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セビージャFC vs アトレティコ・マドリード

ラ・リーガ / jornada-3 / Estadio de Sevilla / 2026年8月30日(日)

セビージャFC 1-3 アトレティコ・マドリード

試合サマリーと得点経過

2026年8月29日、厳しい残暑が残るセビージャのエスタディオ・ラモン・サンチェス・ピスフアンにて、ラ・リーガ第3節のビッグマッチ、セビージャFC対アトレティコ・マドリードの一戦が開催された。試合は、前半に圧倒的なパフォーマンスを見せたアトレティコが1-3でセビージャを下し、今季の無敗をキープ。一方、開幕2連勝と波に乗っていたセビージャは、今季初の敗戦を喫することとなった。

試合は立ち上がりから動いた。前半5分、アトレティコが流れるようなパスワークから右サイドでボールを保持。韓国代表イ・ガンインがエリア手前右寄りの位置でマークを引き剥がすと、中央のスペースを見逃さず、ディフェンスラインの裏へ完璧なスルーパスを配給する。これに完璧なタイミングで走り込んだのが、この日「偽9番」としてスクランブル起用されたÁlexBaena(アレックス・バエナ)だった。バエナは絶妙なトラップから、飛び出すGKヴラホディモスをあざ笑うかのように冷静な左足のグラウンダーシュートをゴール左隅へ流し込み、幸先よくアトレティコに先制点をもたらした。

勢いに乗るアトレティコはさらに攻勢を強める。前半26分、中盤の要であるパブロ・バリオスが、セビージャのプレッシングを無力化するドリブルで一気に中央を突破。敵陣のバイタルエリアまで侵入すると、左のスペースへ展開する。そこでパスを受けたAdemolaLookman(アデモラ・ルックマン)がペナルティエリア左隅で縦に仕掛け、対峙したセビージャのフアン・イグレシアスの一瞬の隙を突いて鋭い右足のグラウンダーのシュートを放つ。GKヴラホディモスがファーへのシュートを警戒してステップをそちらへ踏みかけたところ、ボールはニアサイドの狭い隙間を撃ち抜き、ゴールネットを揺らした。

セビージャが完全に防戦一方に追い込まれる中、前半33分にはアトレティコの追加点が生まれる。ペナルティエリア手前で短いパスを細かくつないだアトレティコは、右サイドに開いたマルコス・ジョレンテから、エリア中央手前で待つバエナへ短いパスを送る。セビージャのディフェンダー陣がバエナへのマークを緩め、グリディの寄せが遅れた瞬間を、背番号10のバエナは見逃さなかった。ワンタッチで素早く前を向くと、右足を一閃。ゴール遠い側のサイドネットに突き刺さる強烈なドライブのかかった弾丸ミドルシュートを叩き込み、スコアを0-3とした。前半はアトレティコのワンサイドゲームの様相を呈したまま終了した。

しかし後半、交代策によって息を吹き返したセビージャが意地を見せる。後半67分、左サイドをオーバーラップしたガブリエル・スアソが鋭いクロスをゴール前へ供給。アトレティコのセンターバック、ダビド・ハンツコがヘディングでクリアを試みたものの、これが中途半端になりペナルティエリア内でこぼれ球となる。このルーズボールに電光石火の速さで反応したのが、セビージャの若き生え抜きMiguelSierra(ミゲル・シエラ)だった。シエラはグリマルドが対応に遅れる中、豪快なアクロバティック・ボレーを放つ。ワンバウンドしたボールはGKオブラクの必死のセービングを破ってネットへ吸い込まれ、セビージャが1-3と点差を縮めた。

その後、セビージャは猛攻を見せ、終了間際にもキケ・サラスがエリア内で倒されるなど大きな見せ場を作ったが、最終的にはアトレティコがリードを守り抜き、勝ち点3をアウェイの地から持ち帰った。

戦術・采配のポイント

この試合、両監督の戦術的な意図と、それに伴う采配の妙が色濃く現れた。

ホームのセビージャを率いるLuis GarcíaPlaza(ルイス・ガルシア・プラザ)監督は、4-2-3-1の布陣をベースに臨んだ。しかし、移籍市場閉幕直前に生え抜きの実力者であるオソ(フランスのエストラスburgoへ移籍)や、移籍交渉のため欠場したスイス代表のルベン・バルガスらを失い、極端な駒不足に悩まされていた。左サイドハーフには本職がサイドバックで元アトレティコの若手フリオ・ディアスを急遽初先発させたが、これが完全に裏目に出てしまう。アトレティコの中盤の強力なプレッシャーとポゼッションに圧倒され、守備時にはガブリエル・スアソの左サイドが「高速道路」のごとく突破を許し、前半だけで3失点を喫する大惨事となった。

一方、アトレティコを率いるDiego PabloSimeone(ディエゴ・パブロ・シメオネ)監督は、移籍を巡り騒動が勃発しているフリアン・アルバレス(体調不良により招集外)や、負傷中のアレクサンダー・セルロートという本職のセンターフォワードを2人とも欠くという厳しい状況にあった。そこでシメオネ監督は、バエナを前線の「偽9番」として配置。中盤にパブロ・バリオスと新加入のユルマンド、さらにイ・ガンインとルックマンを並べる流動的なシステムを敷いた。

この戦術が、前半は完璧に機能した。バエナ、イ・ガンイン、ルックマン、バリオスの4人は「平方マジック(魔法の四角形)」とも評される素晴らしいコンビネーションを披露。攻撃時にはジュリアーノ・シメオネが最前線に張って相手DFをピン留めし、守備時には5バックのウイングバックのように戻るハードワークで右サイドのマルコス・ジョレンテをサポートした。ポゼッション率はアトレティコが一時68%に達するなど、ゲームを完全に支配した。

後半、セビージャのガルシア・プラザ監督は、機能しなかったグリディとフリオ・ディアスを下げ、新加入のKochorashvili(コチョラシュヴィリ)と、ドリブラーのChideraEjuke(チデラ・エジュケ)を55分にピッチに送り出す。この交代策が試合を一変させた。エジュケが左サイドをトリッキーなドリブルで切り裂いてチャンスを創出し、コチョラシュヴィリが中盤で球際の強さを見せてセカンドボールを次々と回収。主導権をセビージャが奪い返した。

シメオネ監督もすぐさま対応し、66分にルックマンとジョレンテを下げてホセ・マリア・ヒメネスとアルナウ・オルティスを投入。3バック(5バック)システムへと変更して中央の守備を固めた。さらにセビージャに1点を返された後の72分には、運動量の落ちたイ・ガンインに代えてキャプテンのコケを投入。ピッチ上に「鍵」をかけることで中盤のバランスを再整備し、セビージャの反撃の芽を摘み取った。

現地メディアの選手採点・評価比較

この激戦を受け、現地メディア各紙はそれぞれの視点で選手評価を展開した。特に、アトレティコのÁlex Baena、Ademola Lookman、そしてセビージャのMiguelSierraの3人に対する評価は非常に高かった。

Álex Baena(アトレティコ・マドリード)現地メディアElDesmarqueは、この日2ゴールと卓越した働きを見せたバエナに対して「10点満点」を付与。「偽9番としてのサプライズ起用に見事に応え、4分で先制点を挙げた。さらに弾丸のようなミドルで2点目を決め、終始セビージャを混乱に陥れた」と手放しで絶賛。Mundo Deportivoも彼を「Engracia(神懸かっている)」と表現し、今夏のワールドカップ制覇以降の圧倒的な自信と成長がプレーに現れているとし、グリーズマンの後継者としての資格を十分に証明したと評価した。

Ademola Lookman(アトレティコ・マドリード)SPORTMundoDeportivoは、左サイドに張って自由を得たルックマンに「9点」の超高評価を与えた。本来のセンターフォワードではなく、左サイドへ流れながら仕掛けることで彼の真価が発揮されると分析。ヴラホディモスのニアサイドを打ち抜いた技ありの追加点に加え、バエナとの完璧な距離感での補完関係は、CF不在を感じさせないアトレティコの「新たな強み」として称賛された。

Miguel Sierra(セビージャFC)大敗したセビージャの中で、現地メディアが満場一致でMOM級の賛辞を送ったのが若きミゲル・シエラである。SPORTはシエラに「9点」を付け、「セビージャの中で唯一輝きを放った。美しいボレーシュートだけでなく、得意のドリブルでアトレティコの守備陣を何度も手玉に取り、交代時にはスタジアム全体から大喝采を浴びた。間違いなくチームのベストプレーヤーだ」と称えた。ElDesmarqueも彼に「8点」を授け、「今のセビージャにとって唯一の希望であり、ピッチ上にすべてのエネルギーを注いだ」と脱帽した。

一方、厳しい評価を受けた選手たちも対比された。セビージャの左サイドバックであるGabrielSuazo(ガブリエル・スアソ)に対して、SPORTElDesmarqueは揃って最低評価の「2点」を付けた。前半、彼の守備する左サイドはアトレティコの攻撃に簡単に引き裂かれ、「まるで高速道路(autopista)のようだった」と酷評され、今月最悪のパフォーマンスと烙印を押された。また、トップ下に入りながらプレーのテンポをことごとく遅らせ、チャンスを不意にし続けたPeque(ペケ)にも、SPORTは「1点」、ElDesmarqueは「3点」を付け、交代時にはサポーターから大きなブーイングが上がったことも強調された。

試合後の監督・選手コメント

Diego Pablo Simeone(アトレティコ・マドリード監督)「非常に良い試合を演じることができた。選手たちの回復(リカバリー)からボール奪取後のトランジションは目を見張るものがあった。セビージャが開幕2連勝の勢いのまま、前線から高い位置でプレッシャーをかけてくることは想定内だった。だからこそ、セカンドボールをどれだけ拾えるかが鍵だった。我々はそれらを回収して、素早いカウンターから相手に決定的なダメージを与えることに成功し、前半で試合を決定づけた。バエナについては、もはや言葉を重ねる必要はない。見れば明らかだ。ワールドカップを制したという実績が彼の心と頭に計り知れない刺激と自信を与えている。これからも彼にはこの高いレベルを維持することを要求し続けるよ。それこそが最も困難なことだが、彼ならやれると信じている。また、個人的な状況(移籍のenredo)で今日プレーしなかったフリアン・アルバレスについても、我々はスポーツの面で彼をサポートし、彼が再び我々を助けてくれる日を静かに待っている」

Luis García Plaza(セビージャFC監督)「非常に悔しい敗戦だ。前半はプレスのハメどころが全く合わなかった。アトレティコのような高いクオリティとスピードを持つチームに対して守備のズレを与えれば、一瞬で致命的な代償を支払うことになる。ただ、後半の選手たちのリアクションには誇りを感じている。ハートを前面に出して闘い、チームとしてまだ成長できるという気概を見せてくれた。それにしても、オソが突然チームを去ったこと(フランスのEstrasburgoへ1000万ユーロで移籍)は私にとって大きな打撃(palo)だった。これまで多くの売却を行ってきたが、このオソの移籍は我々の登録制限の緩和にはほとんど寄与せず、本当に息ができない状況だ。そして、後半にキケ・サラスがユルマンドに蹴られた場面、あれは100%明確なペナルティ(penalti)だった。先週の(Athletic戦での)レッドカード判定で周囲があれだけ騒いだのだから、今度はこの明らかにペナルティが見逃された判定について、リーグや審判委員会(CTA)はしっかりと検証ビデオを公開して説明するべきだ。あの場面でPKが決まり2-3になっていれば、残り10分で何が起こるか分からなかった。また、熱と嘔吐に一晩中苦しんでいたにもかかわらず、後半から出場を懇願して泥臭く戦ってくれたイサク・ロメロの献身的な精神には深く感謝したい」

Álex Baena(アトレティコ・マドリード、MOM・2ゴール)「素晴らしい前半を送ることができた。ボール保持の際も非常に快適で、チャンスをしっかりと決めるという決定力が光っていた。今日僕は『偽9番』を任されたが、僕だけでなく、ジュリアーノもガンインもルックマンも、誰もがこのポジションで流動的にプレーできるクオリティを持っている。今日はたまたま僕にその役割が回ってきて、結果を残せた。試合後、メディアから『今日はフリアン・アルバレスの仮面をかぶってプレーしたのか?』と聞かれたが、冗談じゃない、僕は『アレックス・バエナの仮面』をかぶって自分自身のプレーをしただけだ。一人ひとり特長は違う。周囲からはフォワード不足や得点力不足が懸念されていたが、僕たちは3試合で7ゴールを挙げている。攻撃陣の全員にゴールを奪う能力が備わっていることを証明できたと思う」

Kike Salas(セビージャFC、DF、100試合達成)「この名門セビージャで100試合出場(101試合目)を達成できたことは、子供の頃からの夢であり、信じられないほどの誇りだ。しかし、今日の敗戦は非常に痛い。前半は自分たちのプレスの連動性がなく、アトレティコのように動く中盤のクオリティに完全に翻弄されてしまった。後半は自分たちも目を覚まし、サポーターの熱い後押しを受けて戦い抜いたが、及ばなかった。後半のユルマンドとの接触の場面だが、僕は確実に先にボールをタッチしていた。その後、後ろからはっきりとキック(golpea)されたのを感じた。あれはペナルティ以外の何物でもない。なぜ主審やVARがこれを見直さなかったのか理解に苦しむよ。審判には『十分な接触ではない』と言われたが、実際に倒されて次のプレーに移行できなかった。納得はいかないが、これもサッカーの一部として受け入れ、次へ向けて切り替えるしかない」

Miguel Sierra(セビージャFC、MF、1ゴール)「このスタジアム(Sánchez-Pizjuán)でプロ初ゴールを決めることができ、言葉に表せないほど嬉しい。このゴールは天国の祖父に捧げたい。結果がついてこなかったことは残念だが、これまで毎日地道に努力してきた成果をピッチで少しは見せられたと思う。ガルシア・プラザ監督は、僕がトップチームに上がった最初の日から本当に近い距離で接してくれて、厳しい要求をしてくれる。僕はその厳しい要求が大好きだし、それに応えたい一心でプレーしている。一部のサポーターやメディアから『君もオソのように、突然他クラブへ売却されて行ってしまうのか?』と聞かれたが、そんなの『絶対にあり得ない(Enla vida)!』。僕はここに残り、この大好きなクラブのために戦い続けるよ」