セビージャFC vs ラージョ・バジェカーノ
ラ・リーガ / jornada-1 / Estadio de Sevilla / 2026年8月16日(日)
試合サマリーと得点経過
2026年8月15日、ラ・リーガ2026-27シーズンの開幕戦。エスタディオ・ラモン・サンチェス・ピスフアンにラージョ・バジェカーノを迎えたセビージャFCの一戦は、後半アディショナルタイム97分に劇的な結末を迎えるスリリングな死闘となった。
試合は立ち上がりの4分、セビージャのDFアルナ・サンガンテが自陣でのビルドアップ時に手痛い守備エラーを犯す。ラージョの俊英、アルバロ・ガルシアがこの隙を逃さずに素早くボールを奪うと、電撃的な先制ゴールをネットに突き刺して0-1。セビージャは早い時間帯にリードを許し、スタジアムには重苦しい空気が漂った。
しかし、ここからセビージャは驚異的な結束力とレジリエンスを見せる。ハーフタイムを経て息を吹き返したセビージャは後半、右サイドのミゲル・シエラが鋭いドリブルでラージョのDFイバン・バジウを翻弄。ペナルティエリア内に侵入したシエラが倒されてPKを獲得する。これを、今夏デポルティーボ・アラベスから加入し、これがセビージャでの公式戦デビューとなったジョン・グリディが冷静に沈めて1-1の同点に追いつく。
その後、セビージャはDFキケ・サラスがレッドカードで一発退場となり数的不利に陥るものの、チームの闘志は衰えなかった。そして後半アディショナルタイム97分、交代出場したばかりの若きマヌ・ブエノが中盤で執念のボール回収を見せ、天才的なパスから素早くカウンターを始動。これを受けた新加入のスコットランド人FWロビー・ウレが果敢にエリア内へ仕掛け、ラージョのDFフロリアン・レジューヌのファウルを誘って劇的なPKを獲得する。この極限の緊張感の中でペケ・フェルナンデスがゴール右隅へPKを沈め、2-1という奇跡的な大逆転勝利を飾った。
戦術・采配のポイント
ラージョを率いるベニャ・サン・ホセ監督は、プレシーズンで見せていたスタイルとは全く異なるハイプレスと可変プレスモデルをぶつけ、セビージャをハメにかかった。これにより前半のセビージャは、サンガンテとフアン・イグレシアスの右サイドからのビルドアップが完全に窒息。左サイドのオソやガブリエル・スアソも、ラージョのアンドレイ・ラティウらの堅守に苦しめられ、前線のロビー・ウレまで効果的にボールを届けることができなかった。
しかし、ハーフタイムにおけるセビージャのルイス・ガルシア・プラサ監督の戦術眼が勝負を分けた。監督は後半開始と同時にペケ・フェルナンデスをピッチへ投入。中盤の構成力を高めるためシステムを実質的な4-1-4-1へ移行させ、ルシアン・アグメを単独アンカーとして底に配置し、その一列前にグリディとペケを並べるインサイドハーフの形を採った。これにより、ラージョの守備ブロックの間にスペースを作り出すとともに、敵の中盤の心臓部であるオスカル・バレンティンの脇のエリアを完全に制圧した。
さらに、ビルドアップの局面ではアグメの近くにキケ・サラスとスアソを配置。左サイドにラージョを引きつけてから、右サイドのミゲル・シエラへと一気に展開するダイナミックなサイドチェンジを徹底した。この「幅」を使った攻撃により、シエラがバジウを完全攻略し、同点PKの呼び水となった。キケ・サラス退場による数的不利に陥ってからも、アグメを中心とした粘り強いブロック構築と、前線でのロビー・ウレの執拗なチェイシングが、最後の劇的な勝ち点3をもたらす土台となった。
現地メディアの選手採点・評価比較
試合後、現地各紙は劇的な幕切れとなったこの開幕戦の評価を熱く報じた。
セビージャの右サイドバックとして新加入デビューを飾ったフアン・イグレシアスは、現地メディアでその評価が真っ二つに分かれた。MARCAは、前半こそラージョの鋭い盾であるアルバロ・ガルシアの俊足に手を焼いたものの、後半に入ってから右サイドを完全に制圧したその守備対応を「老獪なプロフェッショナルの仕事(oficio)」と絶賛。特に前半、イシ・パラソンの幻となった追加点を阻止した守備での粘り強いファウル誘発のインテリジェンスを高く評価した。一方で、SPORTは、前半立ち上がりの不安定さや、サンガンテとのビルドアップ時の連携ミスを課題として挙げ、「依然として新システムへの適応期にある」と、守備の脆さを突かれた立ち上がりのパフォーマンスに対してやや控えめな採点にとどめている。
途中出場でセビージャの息の根を吹き返し、決勝PKを沈めたペケ・フェルナンデスに対しては、Mundo DeportivoやElDesmarqueが最高級の賛辞を贈った。特にMundoDeportivoは、後半開始からのわずか45分間でゲームの支配権をセビージャにもたらした圧倒的なインパクトを絶賛し、第1節のラ・リーガ・ベストイレブンに彼を選出。「ペケがピッチに入った瞬間から、セビージャのボール循環に劇的なリズムと音楽が生まれた」と惜しみない拍手を送った。
決勝PKを獲得したロビー・ウレについても、ASは「スウェーデンから来た新ストライカーは、ゴールこそなかったものの、そのチェイシングとプレッシングでラージョのDF陣を文字通り窒息させた。2つのPKは彼の泥臭い犠牲心から生まれたものだ」と高く評価した。逆に、前半開始早々の致命的なパスミスから失点に絡んだDFアルナ・サンガンテには、ElDesmarqueがチーム最低点を授けるなど厳しい評価が集中している。
試合後の監督・選手コメント
セビージャを逆転勝利に導いたルイス・ガルシア・プラサ監督は、試合後の会見でハーフタイムの激しい攻防と修正を語った。「ラージョのプレスモデルは我々の想定を超えており、前半は完全に後手に回った。だが、ペケとアグメの配置を変えたことでバレンティンの両脇のスペースを塞ぎ、サイドをコントロールできた。この勝ち点3は、最後まで走り、信じ続けた選手たちの犠牲心への正当な報酬だ。まだ始まったばかりだが、この勝ち点3は誰にも奪うことはできない」と胸を張った。
また、現地メディアが明かしたセビージャのロッカールームの様子では、ハーフタイムに監督が選手たちに送った劇的な予言が話題を呼んでいる。「いいか、試合はまだ0-1だ。自分たちのやるべきことを整理し、冷静になれば絶対にひっくり返せる。今すぐに追いつかなくても、残り15分で追いついたとしても、そこから絶対に勝ち越せる。自分たちを信じて、走り続けろ!」という指揮官の檄が、後半のピッチに生命を吹き込んだ。
新チームのキャプテンに就任し、強烈なリーダーシップを見せるガブリエル・スアソも、試合前の円陣で「僕たちの歴史は今日、このピッチから始まる。過去がどうであれ関係ない。僕たちの歴史は、自分たちの血と汗、そして魂で書き上げるんだ!」と熱い言葉を仲間に送り、チームの結束力を高めていた。
一方、敗れたラージョ・バジェカーノのゲームキャプテン、オスカル・バレンティンは、スタジアムの閉鎖に伴い、次節以降を中立地のブタルケで戦わなければならないクラブの厳しい現状と絡め、「非常に悔しい。開幕戦の敗戦だけでなく、僕たちのファン、バジェカスの人々が自分たちのホームを奪われている。チームが最も望むのはバジェカスに帰ることだ。一刻も早く状況が改善し、ファンが安全に観戦できる場所を確保してほしい」と、唇を噛み締めながら現状の解決を訴えた。