レアル・マドリード vs Inter Milan
UEFAチャンピオンズリーグ / Estadio Santiago Bernabéu / 2026年9月9日(水)
試合サマリーと得点経過
試合日時:2026年9月8日 21:00(CEST)スタジアム:エスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウ(マドリード)スコア:レアル・マドリード 2 - 1 インテル・ミラノ得点者:
- レアル・マドリード:キリアン・エムバペ(19分)、フェデリコ・バルベルデ(28分)
- インテル・ミラノ:カルロス・アウグスト(77分)
ラ・リーガ直近のレアル・ベティス戦で0-1の初黒星を喫し、嫌な流れを払拭したいレアル・マドリードが、UEFAチャンピオンズリーグの開幕節で本拠地サンティアゴ・ベルナベウにイタリア王者インテル・ミラノを迎えた一戦。超攻撃的布陣で臨んだレアル・マドリードが立ち上がりの主導権を握り、アグレッシブなプレッシングと素早いトランジションでインテル陣内に襲いかかりました。
19分に試合が動きます。中盤での奪い合いからジュード・ベリンガムが相手の隙を突いて前線へスルーパスを供給。これを受けたキリアン・エムバペが鋭いファーストタッチで相手CBを交わし、冷静にゴール右隅へ蹴り込んでレアル・マドリードが先制に成功します。
畳みかけるレアル・マドリードは28分、右サイドから中央へカットインしたヤン・ディオマンデを経由し、ペナルティエリア手前でボールを受けたフェデリコ・バルベルデが右足を一閃。相手ゴールキーパーの手を弾く力強いミドルシュートを叩き込み、リードを2点に広げました。
しかし後半、反撃に出たインテルがポゼッションを高めて怒涛の押し込みを見せます。77分、左サイドの崩しからニコロ・バレッラがクロスを送ると、負傷欠場したフェデリコ・ディマルコの代役として先発していたカルロス・アウグストがペナルティエリア内に侵入し、力強いヘッドでゴールネットを揺らして1点差に詰め寄ります。終盤はインテルがシュート数19本(レアル・マドリードは16本)と猛攻を仕掛けましたが、守護神ティボー・クルトワのビッグセーブ連発により、レアル・マドリードが2-1で逃げ切り、欧州白星スタートを切りました。
戦術・采配のポイント
レアル・マドリードのジョゼ・モウリーニョ監督は、前季のカード蓄積による出場停止(アルダ・ギュレル、ベルナルド・シウバ、エドゥアルド・カマヴィンガ)と怪我上がり(オーレリアン・チュアメニ)が重なり、中盤のキーマンを多数欠く深刻なやりくりを強いられました。これに対しモウリーニョ監督は、サイドバックのトレント・アレクサンダー=アーノルドを中盤中央に配置し、フェデリコ・バルベルデとダブルピヴォットを組ませる変形4-2-3-1を採用。前線にはジュード・ベリンガム、ブラヒム・ディアス、ヤン・ディオマンデ、ヴィニシウス・ジュニオル、キリアン・エムバペを一挙に並べる攻撃的な陣形を組みました。
しかし、ゲームのペースを落ち着かせるゲームメイクタイプの中盤を欠いたことで、チームはボールを保持して試合をコントロールできず、前線と後方が分断される大味な展開となりました。
対するインテルのクリスティアン・キヴ監督は、3-5-2の基本フォーメーションからハイプレスを敢行。後半に入るとハカン・チャルハノールやニコロ・バレッラを中心に中盤を完全に支配し、レアル・マドリードを自陣深くに押し込みました。
モウリーニョ監督の交代策も試合の鍵を握りました。79分、パス成功数20本にとどまり守備の追走に追われていたトレント・アレクサンダー=アーノルドに代えて、復帰途上のオーレリアン・チュアメニを投入。中盤のフィルター機能を高めてブロックを構築しました。さらに87分には、左サイドで激しい上下動をこなして消耗していたヴィニシウス・ジュニオルを下げ、守備の強度を保ちながら試合を終わらせる決断を下しました。
現地メディアの選手採点・評価比較
試合後、現地スペイン各紙(MARCA, AS, SPORT, Mundo Deportivo,ElDesmarque)は主力のパフォーマンスについて様々な見解を示しました。
最極高の評価を獲得したのは守護神ティボー・クルトワです。MARCAやElDesmarqueをはじめ各紙揃ってチーム最高点(10点満点中8.5〜9点相当)をつけ、インテルの決定的な場面を何度も阻んだ異次元のセービングを絶賛しました。また、追加点を奪い中盤で泥臭いカバーリングを続けたフェデリコ・バルベルデにも各紙7.5点前後の高評価が与えられました。
一方で、最も見解が分かれたのがヴィニシウス・ジュニオルへの評価です。
- SPORT および **Mundo
Deportivo**(バルセロナ色・批判的視点):1対1での打開力の欠如や判断の遅さを厳しく指摘し、平均5点以下の低採点を付与。87分の交代時にベルナベウのスタンドから一部ブーイング(pitos)が上がった点を取り上げ、エムバペとの共存や守備意識の課題を「不穏な空気」として報じました。
- MARCA および
ElDesmarque(マドリード色・擁護的視点):モウリーニョ監督の戦術的要請により、エムバペやベリンガムを前線でフリーにするためヴィニシウスが左サイドで広大なスペースをカバーする守備タスクをこなしている点に着目。単なる突破力だけでなく、チームのための泥臭い献身性を高く評価しました。
また、中盤で起用されたトレント・アレクサンダー=アーノルドについては、慣れない中央での位置取りに苦しみ、パス本数の少なさや展開力の乏しさを理由に、各紙ともに5点前後の伸び悩む評価となりました。
試合後の監督・選手コメント
ジョゼ・モウリーニョ(レアル・マドリード監督)「5-1にもなり得たし、6-6にもなり得た狂った試合(locura)だった。私自身はもっと完璧なコントロールを好む。後半はボールを保持して落ち着かせる根気がなく、非常に苦しんだ。中盤に多くの欠場者を抱える難しい状況だったが、勝利という結果を出せたことは重要だ。我々は自分たちのプレーの精度をさらに高めていかなければならない」
クリスティアン・キヴ(インテル監督)「ベルナベウで戦うことは決して容易ではない。60年間ここで勝てていない歴史が示す通りだ。0-2とされた後もチームは強い個せ有とプライドを見せ、後半は試合を支配して追い詰めた。結果は伴わなかったが、控え選手含めてチームが見せた競争力には満足している。モウリーニョは特別な人物であり勝者だ。彼のチームは今季素晴らしい成果を収めるだろう」
キリアン・エムバペ(レアル・マドリード FW)「ベティス戦での躓きの後だけに、チャンピオンズリーグの初戦で勝利を収めることが何より不可欠だった。先制ゴールでチームに貢献できたことは嬉しいが、後半の戦い方やボールの扱い方には改善すべき点が多い。過密日程の中で成長を続けていきたい」
ヴィニシウス・ジュニオル(レアル・マドリード FW)「チャンピオンズリーグは僕たちにとって特別な大会だ。インテルは非常にタフでフィジカルが強く、5バックで守る難しい相手だったが、ミスターの準備通りに戦って勝ち点3を掴むことができた。個人的にもチームのためにもっとレベルを上げていきたい」
見どころと対戦背景
激動の今季初黒星から、愛する聖地での欧州最高峰の戦いへ
レアル・マドリードは、ジョゼ・モウリーニョ監督の第二次政権下でラ・リーガ開幕3連勝(エスパニョール戦、レアル・ソシエダ戦、マラガ戦)を飾り、これ以上ない好スタートを切った。しかし、直前の第4節レアル・ベティス戦で0-1と今季初黒星を喫し、早くも最初の試練を迎えている。この痛烈な敗戦の悔しさを晴らすべく挑むのが、欧州最高峰の舞台であるUEFAチャンピオンズリーグの開幕戦、インテル戦である。
この一戦は、何よりもモウリーニョ監督にとって計り知れない感情を呼び起こす特別なものとなる。2010年、インテルを率いてセリエA、コッパ・イタリア、そしてチャンピオンズリーグの「三冠」を達成した記念すべき聖地こそが、まさにこのサンティアゴ・ベルナベウであった。かつて栄光の歴史を共に築いた古巣をホームに迎えるという、極めてエモーショナルな対戦背景がそこには存在する。
対するセリエA王者インテルは、クリスティアン・キヴ監督のもとで盤石の3-5-2システムを維持している。今夏には守備陣をさらに強固にするため、イングランドからジョン・ストーンズ、ジェド・スペンス、カーティス・ジョーンズらを獲得し、戦力をアップデートさせた。過去の対戦成績ではレアル・マドリードが19戦10勝と優勢を誇るものの、1964年の欧州チャンピオンズカップ決勝でマドリードを破った歴史を持つインテルは常に厄介な存在である。今シーズンのリーグフェーズ突破に向け、初戦からお互いの意地が激突する最高峰の戦いとなるだろう。
予想スタメンと負傷・出場停止情報
前シーズンの負の遺産「中盤3名出場停止」の非常事態
レアル・マドリードを率いるモウリーニョ監督は、このチャンピオンズリーグ初戦に向けて、頭を抱えるほどの極めて深刻なメンバー選考の危機に直面している。
最大の懸念は、昨シーズンから引きずるサスペンションの消化である。アルダ・ギュレル、エドゥアルド・カマヴィンガ、ベルナルド・シウバの主力ミッドフィールダー3名が、前シーズンの累積警告などの出場停止処分により、インテルとの開幕戦に揃って出場できない。さらに、重傷から回復途上のフェルランド・メンディは登録メンバーのリストAから除外されており、代わりにラシン・サンタンデールから獲得したばかりの19歳セルギー・マルティネス(背番号38)が登録された。
負傷者リストも多大であり、エデル・ミリトン、ロドリゴ、ラウル・アセンシオ、チアゴ・ピタルクらが離脱中である。筋肉系のトラブルを抱えるオーレリアン・チュアメニやエンドリックに関しては、このインテル戦に間に合うかどうかが注視されている。この緊急事態において中盤のやりくりは極めて難しく、唯一健在なフェデ・バルベルデと、新星セルギー・マルティネスをスクランブルで並べるか、あるいはジュド・ベリンガムを一列下げる変則的な配置が必要となる。
大手メディアのASやSPORTなどが予想する両チームの布陣は以下の通りである。
レアル・マドリード(4-2-3-1)
- GK: Thibaut Courtois
- DF: Denzel Dumfries, Ibrahima Konaté, Dean Huijsen, Marc Cucurella
- MF: Fede Valverde, Sergio Martínez (または Bellinghamのコンバート)
- OMF/FW: Brahim Díaz (または Yan Diomande), Jude Bellingham, Vinicius
Jr., Kylian Mbappé
インテル(3-5-2)
- GK: Yann Sommer
- DF: John Stones, Francesco Acerbi, Alessandro Bastoni
- MF: Djed Spence, Curtis Jones, Hakan Çalhanoğlu, Nicolò Barella,
Federico Dimarco
- FW: Marcus Thuram, Lautaro Martínez
監督会見・注目選手コメント
「CLでは深刻な問題を抱えることになる」モウリーニョが語る本音
モウリーニョ監督は、このインテル戦に先立って行われた公式会見で、すでに迫り来る「中盤のサスペンション危機」と離脱者の多さについて問われ、胸中を率直に明かしている。
中盤のキーマンであるカマヴィンガ、ベルナルド・シウバ、アルダ・ギュレルの3選手がインテル戦に出場できないという現実について、指揮官は苦笑いを浮かべながら記者団にこう語った。
「せっかくの私の平穏を台無しにする気かね?それについては直前の国内リーグ戦(ベティス戦)が終わった後に話そう。それまでは、私を楽観的でハッピーな気分でいさせてほしい。だが、確かにチャンピオンズリーグの開幕戦では、私たちは非常に深刻な問題を抱えることになる(Tendremos un problema gordo)」
また、新しくチャンピオンズリーグの登録メンバーに加わった若手MFセルギー・マルティネスについては、「彼は素晴らしい品質を備えている。しかし、ここ(マドリード)の要求されるレベルは別次元だ。この大舞台のメンバーに彼が加わることが最初のステップになるだろう」と、大きな期待を寄せつつも過度なプレッシャーをかけないよう配慮を示した。
一方、インテルを率いるクリスティアン・キヴ監督は、夏の移籍市場でバルセロナをはじめとするメガクラブからの関心が報じられ続けたエースでありキャプテンのラウタロ・マルティネスについて、「ラウタロは我々の絶対的なシンボルであり、我々が築き上げようとしているプロジェクトの中心だ。彼はインテルに残り続け、この大舞台でチームを力強く牽引してくれると確信している」と、並々ならぬ信頼を語り、マドリードへの殴り込みに向けた強い意気込みを見せている。