アスレティック・ビルバオ vs エルチェCF
ラ・リーガ / jornada-5 / Estadio de Athletic / 2026年9月13日(日)
試合サマリーと得点経過
- 試合日時: 2026年9月12日
- スタジアム: サン・マメス(観客数: 47,287人)
- スコア: アスレティック・ビルバオ 1 - 1 エルチェCF(前半 0 - 0、後半 1 -
1)
- 得点者:
- エルチェCF: ファクンド・ブオナノッテ(後半50分/PK)
- アスレティック・ビルバオ: イニャキ・ウィリアムズ(後半79分)
サン・マメスの熱狂的な大歓声に後押しされたアスレティック・ビルバオが、立ち上がりから怒涛の攻勢を仕掛けた。前節のアトレティコ・マドリード戦で3-0の快勝を収めた勢いそのままに、ニコ・ウィリアムズの切れ味鋭いドリブル突破やオイハン・サンセトの流暢な展開から次々とエルチェゴールへ迫る。前半7分にはサンセトの精妙なスルーパスからイニャキ・ウィリアムズが絶好の決定機を迎えたもののシュートはわずかに枠を外れ、前半37分にはイニャキのクロスにロベルト・ナバーロが飛び込んで合わせたシュートがGKマティアス・ディトゥロの手をかすめてクロスバーを叩く。さらにユリ・ベルチチェの力強いミドルシュートがサイドネットを揺らすなど、前半だけで15本ものシュートを浴びせかけたが、自陣深くに強固なブロックを築いたエルチェの執念の守備を破れず、無得点のままハーフタイムを迎えた。
試合の均衡が破れたのは、後半開始直後の電撃的な展開だった。
【エルチェの先制点(後半50分)】右サイドでボールを持った右キャリアのブバ・サンガレがエリア前のフェル・ニーニョへ縦パスを供給。こぼれ球を拾ったヘルマン・バレラがペナルティエリア内で切り返しを仕掛けた際、追体したアスレティックの右サイドバックであるヘスス・アレソの足と交錯してヘルマン・バレラが倒れ、主審は即座にペナルティスポットを指さした。キッカーを務めた若き司令塔ファクンド・ブオナノッテは、圧巻の集中力でウナイ・シモンの逆を突き、ゴール右上隅へと鮮やかに決め切ってエルチェが数少ない好機から先制に成功した。
【アスレティックの同点点(後半79分)】追い込まれたアスレティックに救いをもたらしたのは、後半72分に投入されたアレックス・ベレンゲルだった。右サイドから打開を図るベレンゲルが相手守備陣の隙を突いてペナルティエリア右深くまで侵入し、右足で鋭い低いクロス兼シュートを供給。ゴール前へ走り込んだイニャキ・ウィリアムズが必死のカバーに入ったエルチェのセンターバックであるビクトル・チュストと激しく交錯しながら足元で触れると、ビクトル・チュストの解体試みに当たったボールがそのままゴールネットへ吸い込まれ、土壇場で1-1の同点に追いついた。
終盤にかけてアスレティックは猛怒涛の攻めで勝ち越しを狙い、後半アディショナルタイム92分にはニコ・ウィリアムズが右足で美しい弧を描くシュートを放ったが、エルチェの守護神マティアス・ディトゥロが右手一本で弾き出す驚異的なビッグセーブを見せて阻止。劇的な熱戦は1-1の引き分けでタイムアップを迎えた。
戦術・采配のポイント
- 両チームのフォーメーションと戦術的狙い:
- アスレティック・ビルバオ(4-2-3-1):
エディン・テルジッチ監督はウナイ・シモンを守護神に据え、最終ラインは右からヘスス・アレソ、イエライ・アルバレス、アイメリク・ラポルテ、ユリ・ベルチチェ。中盤底にイニゴ・ルイス・デ・ガラレタと急成長中のベニャト・ヘレナバレナを配置し、2列目は右に負傷欠場のゴルカ・グルセタに代わりロベルト・ナバーロ、中央にオイハン・サンセト、左にニコ・ウィリアムズ、1トップにイニャキ・ウィリアムズを起用した。高い位置からのハイプレスと左サイドのニコ・ウィリアムズの個人打開力を軸に主導権を握り、意図通りのビルドアップを展開したものの、前半15本のシュートで無得点に終わった「決定力不足」と「第1ポストへの進入の遅さ」が課題となった。先制を許した後半は焦りから攻撃が縦一本に偏り、中盤の落ち着きを失う時間帯が続いた。
- エルチェCF(変形4-4-2 / 低位置ブロック):
開幕4試合で12失点を喫していたマルティン・アンセルミ監督は、従来のポゼッション重視スタイルから戦略的に舵を切り、サン・マメ対策として自陣深くに人数を割く実利的な低位置ブロックを採用した。GKマティアス・ディトゥロ、DFラインはブバ・サンガレ、フェデリコ・レドンド、ビクトル・チュスト、ロイ・レビボ。中盤は右にヘルマン・バレラ、中央にゴンサロ・ビジャールとハビ・モルシージョ、左にテテ・モレンテ、前線にファクンド・ブオナノッテとフェル・ニーニョを配置。前半は攻め込まれ続けたものの、全員守備で耐え抜いたことが後半立ち上がりのPK獲得と先制劇に繋がった。
- 監督の交代策とその影響:
- アスレティック・ビルバオ:
後半65分、PKを与えて動揺の見えるヘスス・アレソを下げてホハネコを投入し、イニゴ・ルイス・デ・ガラレタに代えてミケル・ハウレギサールを投入して中盤の強度を整えた。そして後半72分、ロベルト・ナバーロに代えてアレックス・ベレンゲルを投入したことが最大の当たり采配となった。ベレンゲルは右サイドの攻撃を即座に活性化させ、79分の同点ゴールを引き寄せる決定的な役割を果たした。後半82分には足を痛めたイニャキ・ウィリアムズに代えてマロアン・サナディを投入して前線の圧力を維持した。
- エルチェCF:
後半69分、先制後に逃げ切りを図るためファクンド・ブオナノッテとフェル・ニーニョに代えてトマ・ルマルとアビエル・オソリオを投入。ルマルの高いキープ力とオソリオの力強い前線での身体張りが貴重な時間を稼いだ。さらに後半75分と82分にルベン・サンチェス、マルティム・ネト、セペダを相次いで投入して最終ラインを5バック化。追いつかれはしたものの、終盤のアスレティックの猛攻を耐え忍び、貴重な勝ち点1を死守した。
現地メディアの選手採点・評価比較
現地各紙(MARCA, AS, SPORT, Mundo Deportivo, El Desmarque, EstadioDeportivo)の報道や採点・評を集約すると、圧倒的な攻撃力を示しながらも決め手を欠いたアスレティック攻撃陣と、耐え抜いて敵地で価値あるポイントを手にしたエルチェ守備陣のコントラストが浮き彫りになった。
- マティアス・ディトゥロ(エルチェCF/GK):
-開幕からの大量失点によりサポーターや現地メディアから起用を疑問視されていたディトゥロだが、この試合の評価は一変した。MARCAは「これまでプレッシャーに晒されていたベテランが重要な場面でチームを救った」と評し、SPORTやEl Desmarqueは後半92分にニコ・ウィリアムズの決定的なシュートを阻止した右手一本の超ビッグセーブを「勝ち点1をもたらした本物の救世主」と絶賛。平均採点でも7.5点から8.0点相当の高評価を獲得した。
- ファクンド・ブオナノッテ(エルチェCF/MF):
-各紙揃って高い評価を与えており(平均採点7.5点相当)、SPORTは「サン・マメスの大威圧のなかでウナイ・シモンの逆を突くPKを沈めた冷静さと度胸」を絶賛。MARCAやASは前半に前線で孤立気味だった点を触れつつも、「少ない決定機で確実に違いを作り出すクラスを見せた」と評価をまとめている。
- ニコ・ウィリアムズ(アスレティック・ビルバオ/FW):
- メディア間で評価の視点が分かれた。Mundo
DeportivoやEl Desmarqueは「前半から左サイドで圧倒的な突破力を誇り、対峙するブバ・サンガレを何度も崩し切った」と攻撃の牽引力(7.0点〜7.5点相当)を称賛。一方でMARCAやASは「後半にエルチェが自陣ブロックを固めると強引な仕掛けが目立ち、ラストパスやシュートの精度を欠いた」と指摘し、突破力への絶賛と決定打を欠いた点への厳しい見解が対比された。
- アレックス・ベレンゲル(アスレティック・ビルバオ/FW):
-後半72分からの途中出場ながら、各紙からチームトップクラスの高採点(8.0点相当)が与えられた。SPORTやEstadioDeportivoは「停滞していたチームの攻撃にスピードとひらめきをもたらし、同点弾を直接引き出した最高のジョーカー」と絶賛した。
- ヘルマン・バレラ(エルチェCF/FW・MF):
-PKを獲得した場面について、SPORTは「エリア内でのキレのある仕返しで相手の反則を誘った見事な一破」と高評価を下したのに対し、MARCAは「守備の戻りが遅れてアスレティックの攻め上がりを許す場面があった」と守備面での課題を挙げるなど、見解の違いが見られた。
試合後の監督・選手コメント
- エディン・テルジッチ監督(アスレティック・ビルバオ):
-「結果とパフォーマンスは分けて捉えたい。前半のチームの出来は大きな前進であり、相手を自陣に押し込んで試合を支配していた。足りなかったのは最初の1ゴールだけだ。しかし後半最初の相手の攻撃でPKを与えてしまい、自分たちで難しくしてしまった。ホームでの引き分けは非常に悔しいが、アトレティコ戦以上にゲームを支配できており、後退ではなく学びのステップだ」-「(足を痛めて退場したイニャキ・ウィリアムズについて)試合後に話したが、足に強い打撃を受けて激しい痛みを感じていた。ただ、退場した直後よりは落ち着いており、明日の精密検査で大きな問題がないことを願っている」
- マルティン・アンセルミ監督(エルチェCF):
-「選手たちがサン・マメスで見せた戦いぶりを心から誇りに思う。この特別なスタジアムでは苦しい時間帯を耐え抜くことが不可欠だ。今節は失点を防ぐために全員で泥臭く守るプランを選んだが、選手たちは一ボール一ボール集中して完璧に実行してくれた。勝ち点という目に見える報酬を得られたことは、日々努力を重ねるグループにとって大きな報いになる。このように戦えれば、我々はどんな相手にとっても非常にタフなライバルになれる」-「(かつてビエルサ率いるアスレティックに魅了された逸話について)実は昔、マルセロ・ビエルサが率いていた時代のアスレティックに魅了され、どうしても生で観戦したくて愛車のオートバイを売って渡航費を作り、コパ・デル・レイ決勝(ペップ・グアルディオラ率いるバルセロナとの試合)を見にスペインへ渡った経験がある。私にとってサン・マメスのベンチに立ち、このクラブと戦えることは人生における素晴らしい特権であり誇りだ」
- アレックス・ベレンゲル(アスレティック・ビルバオ):
-「とにかく何かを起こそうと決意してシュート気味のクロスを放ち、最終的にゴールに繋がった。だが、ホームのサン・マメスでは常に勝ち点3を目指しているため、引き分けという結果には全く納得していない。相手が後半に引いて守りを固めたことで崩すのが難しくなったが、課題に向き合って前を向くしかない」
- ファクンド・ブオナノッテ(エルチェCF):
-「サン・マメスの大歓声はすさまじいプレッシャーを与えてくるが、PKの場面では自分のキックを100%信用してゴール隅へ蹴り込んだ。ウナイ・シモンという世界最高峰のキーパーからゴールを奪えて嬉しい。前半は苦しんだが後半に持ち直し、この特別なスタジアムから貴重な勝ち点1を持ち帰ることができるのは大きな自信になる」
見どころと対戦背景
アウェーでのセルタ・ヴィゴ戦(0-2)、そして本拠地サン・マメスでのアトレティコ・マドリード戦(3-0)と連続でクリーンシート(無失点勝利)を達成し、一気に波に乗り始めたアスレティック・ビルバオ。エディン・テルジッチ新監督のもと、開幕直後の2連敗(セビージャFC戦、FCバルセロナ戦)という試練を乗り越え、チームは鋭いハイプレスと縦への素早いトランジションを取り戻しつつあります。ヨハネコ・ルイ=ジャンやオイハン・サンセト、ニコ・ウィリアムズらがピッチ上で躍動し、サン・マメスの熱気は再び最高潮に達しています。
一方、マルティン・アンセルミ新監督が率いるエルチェCFは、極めて苦しいシーズン序盤を迎えています。RCデポルティーボ・ラ・コルーニャとの開幕戦(1-1)で勝ち点1を獲得したものの、その後はFCバルセロナ(0-5)、レーシング・サンタンデール(3-2)、リアル・ソシエダ(2-3)を相手に3連敗を喫し、4試合で12失点とラ・リーガ最多失点を記録。ボール保持とビルドアップを重視するスタイルを掲げるものの、守備の破綻や痛恨のミスが重なり、勝ち点を伸ばせずにいます。
本拠地で勢いを加速させ上位追撃を狙うアスレティック・ビルバオと、敵地サン・マメスで今季初勝利を挙げて浮上のきっかけを掴みたいエルチェCF。双方にとって今季の方向性を占う重要な一戦となります。
予想スタメンと負傷・出場停止情報
MARCA, AS, SPORT, Mundo Deportivo, ElDesmarqueなどの各紙が報じる最新のチーム動向と予想スタメンは以下の通りです。
アスレティック・ビルバオアスレティック・ビルバオでは、攻撃の要であるフォワードのゴルカ・グルセタが右足ハムストリングの筋損傷を負い、数週間の離脱が確定。今節のエルチェCF戦を欠場することが決まりました。さらに中盤のペイオ・カナレス(左ヒラメ筋負傷)や、プレシーズンから離脱が続くセンターバックのダニ・ビビアンも引き続き不在となります。一方で、出場停止が明けたユーリ・ベルチチェが復帰可能となったほか、アトレティコ・マドリード戦で頭部を負傷したイエライ・アルバレスや、軽傷から回復したベニャト・プラドスも揃っています。
- 予想スタメン(4-2-3-1)
- GK: ウナイ・シモン
- DF:
ヘスス・アレソ(またはウゴ・リンコン)、イエライ・アルバレス(またはアイトル・パレデス)、アイメリク・ラポルテ、ユーリ・ベルチチェ(またはヨハネコ・ルイ=ジャン)
- MF:
イニゴ・ルイス・デ・ガラレタ、ベニャト・ヘレナバレーナ(またはミケル・ハウレギサル)
- AM: ロベルト・ナバロ、オイハン・サンセト、ニコ・ウィリアムズ
- FW: イニャキ・ウィリアムズ
エルチェCFエルチェCFは、膝の負傷を抱えるヤゴ・デ・サンティアゴと筋肉トラブルのアダム・ボアヤルが引き続き欠場となります。しかし、夏の移籍市場最終盤で加入したトマ・レマルやケビン・ロモナコ、ルベン・サンチェス、エセキエル・ポンセらの新戦力が本格的にチームへ合流しており、アンセルミ監督の選択肢は広がっています。
- 予想スタメン(5-3-2)
- GK: マティアス・ディトゥーロ
- DF:
ブバ・サンガレ(またはテテ・モレンテ)、ビクトル・チュスト、ペドロ・ビガス(またはケビン・ロモナコ)、ヘルマン・バレラ
- MF:
ゴンサロ・ビジャール、マルク・アグアード(またはハビ・モルシージョ)、トマ・レマル(またはファクンド・ブオナノッテ)
- FW: フェル・ニーニョ、エセキエル・ポンセ
監督会見・注目選手コメント
エルチェCFでは、新加入選手の公式発表会見に臨んだフォワードのエセキエル・ポンセが、苦しいチーム状況の中でもアンセルミ監督への全幅の信頼と今節に向けた強い意気込みを語りました。「自分たちが備えている才能とクオリティを信じている。期待通りの開幕スタートとはならなかったが、この状況をひっくり返すために戦う。僕たちは指導者を信頼している。アンセルミ監督はサッカーに対して並々ならぬ情熱とインテンシティを持って接しており、僕たちを限界まで引き上げてくれている」
対するアスレティック・ビルバオでは、中盤の要であるオイハン・サンセトがテルジッチ新監督の戦術とフィジカル面の改革に対する強い手応えを口にしています。「監督のアイデアが好きだし、それがピッチ上でのプレーをよりスムーズにしてくれている。僕たちが良い手応えを得ているのは試合を見れば明らかだ。現代サッカーは非常にフィジカルであり、新しい指揮官のもとでフィジカル面でも大きな一歩を踏み出すことができていると感じている」
また、復調を見せるニコ・ウィリアムズも指揮官への信頼を強調しています。「僕たちが迎えた指揮官は素晴らしく、それがそのままピッチに反映されている。彼が移植してくれた多くの新しい戦術やコンセプトを、チーム全体で完璧に吸収しつつある」
そして、アスレティック・ビルバオを率いるエディン・テルジッチ監督は、サン・マメスの歓声に感謝しつつ、さらなる連勝に向けて気を引き締めています。「サポーターが笑顔でスタジアムを後にできたことが何より嬉しい。この素晴らしい雰囲気を継続し、ファンに再び勝利を届けるために日々のトレーニングから全力で準備を進めていく」