デポルティーボ・ラ・コルーニャ vs エルチェCF
ラ・リーガ / jornada-1 / Estadio de Deportivo / 2026年8月18日(火)
試合サマリーと得点経過
2026年8月17日、エスタディオ・アバンカ・リアソル。実に3,376日ぶりとなるデポルティーボ・ラ・コルーニャの1部復帰戦は、マルティン・アンセルミ新監督が率いるエルチェCFを迎えての一戦となった。リアソルを包む独特な抗議活動の重苦しい雰囲気の中でキックオフを迎えた開幕戦は、互いの意地と戦術がぶつかり合う緊迫した展開の末、1-1のドローに終わった。
序盤からボールを支配したのはアウェイのエルチェだった。流麗なパスワークでデポルティーボを押し込み、早々にアリ・ウアリがゴール至近距離から決定的なシュートを放つ。しかし、デポルティーボの新たな守護神レオ・ロマンが驚異的な反応でこれをブロック。スタジアムの肝を冷やしたこのピンチを凌ぐと、試合は一気に動く。
21分、デポルティーボが誇る新進気鋭の司令塔ロレンツォ・アマトゥッチが、ハーフウェーライン付近から前線へ極上のロビングパスを供給。相手ディフェンスのバマ・サンガレとアッフェングルーバーの隙間に完璧なタイミングで潜り込んだピエール=エメリク・オーバメヤンがこれに反応した。37歳の元世界世界的ストライカーは、右足のアウトサイドでボールを吸い付くようにトラップすると、次の瞬間、時間を一切与えずに左足で鋭いクロスボレーを放ち、守護神ディトゥーロの牙城を崩した。豪快なゴール直後には、全盛期と変わらぬアクロバティックな前宙セレブレーションを披露し、リアソルを歓喜の渦に巻き込んだ。
後半に入ると、エルチェがさらにギヤを上げる。ゴンサロ・ビジャールを軸にした猛攻を前に、デポルティーボは防戦一方となり、レオ・ロマンが何度も神がかったセーブでリードを死守する展開が続いた。しかし76分、物議を醸す判定(※エルチェのバレーラが最後に触れたため、本来はゴールキックであるべきだったとメディアが指摘した判定)からエルチェがコーナーキックを獲得。
セペダが蹴り込んだクリアボールをバイタルエリアで拾ったゴンサロ・ビジャールが、柔らかいタッチからエリア内へ絶妙なクロスを供給。これにニアサイドで完璧に合わせたのがマーク・アグアドだった。アグアドが放った完璧なヘディングシュートは、それまで絶対壁として立ちはだかったレオ・ロマンの手をすり抜け、ゴール右上隅に突き刺さった。終盤にかけて両チームともに交代選手をピッチに送り込み、勝ち越しを狙って攻め立てたものの、決定機を活かせずタイムアップ。実力伯仲の好ゲームは勝ち点1を分け合う形で幕を閉じた。
戦術・采配のポイント
デポルティーボのアントニオ・イダルゴ監督は、昨季の2部での堅守をベースにした可変型の5-3-2(あるいは5-4-1)システムを1部の舞台でも採用した。守備時には右サイドのシモ・ナバロがインサイドに絞り、ルカス・ヌビ、ブライト・エデとともに強固な3バックを形成。さらに、アドリア・アルティとジャコモ・クアリアータが引いて5バックのブロックを作った。
このイダルゴ監督の守備構築は前半こそエルチェのパスワークを封じ込めることに成功したが、後半に入ると深刻なスタミナ低下という課題を露呈する。選手たちの足が止まり、ラインが下がりすぎた結果、中盤でのセカンドボールの回収が不可能になり、相手に主導権を完全に明け渡してしまった。
一方、エルチェのアンセルミ新監督は5-2-2-1の布陣を敷き、前指揮官エデル・サラビアが残したポゼッション主体の戦術的アイデンティティ(支配率約62%を記録)を色濃く継承した。そのうえで、守備時には徹底したマークの受け渡しと集団でのプレスを施した。
アンセルミ監督は0-2、0-3の危機を回避するべく、後半に大胆な采配を見せた。60分にはネトとレドンドを下げてセペダとテテ・モレンテを投入、68分には前線に新鮮なエネルギーを与えるべくウマル・コナレをピッチに送り、81分にはモルシージョとパディーヤを動員。中盤をバイパスして一気に前線の圧力を高めたこの交代策が、最終的なアグアドの同点弾への伏線となった。
対するイダルゴ監督も、60分にディエゴ・ビジャレスとザカリア・エダチューリ、70分にルイスミ・クルスとダビド・メジャを投入して運動量の回復を図ったものの、エルチェの怒涛のプレッシングを前に、チームに落ち着きを取り戻すことはできなかった。
現地メディアの選手採点・評価比較
現地各紙の選手評価では、スーパーセーブを連発したGKレオ・ロマンと、格の違いを示したオーバメヤン、そしてエルチェの同点弾を叩き込んだマーク・アグアドに非常に高い点数が集まった。
主力選手のメディア採点と評価の比較は以下の通り。
-レオ・ロマン(デポルティーボ):SPORTで「8点」、ElDesmarqueで「7点」の高評価。後半57分にフェル・ニーニョとの1対1を防ぎ、こぼれ球を詰めたビジャールの至近距離シュートを指先で弾き出した「驚異的なダブルセーブ」を含め、計5本の決定的なセーブを披露した。SPORTは「新加入の900万ユーロの移籍金が決して高くなかったことを開幕戦で完全に証明した」と大絶賛。-ピエール=エメリク・オーバメヤン(デポルティーボ):SPORTで「8点」、ElDesmarqueで「7点」。一瞬の隙を突いたワンチャンスを逃さなかったクオリティに各紙が畏敬の念を示した。MARCAも、年齢による衰えを全く感じさせないオフ・ザ・ボールの動きの質を高く評価している。-ロレンツォ・アマトゥッチ(デポルティーボ):SPORTで「7点」、ElDesmarqueで「7点」。先制点のアシストとなったパスが絶賛された。ElDesmarqueは「中盤の頭脳として完全に機能し、信じられない視野の広さから、Affengruberの背後に糸を通すようなパスを通した」と評した。-シモ・ナバロ(デポルティーボ):評価が明確に分かれた。SPORTは「6点」をつけ、「バレーラの果敢な仕掛けに苦しめられながらも、右サイドでしっかりとチームの規律を守り抜き、経験豊富な守備を見せた」と好意的に評価。一方、ElDesmarqueは「4点」とチーム最低点レベルの酷評。「3バックの一角として中央を固める意識は高かったが、同点に追いつかれたシーンではニアに走り込むアグアドへの対人のcontundencia(力強さ)が明らかに欠けていた」と辛口のコメントを残した。-ビル・ンソンゴ(デポルティーボ):SPORT、ElDesmarqueともに「7点」。ゴール前での脅威だけでなく、守備時に身を粉にして走り回る献身性を高く評価。オーバメヤンを前線で孤立させないための汚れ仕事を完遂したと絶賛された。
試合後の監督・選手コメント
デポルティーボのアントニオ・イダルゴ監督は、勝ち点3を目前で逃した悔しさを滲ませつつも、初戦の成果に一定の理解を示した。「これ(1部)は地道に毎週勝ち点を積み重ねていく長い旅だ。開幕戦から素晴らしい前半を披露できた。中盤に人数をかけてくるエルチェに対し、完璧にマークを合わせて苦しむ場面を最小限に抑え、快適に戦えていた。ただ、後半にエネルギーとフレッシュさを欠いたことで、自陣に引き込まれてしまった。あの強いストレスがかかる時間帯をどう耐え抜くかが1部での課題だ。勝ち点1をポジティブに捉え、次の Málaga 戦へ向かう」
先制弾の殊勲者ピエール=エメリク・オーバメヤンは、復帰初戦の得点を喜びつつも満足はしていない。「非常に個人的には『saborasí-así(微妙な味わい)』だ。勝ち点3をリアソルのファンに贈りたかった。しかし、ファーストトラップを正確に決めることさえできれば、ゴールを陥れることはそれほど難しくない。チームメイトやファンの温かい歓迎に感謝している。ただ、 LaLigaはそう甘くない。この強度に早く適応する必要がある」
対するエルチェのマルティン・アンセルミ監督は、敵地での勇敢な戦いぶりに自信を深めていた。「試合後の率直な感触として、我々はほぼすべての局面でデポルティーボを圧倒していたと確信している。我々が今季目指すべきフットボール、常に主体的に主導権を握るスタイルは随所に表現できた。今日の試合の本当の主役(figura)は、相手GKのレオ・ロマンだった。オーバメヤンのあの失点シーンについては、守備のラインコントロールに明らかな
desajuste(ズレ)があったが、それ以外に脅威を感じるシーンはなかった。非常に勇敢な初陣だった」
同点ゴールを叩き込んだマーク・アグアドは、チームの進むべき方向に迷いがない。「我々は勝つためにリアソルに乗り込んできた。前半の失点は自分たちの軽率な守備によるものだが、全体としては非常に質の高いフットボールを体現できた。エデル(サラビア)が去り、新監督(アンセルミ)を迎えたが、誰が指揮を執ろうとも、このエルチェというクラブを定義するのは『勇敢さ』だ。今日はタフに走り回ったが、心からこの試合を楽しめた」