び出したキーパーを冷静にかわして左足で無人のゴールへ蹴り込み、先制点を奪いました。
勢いに乗るエルチェはわずか4分後の前半30分、再びロイ・レヴィヴォが左サイドを力強く突破。ペナルティエリア反対側の遠いポストへ精度の高いクロスを送ると、走り込んだフェル・ニーニョが鮮やかなダイレクトボレーで合わせ、ドミトロヴィッチの頭上を撃ち抜いて2点目を獲得します。1人多い状況でありながら0-2のリードを許したエスパニョールに対し、ホームのRCDEスタジアムからは猛烈なブーイングが浴びせられました。
後半、エスパニョール監督のマノロ・ゴンサレスはハーフタイムに2枚替えを敢行し、怒涛の反撃に出ます。後半27分、ハビ・エルナンデスが左サイドから上げた精度の高いクロスに、途中出場のマルコス・フェルナンデスが飛び込んでヘディングシュートを狙います。これに対応したエルチェのDFビクトル・チュストの足に当たって無情にも自陣ネットへ吸い込まれ、オウンゴールでエスパニョールが1-2と1点差に迫ります。
反撃のボルテージが最高潮に達したかに思われましたが、試合を決定づけたのはエルチェの電光石火のカウンターでした。後半33分、エスパニョールのペレ・ミジャのパスミスからボールを奪うと、右ウィングのヘルマン・バレラが自陣から一気に高速ドリブルで独走。追いすがるエスパニョール守備陣を置き去りにし、最後は飛び出したGKドミトロヴィッチの頭上を越す繊細なループシュートを沈めて1-3。数的大ピンチを乗り越えたエルチェが、今季待望の初勝利を掴み取りました。
戦術・采配のポイント
エスパニョールは、右サイドバックのオマル・エル・ヒラリが出場停止のためホセ・アンヘルを抜擢し、前線にはスペイン代表に初招集された絶好調のロベルト・フェルナンデスを配置する4-2-3-1で臨みました。開始早々に数的優位を得たことで主導権を握り波状攻撃を狙いましたが、パス回しが鈍重で相手のコンパクトなブロックを崩せず、前掛かりになった背後のスペースを突かれるという典型的な失着に陥りました。特に先制点を許した場面では、DFウナイ・ヌニェスとGKドミトロヴィッチのコミュニケーション不足が露呈し、焦りからチーム全体のバランスが崩壊しました。
一方のエルチェは、マルティン・アンセルミ監督のもとで挑みましたが、前半6分にフェデ・レドンドが一発退場となるアクシデントに見舞われました。しかしアンセルミ監督は慌てて守備的交代枠を使わず、ボランチやセンターバックをこなせるモルシージョをそのまま中央のディフェンスラインへ下げ、4-4-1のコンパクトな陣形を形成。前線のフェル・ニーニョを孤立させず、左のロイ・レヴィヴォ、右のヘルマン・バレラという推進力のある両ウィングを活かした縦に速い攻撃へ即座にシフトさせました。
エスパニョールのマノロ・ゴンサレス監督は、前半の不甲斐ない内容を受けてハーフタイムに動き、ロヘル・イノホとウルコ・ゴンサレスを下げてキリンチー・ハルトマンとマルコス・フェルナンデスを投入。後半15分には不発に終わったブライアン・サラゴサらを下げてペレ・ミジャやドランを投入し、攻撃の枚数を増やしました。マルコス・フェルナンデスが泥臭くエリア内で圧力をかけたことでオウンゴールを誘発し、一時的に流れを引き寄せることには成功したものの、反撃を焦るあまりリスク管理が甘くなり、ペレ・ミジャの不用意なパスミスから決定的な3点目のカウンターを献上する羽目となりました。
エルチェのマルティン・アンセルミ監督の采配は極めて冷静かつ的確でした。前半37分に負傷した右サイドバックのブバ・サンガレに代えてルベン・サンチェスを投入。後半15分には運動量が落ちたゴンサロ・ビジャールと2得点の英雄フェル・ニーニョを下げ、ベテランDFのビガスと前線で体を張れるアビエル・オソリオを投入して前線のキープ力と空中戦の強度を確保しました。終盤の後半31分にはバルジッチを投入して守備の枚数を補強しつつ、ヘルマン・バレラの個人技による高速カウンターで一刺ししてみせるなど、数的不利の状況における見事なゲームマネジメントを完遂しました。
現地メディアの選手採点・評価比較
現地メディア(MARCA, AS, SPORT, Mundo Deportivo,El Desmarqueなど)の評価を集約すると、今節最大のサプライズとなったエルチェの勝者たちへの絶賛と、数的大優位を生かせなかったエスパニョールへの厳しい批判が際立つ結果となっています。
エルチェ陣営の評価比較:
- フェル・ニーニョ:
各紙満場一致の最高評価を獲得。MARCAは「まさにフットボールの神の戯れ。彼こそが文句なしのMVP」と称え、SPORTも10人での戦いを勝利に導いた2ゴールを「絶品ストライカーの仕事」と絶賛しています。
- ヘルマン・バレラ:
MARCAは「MVP級の輝き。圧巻の独走と美しすぎるループシュートで試合を終わらせた」と最上級の評価を与えました。El Desmarqueも彼のスピードと判断の的確さを称賛しています。
- モルシージョ:
SPORTは「シャビ・プジョル、マルディーニ、アフェングルーバーが合体したかのような巨人」と形容し、中盤から急遽センターバックへ下がって壁となった守備対応を大絶賛。MARCAも「ディフェンスラインの要として完璧に立ち塞がった」と評しました。
- ロイ・レヴィヴォ:
SPORTおよびMARCAともに、精度の高い左足から生み出された2アシストを高く評価し、攻守の切り替えの要として高点数を付与しています。
- フェデ・レドンド:
退場劇のきっかけとなった凡ミスに対し、すべてのメディアから厳しい落第点がつけられました。
エスパニョール陣営の評価比較:
- ブライアン・サラゴサ:
SPORTは「サポーターからの怒りを最も買った選手」として厳しく糾弾。オフサイドによる幻のゴール以外に見せ場を作れず、早期交代となった点に厳しい目が向けられました。MundoDeportivoも「期待されたほどの輝きを放てず不発に終わった」と指摘しています。
- マルコ・ドミトロヴィッチ: MARCAおよびMundo
Deportivoの双方が、1失点目での不用意な飛び出しと判断ミスを指摘。「チームに不安を植え付けた」として厳しい採点となりました。
- マルコス・フェルナンデス:
途中出場で攻撃を活性化させ、オウンゴールを誘発した姿勢について、MundoDeportivoやEl Desmarqueは数少ない合格点を与えて「敗戦の中でも一筋の光を見せた」と評価しています。
試合後の監督・選手コメント
エスパニョール監督・選手コメント:エスパニョールのマノロ・ゴンサレス監督は、数的大優位に立ちながらの惨敗に激怒と落胆を隠さず、DAZNのインタビューおよび記者会見で厳しい言葉を並べました。「私がエスパニョールの監督になって以来、最悪の試合をしてしまった。ファンには心から謝罪したい。実に不甲斐ない、酷い内容だった。10人相手に浮足立ち、単純なカウンターから2失点を息つく暇もなく喫して自滅した。1-2と追い上げた直後に1-3とされるなど、まったく集中力を欠いていた。代表中断期間で頭を冷やし、ゼロからやり直さなければならない」
ピッチ上でメディアに対応したエスパニョールのFWマルコス・フェルナンデスも、サポーターへ謝罪の言葉を述べました。「ファンの怒りと落胆は至極当然であり、僕たちには謝罪することしかできない。1人多い状況をまったく活用できず、自分たちのミスで自滅してしまった。過去を変えることはできないので、猛省して中断期間明けに巻き返せるよう死ぬ気で練習するしかない」
エルチェ監督・選手コメント:劇的な初勝利を挙げたエルチェのマルティン・アンセルミ監督は、誇りと喜びを露わにしました。「ただの勝ち点3以上に、計り知れない価値のある大きな報酬だ。開始5分で10人になりながらも、選手たちはパニックにならず、知性と勇気を持ってゲームプランを完遂してくれた。ロイ(レヴィヴォ)がクロスを上げなければフェル(ニーニョ)のゴールも生まれない。フットボールは全員で戦うスポーツであり、今日の『MVP』はチーム全体だ。この1勝は代表中断期間前の最高の解毒剤になる」
この試合のヒーローとなったエルチェのFWフェル・ニーニョは、チームの団結力を誇らしげに語りました。「この勝利の理由はとてもシンプルだ。僕たちは毎日、動物のように猛練習を重ねてきたし、どんな時も諦めないガッツを持っている。5分で1人減っても誰も下を向かなかった。僕たちは単なるチームではなく家族なんだ。ハーフタイムにも『全員でひとつになって戦い抜こう』と声を掛け合った。この勝利で最高の勇気と喜びをもらえた」
見どころと対戦背景
ラ・リーガの序盤戦において、中断期間(インターナショナルブレイク)を前にした過密日程の締めくくりとなる重要な一戦が、RCDEスタジアムで開催されます。今季100試合目の指揮を達成したマノロ・ゴンサレス監督率いるエスパニョールと、マルティン・アンセルミ監督のもとで新たなスタイルを構築中のエルチェCFが激突します。
エスパニョールは、今夏スポーツ・ディレクターのモンチによる積極的な補強を敢行し、ブライアン・サラゴサやアンドン・ゴロサベルといった実績ある選手を獲得しました。チームの前線を牽引するのは、開幕から絶好調を維持し得点を重ねている若手FWロベルト・フェルナンデスです。前節のオサスナ戦でも見事な2ゴールを挙げるなど、チームは高い攻撃力と組織立った守備で上位進出を狙える手応えを掴んでいます。ホームのサポーターの前で確実な勝利を収め、勢いを強固にしたいところです。
一方のエルチェCFは、今季開幕から厳しい戦いが続き、失点の多さが課題となっていました。しかし、敵地サン・マメスで行われたアスレティック・ビルバオ戦では、マルティン・アンセルミ監督がより実践的でコンパクトな守備ブロックを採用し、接戦の末に価値ある1-1の引き分けを勝ち取りました。失点を抑えつつ、新加入のファクンド・ブオナノッテらが魅せる展開からチームとしての結束を深めており、復調の兆しを見せています。
本戦における最大の注目ポイントの一つが、移籍市場最終日(デッドラインデイ)に成立した因縁のトレード劇です。エスパニョールからエルチェCFへ50万ユーロの移籍金で完全移籍を果たした右サイドバックのルベン・サンチェスが、古巣RCDEスタジアムに乗り込むことになります。エスパニョールが後釜としてアンドン・ゴロサベルを獲得した経緯もあり、かつてのホームでルベン・サンチェスがどのようなプレーを見せるのか、大きな関心を集めています。
予想スタメンと負傷・出場停止情報
SPORT、MARCA、AS、MundoDeportivo、El Desmarqueなどの各紙が報じる両チームの想定スタメンおよび最新のチーム状況は以下の通りです。
RCDエスパニョール
- 負傷欠場者:
ハビ・プアド(膝前十字靭帯負傷からの回復途上)、キケ・ガルシア(大腿二頭筋の腱手術後のリハビリ中)、ジョフレ・カレーラス(恥骨の違和感)、アンドン・ゴロサベル(コンディション調整中)
- 出場停止: なし
予想スタメン(4-2-3-1):
- GK: マルコ・ドミトロヴィッチ
- DF:
オマル・エル・ヒラリ、クレメンス・リーデル(またはウナイ・ニュニエス)、レアンドロ・カブレラ、ロヘル・ヒノホ
- MF:
ウルコ・ゴンサレス・デ・サーラテ、エドゥ・エスポジト、アレックス・カラトラバ、ハビ・エルナンデス、ブライアン・サラゴサ(またはタイリース・ドーラン)
- FW: ロベルト・フェルナンデス(またはマルコス・フェルナンデス)
エスパニョールは守備陣の中心であるレアンドロ・カブレラが出場停止から完全復帰しており、ウナイ・ニュニエスやクレメンス・リーデルとのCBコンビが予想されます。前線では好調のロベルト・フェルナンデスが1トップに入り、新加入のブライアン・サラゴサがサイドから変化をつける構成が有力視されています。
エルチェCF
- 負傷欠場者:
ヤゴ・デ・サンティアゴ(膝の負傷)、アダム・ボアヤル(筋肉系のトラブル)
- 調整中: ケヴィン・ロモナコ(フィジカル調整中)
- 出場停止: なし
予想スタメン(5-3-2 / 3-4-3):
- GK: マティアス・ディトゥーロ
- DF:
ルベン・サンチェス(またはブバ・サンガレ)、フェデリコ・レドンド、ビクトル・チュスト、ペドロ・ビガス、ロイ・レヴィヴォ(またはヘルマン・ヴァレラ)
- MF:
ハビ・モルシージョ、ゴンサロ・ビジャール、マルク・アグアード(またはトマ・レマル)
- FW: ファクンド・ブオナノッテ、フェル・ニーニョ(またはエセキエル・ポンセ)
エルチェCFは前節サン・マメスで効果を発揮したバック5の変形陣形を継続する見込みです。右カラミには古巣対戦となるルベン・サンチェスが先発する可能性が高く、中盤ではゴンサロ・ビジャールとトマ・レマルがゲームメイクを担います。前線はファクンド・ブオナノッテとフェル・ニーニョの組み合わせが攻撃の起点となります。
監督会見・注目選手コメント
連戦が続く過密日程の中で、両指揮官は次のように抱負と意気込みを明かしています。
エルチェCFのマルティン・アンセルミ監督は、連戦に向けた会見において、直前の試合だけでなく中数日で訪れるエスパニョール戦を見据えた選手たちのコンディション管理(ターンオーバー)の重要性に触れ、「過密日程のなかで勝利を目指すためには、チーム全体の負荷管理を極めて知的に行う必要がある」と語っています。また、敵地サン・マメスで強豪相手に互角に渡り合い勝ち点をもぎ取った戦いぶりについて、「苦しい時間帯を耐え抜き、全員で結束して戦う姿勢こそが自分たちの進むべき道だ」と強い自信を示しており、RCDEスタジアムでも粘り強い戦いを再現する構えです。
対するエスパニョールのマノロ・ゴンサレス監督も、連戦を迎えるにあたって「目の前の一試合一試合に集中し、すべての試合で勝ち点3を狙いに行くメンタリティが必要だ」と強調しており、ホームでサポーターとともに勝利を祝う意欲を露わにしています。前線で決定力を発揮しているロベルト・フェルナンデスや、アグレッシブなプレーでチームに活力を与えるマルコス・フェルナンデスらの成長にも満足感を示しており、チームの充実ぶりを伺わせています。
なお、試合前日に実施される最終公式記者会見(前日会見)の全文および両チームの最終招集メンバーリストについては、キックオフ直前に向けてMARCA、AS、SPORT、MundoDeportivoなどの各主要メディアで順次速報される予定です。