ラージョ・バジェカーノ vs ラシン・サンタンデール
ラ・リーガ / jornada-4 / Estadio de Rayo / 2026年9月6日(日)
試合サマリーと得点経過
ラ・リーガ第4節、2026年9月5日18時30分、ラージョ・バジェカーノは本来のホームであるバジェカスが閉鎖されている影響から、エスタディオ・デ・ブタルケにラシン・サンタンデールを迎えて「ホーム戦」を行った。不穏なクラブの経営陣への抗議デモが試合前にバジェカスの街で行われ、スタジアムにはわずか4,529人の観客しか入らないという異様な空気の中、試合は驚異的な熱量と激しさが交錯する大乱戦となった。結果は、2度のビハインドを跳ね返したラージョが3-2でラシンを破り、ベニャト・サン・ホセ監督体制における今季初勝利を飾った。
最初の歓喜は開始早々の3分、アウェーのラシンに訪れる。ペナルティエリアのすぐ外でファウルを獲得すると、キッカーに立ったのは古巣に復帰した元スペイン代表のセルヒオ・カナレス。美しい左足から放たれた放物線は、壁を鮮やかに越えてゴール右上の隅(デリケートなコース)に突き刺さる。ラージョの守護神ダニ・カレンスが懸命に手を伸ばすも届かない、防ぎようのない完璧な直接フリーキックでラシンが先制した。
反撃を試みるラージョは16分、試合を振り出しに戻す。ラシンのコーナーキックをクリアしたところから高速カウンターが発動。セルヒオ・カメホが中央でボールを保持してディフェンスを引きつけ、右サイドを猛然と駆け上がってきたアンドレイ・ラティウへ展開。パスを受けたラティウはトラップから一瞬のスピードで相手を置き去りにし、ペナルティエリア右から右足で地を這うような弾丸のクロス気味のシュートを放つ。これがラシンのキーパー、ジュレン・アギレザバラの手を弾き飛ばしてゴールネットに吸い込まれた。夏の移籍市場最終日にプレミアリーグのフルハムからの正式オファーを拒否して残留したばかりの右サイドバックは、両手を耳に当てるおなじみのジェスチャーで、周囲の雑音をかき消すようなパフォーマンスを披露した。
しかし27分、再びゲームが動く。ラシンの組織的なハイプレスが牙をむき、ラージョのウナイ・ロペスが自陣のペナルティエリア手前で痛恨のトラップミス。このこぼれ球を拾ったのは、今週ベティスから移籍してきたばかりで、これがデビュー戦となった20歳のパブロ・ガルシア。若きアタッカーは一瞬の迷いもなく左足を振り抜き、ボックス外から強烈なミドルシュートを放つ。少し前にポジショニングを取っていたダニ・カレンスは不意を突かれ、目の前でバウンドしたボールに対して反応しきれず、ラシンが再びリードを奪った。
リードされたラージョは怯まずに攻勢をかけ、43分に同点に追いつく。ラティウが右サイドを推進し、バイタルエリアのウナイ・ロペスへパス。ウナイ・ロペスはペナルティエリア内を覗き込み、右足のアウトサイドでディフェンスラインの頭を越える極上のロブパスを供給。これに完璧なタイミングで抜け出したセルヒオ・カメホが、シュートフェイント(amago)でラシンのセンターバック、マヌ・エルナンドを完全に滑らせて倒し、冷静にゴールへ流し込んだ。
試合をひっくり返す決定打は、後半が始まってすぐに生まれた。46分、またしてもウナイ・ロペスが魅せる。ハーフウェイライン付近からラシンのディフェンスラインの背後へ通す鋭いスルーパスを放つ。これに抜け出したのは、またしてもセルヒオ・カメホ。カメホは飛び出してきたアギレザバラの股下を射抜く技ありのシュートを突き刺し、この日自身2得点目でラージョに初めてのリードをもたらした。終盤に退場者を出しながらも、ラージョはこのリードを死守した。
戦術・采配のポイント
両チームともに4-2-3-1のフォーメーションをベースに、ピッチ幅を広く使ったアグレッシブなプレッシングと縦への素早いトランジションをベースに戦った。
ベニャト・サン・ホセ監督率いるラージョは、前節のバルセロナ戦で敗れはしたものの確かな手応えを掴んでおり、この試合では新戦力のアドリア・ペドロサを左サイドバックに、フルハムへの移籍をクラブが阻止したアンドレイ・ラティウを右サイドバックに先発復帰させた。ラティウの推進力はウナイ・ロペスやセルヒオ・カメホとの抜群の連携を生み、ラシンの左サイドを執拗に苦しめた。特にカメホの流動的な役割は秀逸で、裏へのスプリントだけでなく、時には「偽9番」や「10番」の位置に降りて中盤の構成力をサポートし、相手センターバックを引き寄せてスペースを作り出した。
一方、ホセ・アルベルト・ロペス監督が指揮するラシンは、ベティスから550万ユーロ(50%の権利)で急遽獲得したパブロ・ガルシアを、負傷離脱した主力アンデル・マルティンの代わりに右サイドハーフとして即座に先発起用した。この起用は、驚異的な得点シーンだけでなく、給水タイム(Pausa dehidratación)時に早くもベテランたちや監督に積極的に身振り手振りで指示を出すほどの強いリーダーシップをパブロ・ガルシアが披露したことで、大きな成果を挙げた。
監督の交代策においては、後半に明暗が分かれた。リードを奪ったラージョのサン・ホセ監督は、57分に早くもカメホとオスカール・バレンティンをピッチから下げ、アレマオとブアレをピッチに送った。この交代は、前線からの守備強度を維持するためのエネルギー注入だったが、85分に途中出場のフラン・ペレスが相手との競り合いで肘を出したとして一発レッドカードで退場すると、プランは一気に狂うこととなる。ベンチのデ・フルートスが冷蔵庫を蹴って退場処分となり、アシスタントコーチもレッドカードを提示されるなどベンチワークは大混乱に陥ったが、最終的には守備固め(バリューとツィタイシュヴィリを投入しての5バックへの変更)が功を奏した。
対照的に、ラシンのホセ・アルベルト・ロペス監督は3-2にされた直後の55分、極めて大胆な「3枚同時替え」を敢行した。疲労とビルドアップのノイズを取り除くため、ボランチのプラティとセンターバックのマヌ・エルナンド、ファク・ゴンサレスを下げ、パブロ・ラモン、アンドレ・アルメイダ、ジャンヌエル・ベロシアンを投入。特にバレンシアから加入してデビューを果たしたアンドレ・アルメイダは、中盤の底で32本中30本のパスを成功させ(94%)、デュエルでも強さを見せるなどラシンの攻撃を完全に活性化。終盤にはラージョを自陣ペナルティエリア内に釘付けにする圧巻のアサルトを実現した。
現地メディアの選手採点・評価比較
この壮絶な乱戦を受け、現地メディア各紙は異なる角度から主力選手たちを評価した。
まず、2ゴールを決めラージョを救ったセルヒオ・カメホには賞賛の嵐が吹き荒れた。SPORTは「圧巻の2ゴールだけでなく、ウナイ・ロペスやデ・フルートスをフリーにするためのフリーランニングとプレッシングのタスクを1人で遂行した」として、チーム最高点となる「9点(10点満点)」を与えた。一方、MARCAはカメホの多才さを評価。「彼は単なるフィニッシャーではない。ゲームメイクに深く関わる『偽9番』としての働きは、現在のラージョにとって戦術の核になっている」と称えた。
右サイドを制圧し、騒動後に即座に結果を出したアンドレイ・ラティウに対しても評価は二分しつつも高い。MARCAは「移籍市場のプレッシャーを受けながらピッチで答えを出す精神力、そしてあの弾丸ボレーは並大抵のレベルではない」と大絶賛。それに対し、MundoDeportivoは攻撃力だけでなく守備での貢献度に注目し、「攻撃スプリントに目が行きがちだが、後半の数的不利の状況における身を挺したディフェンスこそが、彼がラージョに留まるべき最大の理由だ」と守備の集中力をより強調した。
ラシンでセンセーショナルなデビューを飾ったパブロ・ガルシアへの評価も各紙で熱い。ElDesmarqueは、給水タイム中の彼の堂々とした振る舞いに注目し、「新加入の20歳が、ベテランのカナレスやイニゴ・ビセンテにピッチでの立ち位置を大声で指示していた。この男はただの才能ではなく、チームを背負う『ガロン(リーダーの証)』を持っている」と驚きを持って伝えた。ASも「ベティスを離れる際の涙を払拭するような豪快なミドル。これからのラシン攻撃陣の主役になるだろう」と絶賛している。
また、ミスから失点の起点となったものの、2アシストで汚名返上したウナイ・ロペスに対するメディアの論調は好対照だった。SPORTはアシストの創造性を評価し、27分のトラップミスについては「相手のハイプレスによる事故」と擁護して「7点」の合格点。一方で、MundoDeportivoは「あのエリアでの失策は致命的。2つの見事なアシストで帳消しにしたとはいえ、守備時の軽率は今後のプロジェクトにおいて改善すべき重大な課題である」と辛口の評価を与え、メディアによる温度差が如実に現れる格好となった。
試合後の監督・選手コメント
ラージョ・バジェカーノ:ベニャト・サン・ホセ監督「非常に重要であり、我々にとって是が非でも必要な勝利だった。勝ったこと自体も嬉しいが、選手たちが見せてくれた『内容』こそが最も素晴らしい。彼らは戦術プランを完璧に練習通り遂行してくれた。カメホは非常に完成された選手だ。チームのために走り、ゴールだけでなくアシストもできる。偽9番としても10番としてもライン間で数的優位を作れる。ただ、彼にはさらに要求し続ける。そして、スタジアムだ。バジェカスに戻ることは、良いプレーをすることと同じくらい重要なことだ。 Butarqueであれだけの声援を送ってくれたのだから、バジェカスならどうなるか想像してほしい。ファンの抗議する権利を我々も全面的に支持している」
ラージョ・バジェカーノ:セルヒオ・カメホ「以前の3試合では先制しながらすべて逆転負けを喫していた。しかし、今日2度のビハインドを跳ね返したことは、僕たちの団結力と取り組みを証明している。バジェカスは自分たちのスタジアムを必要としているし、僕たちもそのために戦っている。この勝利がスタジアム問題の深刻さを覆い隠してはならない」
ラシン・サンタンデール:ホセ・アルベルト・ロペス監督「非常に競り合った、感情の起伏が激しいゲームだった。しかし、アウェーで2ゴールを決めておきながら3失点してしまう守備ブロックは絶対に改善しなければならない。特に2度もリードを手にしたのなら、もっとコンパクトで強固に耐え抜くべきだった。新戦力が加わり、戦術アイデアを浸透させるための『授業料』を支払わなければならなかった。そして、あのゴール取り消し(79分にザビリがネットを揺らしたが、Quintero主審はGKへのファウルを宣告)だ。明らかに我々は被害を受けた(perjudicado)。私の選手は相手GKカレンスに一切触れていない。サッカーはバスケットボールではない。VARがなぜ、このようなあまりにも明白で重大な状況で介入しなかったのか理解に苦しむ。試合後に主審に説明を求めたが、彼は私と話すことを拒否した」
ラシン・サンタンデール:パブロ・ガルシア「後半の立ち上がりの集中力を欠いた入り方は、ラージョのような質の高いチームを相手にする時にはやってはいけない。あの瞬間にゲームを持っていかれた。それでもチームは最後まで諦めずに、相手を押し込み、すべてをピッチに投げ出した。ゴールが取り消された判定には納得がいかない部分もあるが、それもフットボールだ。今は下を向く時間はない。自分のゴールには満足しているが、チームの勝利がなければ意味はない。次はサポーターのために勝利を持ち帰る」
次回の注目ポイント🏟️ラージョは次節、待望のバジェカス帰還を果たすことができるでしょうか。そして、ラシンの「新星」パブロ・ガルシアは、このままスタメンの座を完全に手中に収めることができるか、引き続き注目が集まります。
見どころと対戦背景
3試合を終えていまだ勝ち星のないラージョ・バジェカーノ(1分け2敗)が、14シーズンぶりに1部に復帰し前節初勝利を挙げたラシン・サンタンデール(1勝1分け1敗)をホームに迎える一戦。しかし、このゲームはピッチ外の大きな騒動に包まれた、極めて異例の状況下で行われることになります。
ラージョは本来、熱狂的な本拠地エスタディオ・デ・バジェカスで戦う予定でしたが、スタジアムの重大な安全欠如や老朽化、規格違反などを理由にマドリード州政府(Comunidad deMadrid)からライセンス使用停止措置を受けています。このため、第4節となるこのラシン戦もバジェカスでの開催が不可能となりました。代替地としてヘタフェのホームであるコリセウムが検討されたものの、ヘタフェ側はスタジアムの改修工事や日程の競合を理由にこれを拒否。最終的にブルゴスのエル・プランティオ、もしくは再びレガネスのブタルケでの「流浪のホームゲーム」を余儀なくされる見通しとなっています。
このクラブ側の管理不足に対し、熱狂的なラージョのサポーター団体であるPlataformaADRVやBukanerosは激しい怒りを表明しており、バジェカス以外での主催ゲームのボイコットを決定しています。実際、以前の代替地で行われた主催試合では観衆が4,280人にとどまるなど、ホームアドバンテージは完全に喪失しているのが現状です。サポーターは試合当日、クラブオフィス周辺でRaúl MartínPresa会長への退任要求デモを予定しており、「El Rayo es de Vallekas o noserá(ラージョはバジェカスのもの、さもなければ存在しない)」を掲げ、不穏な空気が漂う中でのキックオフとなります。
一方、古豪のラシン・サンタンデールは、前節エルチェ戦で鮮烈なデビュー先発を果たしたYassirZabiriが21分間でハットトリックを達成する大活躍を見せ、3-2で1部復帰後初勝利を飾りました。かつて1部で猛威を振るった古豪が、その勢いのままに勝ち点を積み重ねられるか、そしてラージョがピッチ外の雑音を遮断して今季初勝利を掴めるか、両者にとってシーズン序盤の極めて重要な一戦となります。
予想スタメンと負傷・出場停止情報
各紙(MARCA, AS, SPORT, Mundo Deportivo, ElDesmarque等)が報じる情報を整理すると、両チームともにケガ人や移籍市場の最終盤に伴う大きなメンバー変動に直面しています。
ホームのラージョ・バジェカーノは、絶対的な守護神であるAugustoBatallaが前節で脛骨を骨折し、全治3〜6ヶ月の長期離脱を強いられました。このため、ゴールマウスはDani Cárdenasが引き続き守ることになります。クラブはKeylorNavasの獲得を画策していると報じられていますが、現時点ではカルデナスへの信頼が不可欠です。また、前節で先発したJozhuaVertrouwdが負傷離脱し、セビージャからローンで加入したばかりの左サイドバックAdriàPedrosaが先発に昇格する見込みです。右サイドバックのAndreiRatiuはFulhamへの移籍交渉が大詰めを迎えており、起用は去就次第となります。去退団問題で登録すらされていないRaúl deTomásは構想外で招集外が続く見通しです。攻撃陣では、バルセロナ戦で2ゴールを奪い気を吐いたSergio Camelloが最前線で先発します。
対するラシン・サンタンデールは、前節ハットトリックのYassirZabiriが前線の軸となりますが、攻撃の要であったAndrésMartínが右膝を捻挫し、全治6〜8週間の離脱となる大打撃を受けました。これを受け、クラブはアトレティコ・マドリードから完全移籍で獲得した新鋭ウインガーIkerLuqueを急遽先発起用する可能性が高まっています。中盤では、レアル・マドリードへの完全移籍が決定したSergio Martínezや、オリンピアコス移籍が確実視されるGustavoPuertaがすでにチームを離脱しています。中盤はカリアリからローン加入したMatteoPratiが、Gironaから完全移籍で加入したIván MartínやベテランのSergioCanalesとコンビを組む見通しです。守備陣では、PedroFelipeが引き続き負傷で欠場します。
監督会見・注目選手コメント
この一戦を前に、両指揮官や経営陣は、ピッチ内外の慌ただしい状況について複雑な胸中を明かしています。
ラージョ・バジェカーノのBeñat SanJosé監督は、スタジアム問題に関して次のように述べ、本拠地への帰還を切望しています。「我々は謙虚なクラブだが、間違いなく1部のチームだ。ホームゲームをどこで戦うかという『ローカリティ』は、コンペティションの行方を大きく決定づける。私は常に、一刻も早くバジェカスに戻れるという希望を捨てていない。ピッチ外で何が起ころうとも、チームは一つになって耐え、戦わなければならない」また、新加入のAdrià PedrosaやGnangoroBouareについては、「加入して間もないが、非常に優れた練習を行っており、即座に先発として戦えるだけのコンディションとクオリティを備えている」と確固たる期待を寄せました。さらに、クラブのJosé MaríaSardà副会長は「バジェカスの検査結果はすべてポジティブだった。今すぐにでもスタジアムでプレーできる状態だ」と話し、州政府による使用再開の早期決定を強く求めています。
一方、ラシン・サンタンデールのJosé AlbertoLópez監督は、1部での戦いの厳しさと急激な戦力再編への危機感を口にしています。「我々はラシンだ。今シーズンは常に苦しむことが宿命付けられている(abonados alsufrimiento)。1部での戦いにおいて、ほんの少しの緩みも許されないことを学んでいる。現在のチームは選手層が極めて薄く、移籍市場の閉幕直前まで人員の整理と補強を繰り返さざるを得なかった。特に主力のアンドレス・マルティンの長期離脱は大きな痛手だが、新たに加わったイケル・ルケらが即座に適応し、チームを救ってくれると信じている。我々はどのような逆境でも、まとまって戦い抜くしかない」