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バレンシア vs レアル・ベティス

ラ・リーガ / jornada-1 / Estadio de Valencia / 2026年8月26日(水)

バレンシア 0-1 レアル・ベティス

試合サマリーと得点経過

エスタディオ・デ・メスタージャで行われたラ・リーガ第1節延期分、バレンシア対レアル・ベティスの一戦は、緊迫した攻防の末、終盤に劇的なドラマが待っていました。2026年8月25日21時、45,470人の大観衆が見守る中でキックオフされた一戦は、アウェイのレアル・ベティスが0-1でバレンシアを破り、開幕2連勝を飾りました。

試合は、中2日という強行日程を感じさせないバレンシアのアグレッシブなプレッシングで幕を開けました。バレンシアは立ち上がりから主導権を握り、驚異的な運動量を見せる佐藤龍之介を起点にベティスゴールへと迫ります。前半12分には佐藤とアルナウト・ダンジュマの連携から決定的な場面を作りますが、ベティスの守護神アルバロ・バジェスの驚異的なセーブの前に先制点を奪うことができません。前半の終盤にかけてはベティスがポゼッションを高め、アントニーを軸に反撃を試みるものの、バレンシアの粘り強い守備ブロックを崩しきれず、試合はスコアレスのまま後半へと折り返しました。

後半に入るとゲームはさらにオープンになり、両指揮官が次々と交代カードを切ることでピッチ上の熱量は一気に高まります。緊迫した均衡が破れたのは83分、まさに一瞬の隙を突いたベティスの電撃的な高速カウンターからでした。

バレンシアのコーナーキックを、ペナルティエリア手前(バイタルエリア)でカンテラーノのパブロ・ガルシアがヘディングで後方へそらすようなクリアでパロットへ繋いだのがすべての始まりでした。今夏加入し、この日デビューを飾ったばかりのトロイ・パロットがこの難しいボールを巧みに収めてタメを作り、左サイドを猛然と駆け上がってきたフラン・ガルシアへ絶妙なスルーパスを展開。パスを受けたフラン・ガルシアが完璧なタイミングで中央のペナルティアーク付近へ低く鋭い高速グラウンダークロスを送ると、そこに凄まじいスプリントで自ら走り込んできたパブロ・ガルシアが、落ち際のボールを完璧なタイミングで捉え、豪快なダイレクト左足ボレーを放ちました。シュートはGKストーレ・ディミトリエフスキの手をすり抜け、ゴールポストの内側を叩くようにしてそのままゴールネット右隅へと突き刺さりました。

バレンシアは失点直後、途中出場のウマル・サディクが個人技から決定機を迎えるも、再び立ちはだかったバジェスの神がかり的なセーブに阻まれ、最後まで1点が遠いまま、痛恨の敗戦を喫することとなりました。

戦術・采配のポイント

カルロス・コルベラン監督率いるバレンシアは、前節セルタ戦(0-0)と同様に5-3-2(実質的な5バック)システムを採用しました。負傷離脱したジュスティン・デ・ハースの代役にムクタル・ディアカビを3バックの中央に据え、ペペルを守備のタクト役に、右にパブロ・マッフェオ、左にヘスス・バスケスを配したウイングバックでサイドの封鎖を試みました。戦術的な狙いは、強固な5枚の組織でベティスのパスワークを監視し、トランジションから右サイドの佐藤龍之介のスピード、そして前線のウーゴ・ドゥロの献身性を活かして背後を突くことにありました。しかし課題となったのは、やはりアタッキングサードにおける組織的なクオリティ不足と決定力でした。

これに対し、マヌエル・ペジェリーニ監督率いるレアル・ベティスは、中2日の過密日程を考慮してディフェンスラインの4人全員を刷新(アンヘル・オルティス、ディエゴ・ジョレンテ、バレンティン・ゴメス、ジュニオル・フィルポ)する大胆なローテーションを敢行。中盤ではマルク・ロカに代えてネルソン・デオスサを起用し、ファクンド・ベルナルとのダブルボランチ、パブロ・フォルナルスをトップ下に置く布陣で臨みました。しかし、前半はデオスサのプレー判断の遅さやアナーキーな動きが目立ち、ポゼッションは高めつつも縦への鋭さを欠く展開が続きました。

試合の流れを決定づけたのは、ペジェリーニ監督による後半の鮮やかな采配でした。指揮官は58分に左サイドの機能不全を解消すべく、フラン・ガルシアとイスコを同時投入。フォルナルスを左サイドにずらし、イスコを中盤のリンクマンに据えることでボールキープ力とビルドアップの安定感を飛躍的に高めました。さらに71分には、前線で孤立気味だったクチョ・エルナンデスに代えて新守護神トロイ・パロットを投入。この交代劇が最大の勝因となります。79分にはフォルナルスを下げてパブロ・ガルシアをピッチへ送り込み、「交代出場したパロット、フラン・ガルシア、パブロ・ガルシアの3人が直接絡む」という完璧なシナリオで決勝点を演出しました。

一方のコルベラン監督も55分にルイス・リオハ、フィリップ・ウグリニッチ、サディクの3枚を同時に投入する勝負手を打ちました。怪我明けのリオハを右に、佐藤を左に回し、ハビ・ゲラを一列上げることで一時的に攻撃を活性化させたものの、最後の最後でギド・ロドリゲスがパスミスからパロットに対する戦術的ファウル(タクティカルファウル)を怠るという痛恨の判断ミスを犯し、組織が耐えきれずに崩壊しました。ベンチの選択肢の広さと、勝負どころでの個の戦術インテリジェンスの差が、明確にスコアへと反映される結果となりました。

現地メディアの選手採点・評価比較

現地各メディアはこの一戦を、両指揮官の戦術眼と、明暗を分けた主役たちのパフォーマンスという視点から極めて対照的に報じています。

アルバロ・バジェス(レアル・ベティス / GK)

メディアの満場一致でこの試合のMVP級の評価を得たのが、ベティスの守護神バジェスです。*SPORT*は、前半の佐藤の決定的なシュートへのダブルセーブと、終盤に見せたサディクの至近距離シュートを完全にシャットアウトした「神の左足」での超絶セーブを大絶賛。「昨季の驚異的なパフォーマンスが決してフロックではないことを改めて証明した」と報じました。*ElDesmarque*も「非のうちどころがない10点満点。3つの決定的なセーブは勝ち点3に直結している」と極めて高い評価を与えています。

パブロ・ガルシア(レアル・ベティス / FW)

移籍市場の閉幕が迫る中、イングランドのハル・シティへの移籍の噂で持ちきりだったカンテラーノに対し、各紙は惜しみない賛辞を送りました。*EstadioDeportivo*は「夢にまで見たラ・リーガ初ゴールが、指揮官ペジェリーニにベティスでのリーグ100勝目を届けることになった。まさに運命の悪戯だ」と情緒的に評価。交代出場からわずか4分で勝利を決定づけた驚異的な勝負強さがクローズアップされました。

佐藤龍之介(バレンシア / MF)

バレンシア側で最も高い評価を受けたのが、19歳の佐藤龍之介です。*AS*は「物怖じしない大胆不敵な姿勢(Desparpajo)で、バレンシアの全攻撃を牽引した。ベティスのディフェンス陣にとって最大の脅威だった」と称賛。しかし同時に、「中2日という異常なスケジュールの疲労から、後半に強度が著しく低下したのは致し方ない」とも指摘。*SPORT*は「メスタージャに吹く一陣の爽やかな風」と佐藤を形容しつつも、「19歳の少年に攻撃のすべてを頼らざるを得ないバレンシアフロントの補強の怠慢」を痛烈に批判しています。

ウマル・サディク(バレンシア / FW)

55分からピッチに入り、バレンシアの攻撃にパワーをもたらしたものの、戦犯の一人として厳しい評価を受けました。*SPORT*は「エリア内でのドリブル突破から決定機を作り出したものの、バジェスとの1対1で決めきれず、アディショナルタイムの絶好のクロスに対してもあと数センチのところで合わせられなかった。彼の決定力不足がメスタージャのサポーターの堪忍袋の緒を切らせた」と、決定的な場面での不正確さを酷評しています。

ネルソン・デオスサ(レアル・ベティス / MF)

ベティスの勝利の中でも、デオスサのパフォーマンスには一際厳しい批判が集まりました。*SPORT*は「あまりにも判断が遅く、無駄なコントロールが多すぎる。エゴイスティックでアナーキー。彼が放った無謀なロングシュートは、単なる自己アピール(マーケティング)に過ぎない。なぜロカをベンチに置いて彼を使い続けたのか理解に苦しむ」と徹底的に糾弾しました。

ギド・ロドリゲス(バレンシア / MF)

バレンシアの失点シーンにおいて、最大の原因を作ったとして批判の矢面に立たされました。*EstadioDeportivo*は「ギドほどの経験豊富なベテランが、カウンターの起点となった局面でパロットをファウルで止める戦術的選択(タクティカルファウル)を怠ったことは致命的であり、絶対に許されない(imperdonable)ミスだ」とバッサリ。試合を通してリズムを欠き、中盤のデュエルでも劣勢に回った様子が厳しく描写されています。

試合後の監督・選手コメント

カルロス・コルベラン監督(バレンシア)「私たちは少なくとも、この試合を落とさないだけの十分な価値(méritossuficientes)を示した。敗北という結果には非常に傷ついているが、選手たちが最後の1秒まで全力を尽くしてくれたことに対して何一つ文句はない。中2日での連戦を強いられ、対戦相手よりも回復時間が33%も少ないというLaLigaの日程的な不平等さは受け入れ難いが、それでもチームはピッチで持てるすべてをvaciado(空にするまで出し切る)してくれた。メスタージャのサポーターからの厳しい批判は真摯に受け入れる。信頼を取り戻すためには、ただ勝利を積み重ねるしかない。フロントは移籍期限ギリギリまで攻撃陣の補強(特に得点が取れていないため、アタッカー)を模索している。アルナウ・マルティネスの獲得は目前まで迫っているが、我々の最大の焦点は前線のポジションを充実させることだ」

マヌエル・ペジェリーニ監督(レアル・ベティス)「この異常な過密日程を乗り切るためには、今日のディフェンスラインの全変更のようなローテーションは不可欠だった。前半は中盤での創造性を欠き、ポゼッションを活かせなかったので、フォルナルスとデオスサにもっとエリア内に侵入するようハーフタイムに伝えた。私のベティスでのリーグ通算100勝を、カンテラーノのパブロ(ガルシア)が自らの初ゴールで祝ってくれたことは、まさにカプリチョ・デル・デスティーノ(運命の悪戯)だ。ハル・シティとの移籍交渉が行われているのは事実だが、市場が閉まる瞬間まで、私はこの偉大な才能が残ってくれることを願っている(Ojalá que hubiera la menorcantidad de salidasposible)。新加入のトロイ・パロットについては、すでに準備が整っている状態で合流してくれた。彼のエリア付近でのボールキープと絶妙な配球能力は、まさに我々が求めていたもの。素晴らしいデビューを飾ってくれた」

パブロ・ガルシア(レアル・ベティス)「メスタージャでの試合はいつだって困難を極める。バレンシアが開幕の嫌な流れを払拭すべく、並々ならぬ熱意でぶつかってくることは分かっていた。しかし幸運にも、終盤の数分間で僕たちのタレントが試合を決めてくれた。今の自分の気持ちは、きっとこの顔を見てもらえれば十分に伝わるはずだ。15年間を過ごし、愛し続けてきたベティスでラ・リーガ初ゴールを決め、開幕2連勝を達成できたなんて、有頂天(eufórico)にならないはずがない。移籍の噂は耳に入っているけれど、僕が考えているのは現在(presente)のことだけだ。この偉大なクラブをできるだけ高い場所へ、チャンピオンズリーグ、あるいはそれ以上の場所へ連れて行くことだけを考えてプレーしている。この勝利をファンと一緒に誇りたい」

パブロ・マッフェオ(バレンシア)「バレンシアでのデビューを飾れたことは嬉しいが、本当に苦い(agrio)味わいだ。ベティスに内容で圧倒された(pegar unbaile)という感覚が全くないだけに、この敗戦はあまりにも悔しい(jodido)。ベティスの勝利が妥当だとは思わないし、チャンスの数では僕たちの方が上回っていた。違いはゴール前でのcontundencia(冷徹な決定力)があったかどうか。彼らはワンチャンスを確実に仕留め、僕たちは逃した。メスタージャのサポーターが不満を抱くのは当然だし、僕たちにもっと要求してほしい。ただ、選手とサポーターの間に『亀裂(brecha)』が生じることだけは避けなければならない。僕はマジョルカ時代に、その亀裂がどれほどチームを破壊するかをこの目で見てきた。ファンにはお願いだから、僕たちと、そして監督を信じて一緒に戦い続けてほしい。僕たちは必ず応える。ファンの力が必要なんだ」

ディエゴ・ジョレンテ(レアル・ベティス)「本当にハードワークした末の、非常に価値ある勝利だ。難しいスタジアムだったが、僕たちには最初から一歩も引く(especular)つもりはなかった。ディフェンスラインが4人全員新しい顔ぶれになったけれど、ピッチに立った全員が高い集中力を維持して、お互いをカバーし合えた。これこそが、今シーズン多くのコンペティション(チャンピオンズリーグ含む)を並行して戦い抜くために必要な、あるべきベティスの総合力(Plantilla)だと思う。試合の局面ごとに、いつギアを上げ、いつペースを落とすかをみんなが共有できていた。このまま良い波に乗って、次の試合に向けてまた準備をするよ」