ビジャレアルCF vs デポルティーボ・ラ・コルーニャ
ラ・リーガ / jornada-4 / Estadio de Villarreal / 2026年9月6日(日)
試合サマリーと得点経過
ラ・リーガ第4節、エスタディオ・デ・ラ・セラミカにて、かつて「スーペル・デポル」として欧州を震撼させた古豪と、今季チャンピオンズリーグに挑む黄色い潜水艦の一戦が繰り広げられた。試合は終始、目まぐるしく展開が変わる大乱打戦となり、最終的にアウェイのデポルティーボ・ラ・コルーニャが劇的な2対3での逆転勝利を飾った。
最初の歓喜はホームのビジャレアルCFに訪れる。19分、中盤での素早いパスワークからアヨゼ・ペレスが中央で前を向き、絶妙な反転から前線へ鋭いスルーパスを供給する。デポルティーボのDFラインの背後に流れたボールに対し、GKレオ・ロマンの飛び出しが中途半端になった隙を逃さず、快速を飛ばして回り込んだニコラス・ペペがペナルティエリア右から技ありのループ気味のシュートを流し込み、ビジャレアルが先制に成功した。
しかし、デポルティーボも黙ってはいない。43分、新加入のホセ・マリア・ヒメネスの縦パスを起点に、 LorenzoAmatucciを経由してバイタルエリアで受けたピエール=エメリク・オーバメヤンが極上の輝きを放つ。相手DFの股を抜く天才的なアシストをペナルティエリア内へ送ると、走り込んだルイスミ・クルスが右足でゴールネットに突き刺し、前半のうちに試合を振り出しに戻した。
後半、ビジャレアルの猛攻を耐え凌いでいたデポルティーボだったが、75分に悪夢が襲う。ヘラルド・モレノが右サイドからゴール前へ送ったクロスに対し、直前に守備のサポートのために投入されていたアドラマ・トラオレがヘディングでクリアを試みたものの、これが無情にも自陣ゴールに吸い込まれ、ビジャレアルが予期せぬ形で2対1と再び勝ち越した。
それでも、今季のデポルティーボの底力は本物だった。失点からわずか3分後の78分、再びオーバメヤンを起点とした鮮やかな連係から、途中出場のザカリア・エダフシュリがペナルティエリア左へ侵入。 LuizJúniorのニアサイドを破る鋭い左足の弾丸シュートを叩き込み、瞬く間に2対2の同点に追いつく。
そして劇的なドラマは88分に完成する。ビジャレアルのイリアス・アコマシュが自陣左サイドへ送ったバックパスに対し、左バックのセルジ・カルドナが完全に足を止めてしまう。この連係ミスを逃さなかったオーバメヤンが野生的な嗅覚でボールを奪い取ると、そのままゴール前へ独走。立ち塞がるGKの牙城を打ち破る正確なフィニッシュを突き刺し、セラミカのサポーターを沈黙させる大逆転の決勝ゴールをもたらした。
戦術・采配のポイント
ビジャレアルのイニゴ・ペレス監督は、過密日程とチャンピオンズリーグのドイツ遠征を控えていることから、先発メンバーに複数の新顔を並べた。カルロス・ロメロの代わりにセルジ・カルドナ、さらには若き才能ネイサン・サリバを中盤の底に抜擢した。しかし、この戦術的実験は、守備組織の「連係不足」という代償を伴う。パペ・ゲイとサリバのダブルボランチは中央のスペース管理が甘く、特にデポルティーボの中盤のパスワークに翻弄される場面が目立った。後半、コメサーニャやブキャナン、ミカウタゼを投入して強引に攻撃へシフトしたものの、チーム全体のバランスが完全に崩壊。最終盤は守備の強かさを欠き、個人の安易なエラーから致命的な3点目を献上することとなった。
対するデポルティーボのアントニオ・イダルゴ監督は、緻密に練られた「4-4-2のダイヤモンド(中盤ロンボ)」を採用した。アンカーにAmatucci、トップ下にマリオ・ソリアノ、インサイドハーフにリキとルイスミ・クルスを配置し、ビジャレアルが仕掛ける不完全なプレスをワンタッチパスとサードマンの動きで見事に無力化させた。
さらに、イダルゴ監督の交代策は勝負を分ける決定打となった。後半早々にYeremayを投入して中盤の推進力を補い、62分にはカサド、ロウレイロ、アドラマ・トラオレを同時投入して全体のインテンシティを維持。オウンゴールという不運に見舞われた直後には、素早くエダフシュリをピッチに送り出して同点劇を演出し、アドラマやイェレマイが両翼で見せた驚異的なデボルド(突破力)が、最終的なビジャレアルの自滅と大逆転劇を完璧に演出した。
現地メディアの選手採点・評価比較
この波乱の展開に、現地メディアの評価も熱を帯びている。主だった選手たちへの評価は以下の通りだ。
- ピエール=エメリク・オーバメヤン
- SPORT: 10点 / 10点満点
- ElDesmarque: 10点 / 10点満点
*両メディアともに「完璧」と絶賛を惜しまない。SPORTは「37歳という年齢は単なる数字に過ぎない。2つの天才的なアシストに加え、ビジャレアルの隙を突いた冷静な決勝弾。これ以上ない支配力だ」と絶賛。ElDesmarqueも、彼のオフザボールの動きがデポルティーボの攻撃に生命線をもたらしていると評した。
- マーク・カサド
- SPORT: 5点
- ElDesmarque: 8点
*バルセロナからの新加入であるカサドに対しては、評価が大きく分かれた。SPORTは短時間での出場ゆえに慎重な採点に留めたが、ElDesmarqueは「バルサ時代には見られなかった驚異的なプレッシングの強度と闘争心を披露。中盤の底でAmatucciと組んで守備を完全に引き締めた」と、ピッチでのパーソナリティと泥臭い仕事を絶賛している。
- レオ・ロマン
- SPORT: 5点
- ElDesmarque: 7点
*失点シーンでの判断ミスが議論の的となった。SPORTは「最初の失点時の飛び出しの判断ミスはいただけない」としつつも、「Moleiroの放った決定的なシュートを阻止した驚異的なパロミータ(セービング)は神がかっていた。まさに『一喜一憂』の出来」と評した。一方、ElDesmarqueは「ミスはあったが、その後に見せたスーパーセーブの数々がデポルに逆転への希望を繋ぎ止めた」とより好意的な見解を示している。
- ビジャレアル側の採点評価
*ニコラス・ペペはSPORTで8点とチーム内最高評価を獲得。「鋭い突破でデポル守備陣を恐怖に陥れ、先制点も見事に決めた」と攻撃陣を牽引したことが称えられたが、後半は孤立無援となり疲弊した。
- 一方で、GKの**Luiz
Júniorには4点**の酷評が下り、失点時の反応の遅さや手の強度の弱さが「セラミカのサポーターからブーイングを浴びる要因となった」と、厳しい現地評価を浴びている。
試合後の監督・選手コメント
激闘を終えた両指揮官の会見は、対照的な表情に包まれた。
ビジャレアルのイニゴ・ペレス監督は、痛烈な自己批判を展開した。「たとえ勝利を収めていたとしても、私は今日のパフォーマンスに決して満足できなかっただろう。自らの内面に目を向け、猛省し、多くのことを早急に修正しなければならない。エリア内での強かさや集中力が完全に欠落していた。4試合で勝ち点2というスタートは、我々のようなクラブにとって最悪だ。これは我々が即座に対応しなければならない、非常に危険なアラームである」
対照的に、デポルティーボのアントニオ・イダルゴ監督は、興奮を隠しながらも選手たちの奮闘を「凄まじい」と言い表した。「セラミカというチャンピオンズリーグに出場する格上相手のスタジアムで、このように逆転劇を見せて勝ちきったことは率直に言って凄まじい(brutal)ことだ。我々は厳しい戦いになることを百も承知で、最後まで競り合う準備ができていた。後半、少しブロックが下がりすぎてしまった時間帯はあったが、選手たちは常に精神的に切れることなく戦い抜いてくれた」
また、殊勲のオーバメヤンについてイダルゴ監督は次のように語り、最敬礼した。「オーバメヤンについては、私がここで改めて説明するまでもないだろう。日々のトレーニングで見せる彼の笑顔はチーム全員に伝染し、その驚異的な才能と姿勢が、彼が築いてきた輝かしいキャリアを物語っている。彼のような特別な選手がこのチームにいてくれることを、私は心から光栄に思う」
ラ・リーガの厳しさを知る昇格組が、チャンピオンズリーグ出場クラブを下した。この狂乱の夜は、名門復活の狼煙として長くファンの記憶に刻まれるだろう。
見どころと対戦背景
ラ・リーガ第4節、エスタディオ・デ・ラ・セラミカを舞台に行われるビジャレアルCFvsデポルティーボ・ラ・コルーニャ(2026年9月5日21:00キックオフ)は、双方にとってシーズン序盤の大きな試金石となる。デポルティーボが1部に身を置いていた2017-2018シーズン以来、実に8シーズンぶりとなる名門対決が、ついにトップリーグの舞台で復活する。
ホームのビジャレアルCFは、今季からチームを率いるイニゴ・ペレス新監督のもと、開幕3試合で2分1敗の勝ち点2と苦しい船出を強いられた。ラシン・サンタンデール戦、アトレティコ・マドリード戦でいずれも2-2の引き分けに終わり、前節デポルティーボ・アラベス戦では0-1で今季初黒星を喫した。3試合を終えて未勝利という現状は、クラブにとってここ5年で最悪のスタートにあたる。しかし、これまでの3試合はすべて敵地でのアウェイゲームであり、このデポルティーボ戦こそが、待ちに望んだ今季初のホームゲーム(エスタディオ・デ・ラ・セラミカでの開幕戦)となる。サポーターの前で新指揮官の初勝利を飾り、重苦しい空気を一掃したいところだ。
対するデポルティーボ・ラ・コルーニャは、昇格組でありながら開幕3試合を終えて1勝2分(勝ち点5)と無敗をキープし、極めて良好なスタートを切った。その最大の原動力となっているのが、37歳にして驚異的な得点感覚を維持する大物新加入選手、ピエール=エメリク・オーバメヤンだ。オーバメヤンはエルチェ戦、マラガ戦に続き、前節バレンシアCF戦でも貴重な決勝ゴールを叩き出し、デビューから3試合連続得点を記録。これはクラブのレジェンドであるベベトとラバデが持つ偉大な記録に並ぶ快挙であり、今回のビジャレアルCF戦でゴールを決めれば、クラブ史上初となる「デビューから4試合連続ゴール」の金字塔を打ち立てることになる。
さらにデポルティーボにとって追い風となるのが、クラブを取り巻く「平和的解決(paz social)」だ。50日以上にわたり、本拠地リアソールのゴール裏スタンド(MarathónInferior)の年間シート更新条件を巡ってクラブ経営陣とサポーター団体が対立し、応援ボイコット(huelga deanimación)にまで発展していたが、8月28日に両者がついに合意に達した。経営陣、選手、ファンが再び強固な一体感を取り戻したデポルティーボは、今季初勝利の興奮冷めやらぬまま、敵地ラ・セラミカに大挙して乗り込んでくる。
予想スタメンと負傷・出場停止情報
ホームのビジャレアルCFは、移籍市場最終盤でフランス人DFのWillyKambwalaをComoへ完全移籍で放出した。一方で、Anderlechtから約1500万ユーロ(5年契約)で獲得したカナダ代表の若き実力派MFネイサン・サリバがすでに練習に合流し、前節のアラベス戦に続いて今節も招集リスト入り。イニゴ・ペレス監督が求める前線からのハイプレスと高い運動量を体現する中盤のバックアップとして、起用が注目される。
各紙が報じるビジャレアルCFの予想スタメンは、前節をベースにした4-2-3-1(あるいは可変4-4-2)が有力視されている。守護神には新加入のルイス・ジュニオルが入り、DFラインは右からサンティアゴ・モウリーニョ、フアン・フォイス、レナト・ヴェイガ、カルロス・ロメロが並ぶ。ダブルボランチはSanti ComesañaとPapeGueyeがコンビを組み、2列目の右にNicolasPépé、左には前節スタメンを飾ったTajonBuchanan(または復帰が期待されるAlbertoMoleiro)が配置される見込み。そして最前線は、エースのGerardMorenoとGeorges Mikautadzeがコンビを組んで相手守備陣の攻略を狙う。
対するデポルティーボ・ラ・コルーニャは、長期離脱中のNoéCarrilloが唯一の負傷欠場者となる。サポーターの間で最も期待が高まっているのが、8月27日に電撃加入が発表された快速ウイングのAdamaTraoréだ。前節のバレンシアCF戦は選手登録の手続きとコンディション調整のためにメンバー外となったが、今節は登録も完了しており、初のベンチ入りが期待される。ただし、アントニオ・イダルゴ監督は会見で「慎重を期す」と繰り返しており、まずはベンチスタートからの「秘密兵器」としての起用が現実的だ。
一方、恥骨結合炎(pubalgia)によってプレシーズンを棒に振っていたデポルティーボの象徴、YeremayHernándezが完全復活を遂げた。前節の途中出場に続き、今回のビジャレアルCF戦ではいよいよスタートからの起用が有力視されている。
各紙の報道を総合したデポルティーボの予想スタメンは、守備時に5枚となる5-3-2(あるいは4-3-3可変システム)。GKには、開幕から決定的なピンチを何度も防ぎ、今や守備の絶対的支柱となったLeoRomán。DFラインは右からXimo Navarro、Lucas Noubi、MiguelLoureiro、そして左はGiacomo Quagliata。中盤はLorenzo AmatucciとMarioSorianoが舵を取り、AdriàAltimiraがピッチを幅広くカバーする。そして前線は、トップ下にLuismiCruz、左ウイング気味にYeremayHernándezが入り、最前線に絶好調のPierre-Emerick Aubameyangが配置される。
監督会見・注目選手コメント
【ビジャレアルCF】
イニゴ・ペレス監督:「私たちはこれまでのアウェイ3連戦で、チームが求めているプレー原則やコンセプトをピッチ上でしっかりと表現できており、そのプロセスには非常に満足している。しかし、当然ながら勝ち点2という結果には不満がある。自分たちがゲームをコントロールしている時間帯があり、多くの決定機を作っていながらも、エリア内での最後の精度や決定力を欠いているのが現状だ。特に、これまでの失点シーンに見られた『一瞬の守備の緩み』や『攻守でのpasividad(受動的な姿勢)』は徹底的に排除しなければならない。今節はいよいよ、我々のホームであるエスタディオ・デ・ラ・セラミカでサポーターの前に立つ。ファンが作り出す素晴らしいエネルギーをエネルギーに変え、全員で今季初勝利を掴み取り、ここから新しい流れを作りたい」
Gerard Moreno(キャプテン):「前節アラベス戦での敗戦は本当に悔しかった。自分たちがボールを保持し、決定的な形を何度も作りながらも、相手の一本のチャンスで失点し、メンタル的に引きずってしまった。だが、リーグ戦は始まったばかりであり、不必要にドラマ(悲観)を作る必要はない。これからホームで2試合続けて戦うことができる(デポルティーボ戦、ベティス戦)。自分たちのホームを再び難攻不落の要塞にするためにも、まずはこのデポルティーボ戦で確実に勝ち点3を積み重ね、僕たちの強さを示さなければならない」
【デポルティーボ・ラ・コルーニャ】
アントニオ・イダルゴ監督:「クラブとサポーター団体の間で合意が成立し、再びリアソールをはじめとするコミュニティ全体が一つになれたことは、間違いなく今シーズンにおける『最高の補強』であり、最大のニュースだ。デポルティーボというクラブにとって、ファンとの強固な絆、スタジアムに生まれるあの一体感(ユニオン)こそが、他チームとの決定的な違いを生む。しかし、本当の意味でその一体感を楽しむためには、ピッチの上で『勝利』を挙げなければならない。ビジャレアルCFは、非常にタフでフィジカルが強く、スピードに乗ったカウンターが極めて危険なチームだ。簡単な試合にはならないが、我々が培ってきた団結力を示し、勝ち点3をア・コルーニャに持ち帰る」
Pierre-Emerick Aubameyang(フォワード):「今シーズン、最高の状態でリーグ戦に入るために、この夏は個人的にも非常にハードなトレーニングを自分に課してきた。それが開幕から3試合連続ゴールという結果に繋がり、本当に嬉しく思っている。だが、これは僕一人だけの力ではなく、後ろでしっかりとボールを奪い、配給してくれるチームメイトのハードワークがあるからこそだ。ビジャレアルはかつてヨーロッパの舞台(オリンピック・マルセイユ在籍時)で対戦し、ゴールを決めた思い出深い相手でもある。今回も再びネットを揺らし、チームの無敗を維持しながら、デポルティーボの歴史に新たな1ページを刻みたい」